答弁本文情報
平成二十八年三月一日受領答弁第一三八号
内閣衆質一九〇第一三八号
平成二十八年三月一日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員照屋寛徳君提出演習場周辺住宅防音事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員照屋寛徳君提出演習場周辺住宅防音事業に関する質問に対する答弁書
一の@について
平成八年十二月二日に発表された「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告を踏まえ、沖縄県において実施されていた実弾射撃訓練を矢臼別演習場、王城寺原演習場、北富士演習場、東富士演習場及び日出生台演習場(以下「SACO五演習場」という。)に移転して実施することとした。その上で、当該訓練の移転を円滑に実施するために、平成九年七月十一日、演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成十九年防衛省訓令第百九号。平成十九年八月三十一日以前は演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成九年防衛施設庁訓令第十三号)。以下「交付要綱」という。)を定め、交付要綱第一条及び第二条において、SACO五演習場の周辺の別に指定する区域に当該指定の際現に所在する住宅(以下単に「周辺の住宅」という。)について住宅防音工事(以下単に「工事」という。)を行う当該住宅の所有者等に対して予算の範囲内で補助金を交付する旨を規定した。
また、SACO五演習場以外の六か所の演習場について、使用している装備や訓練の状況等から周辺における騒音の影響がSACO五演習場と同等と考えられたことから、これらの演習場で騒音度調査を実施した結果、上富良野演習場、北海道大演習場(島松着弾地及び島松地区に限る。以下同じ。)、然別演習場、岩手山中演習場及び饗庭野演習場(以下「上富良野演習場等」という。)については、SACO五演習場と同等の騒音状況が認められたことから、平成二十四年四月二十七日、交付要綱第一条を改正し、周辺の住宅について工事を行う当該住宅の所有者等に対して補助金が交付される演習場として、上富良野演習場等を追加した。
平成二十六年度までに工事が完了して交付要綱に基づき補助金が交付された世帯数及び交付された補助金額の総額は、上富良野演習場については三世帯及び二千六百九十七万四千七十円、北海道大演習場については二百四十四世帯及び十八億九千九百十七万四千百円、矢臼別演習場については四百二十九世帯及び四十一億三千百二十九万五千四百八十六円、岩手山中演習場については二十六世帯及び一億六千二百二十二万七千三百九十円、王城寺原演習場については八百九世帯及び六十九億三千二百十七万九百五十円、北富士演習場については二千五百十世帯及び二百十七億九千二百六十五万八千八百五十九円、東富士演習場については七千七百九十世帯及び六百十三億九千百四十万二千九百十四円、饗庭野演習場については百二十四世帯及び八億九百七十六万八千八百九十円、日出生台演習場については八百六十二世帯及び八十二億七千九百十八万二千二百五十円であり、然別演習場については、これまで工事が実施されておらず、補助金の交付はしていない。
交付要綱の規定による補助金の交付については、関係法令に基づき、予算の範囲内で適切に実施していると考えている。
防衛省は、自衛隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第一項に規定する自衛隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下同じ。)が使用する施設(自衛隊の施設又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条第一項の施設及び区域をいう。以下「自衛隊等の施設」という。)について、その周辺にLCden値(自衛隊等による砲撃を主とする射撃、爆撃その他火薬類の使用の頻繁な実施により生ずる音響の影響度について、「演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱第一条及び演習場周辺の移転補償等の実施に関する訓令第一条に規定する別に指定する区域の指定について」(平成二十二年三月二十五日付け防地防第三四八三号防衛事務次官通達)及び「演習場周辺における住宅防音区域及び移転補償区域の指定に関する細部要領について」(平成二十二年三月二十五日付け地防第三四八四号防衛省地方協力局長通知。以下「細部要領」という。)に規定する算定式等に基づき、当該音響の強度並びに発生の回数及び時刻等を考慮して算定した値をいう。以下同じ。)が八十一以上の区域が存在するかについての調査をした結果、当該区域内に住宅が所在することが判明した場合には、交付要綱第一条を改正して、周辺の住宅について工事を行う当該住宅の所有者等に対して補助金が交付される自衛隊等の施設として、当該施設を追加することとしている。
御指摘の「騒音度調査」とは、二及び三についてでお答えした調査である。具体的には、細部要領に基づき、自衛隊等の施設の周辺において、騒音の最大音圧レベルの測定や騒音の発生時刻等を記録するなどの現地調査を行い、これらの測定データ等から一日の間に発生する砲種別、弾種別、発射位置別及び着弾位置別の騒音値を算出するなどして、LCden値が八十一以上の区域が存在するかを調べるものである。
お尋ねの「使用している装備や訓練の状況等」については、「使用している装備」とは砲種等のことであり、「訓練の状況等」とは砲撃回数等や騒音の発生源と周辺地域との距離等である。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛省は、自衛隊等の施設について、使用している装備や訓練の状況等を総合的に考慮した上で、当該施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性の有無について検討し、その可能性があると認められる場合には、四の@についてで述べた騒音度調査を実施することとしている。その上で、当該調査の結果、当該区域に住宅が所在することが判明した場合には、交付要綱第一条を改正して、周辺の住宅について工事を行う当該住宅の所有者等に対して補助金が交付される自衛隊等の施設として、当該施設を追加することとしている。
御指摘の「名護市長の求め」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「騒音度調査」については、四のBについてで述べたとおり、自衛隊等の施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性の有無について検討し、その可能性があると認められる場合に実施することとしているところ、SACO五演習場及び上富良野演習場等以外の自衛隊等の施設について、その可能性があると認められないことから、御指摘の「騒音度調査」を実施することは現時点において考えていないが、今後の騒音状況に応じて適切に対応してまいりたい。