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平成二十八年三月十八日受領
答弁第一八〇号

  内閣衆質一九〇第一八〇号
  平成二十八年三月十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出理学療法士・作業療法士の臨床実習に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出理学療法士・作業療法士の臨床実習に関する質問に対する答弁書



一の一)について

 理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)第十一条第一号及び第二号の学校及び理学療法士養成施設並びに同法第十二条第一号及び第二号の学校及び作業療法士養成施設(以下「理学療法士等学校養成施設」と総称する。)の学生(以下「理学療法士等学生」という。)が臨床実習において行う理学療法又は作業療法(以下「理学療法等」という。)については、医師の指示及び相当の経験を有する理学療法士又は作業療法士による指導並びに患者の同意の下、その目的、手段及び方法が社会通念から見て相当であり、理学療法士及び作業療法士(以下「理学療法士等」という。)が行う理学療法等と同程度の安全性が確保される範囲内であれば、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学の医学部(以下単に「医学部」という。)の学生が臨床実習で行う医行為及び保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十一条第一号の大学、同条第二号の学校及び同条第三号の看護師養成所の学生又は生徒(以下「看護師学生」という。)が臨地実習で行う診療の補助と同様、違法性はないと解することができると考えている。

一の二)について

 御指摘の「実習を受託している医療機関等施設」が「無資格学生が担当した患者の施療にかかる診療報酬を得ていること」の是非については、個別具体的なケースごとに判断されるため、一概にはお答えできない。なお、一の一)についてでお答えした範囲内で理学療法士等学生の臨床実習を実施している保険医療機関が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)等に基づく療養の給付に要する費用について、健康保険法第七十六条第四項等の規定に基づく保険者等の審査を経て、保険者等から支払を受けることは、当該理学療法士等学生の指導等を行う保険医及び理学療法士等が適切に指導等を行い、診療を行っている場合には差し支えないものと考えている。

二の一)について

 理学療法士等学生の臨床実習については、これが適切に行われるよう、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(昭和四十一年文部省・厚生省令第三号。以下「指定規則」という。)第二条及び第三条において定める理学療法士等学校養成施設の指定基準の中で、教育の内容の要件を定めるとともに、「理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン」(平成二十七年三月三十一日付け医政発〇三三一第二十八号厚生労働省医政局長通知。以下「ガイドライン」という。)により、その具体的な内容を明確にしているところであるが、医学部の学生が臨床実習を行う場合の指針である「臨床実習検討委員会最終報告」(平成三年五月十三日厚生省公表)や看護師学生が臨地実習を行う場合の指針である「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書」(平成十五年三月十七日厚生労働省公表)に相当する指針はない。

二の二)について

 ガイドラインにおいては、理学療法士等学校養成施設の臨床実習の実習指導者について、「実習指導者は、理学療法士養成施設においては、理学療法に関し相当の経験を有する理学療法士、作業療法士養成施設においては、作業療法に関し相当の経験を有する作業療法士とし、かつ、そのうち少なくとも一人は免許を受けた後三年以上業務に従事した者であること」と定めている。また、これらの実習指導者の指導の質を確保し、及び向上させるため、厚生労働省と公益財団法人医療研修推進財団との共催で、毎年、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会を開催しているところである。

二の三)について

 御指摘の実態の詳細については承知していないが、理学療法士等学校養成施設において適切な臨床実習が行われていない場合があるということについて、公益社団法人日本理学療法士協会、一般社団法人日本作業療法士協会及び一般社団法人全国リハビリテーション学校協会(以下「関係団体」という。)から聞いているところである。今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で、臨床実習の実態の把握を含め、理学療法士等学生の臨床実習における適切な指導体制の確保のための対策について検討してまいりたい。

三の一)について

 政府としては、平成十七年度以降の理学療法士等学校養成施設の数を把握しており、都道府県ごとの同年度から平成二十七年度までの各年度の初日における理学療法士等学校養成施設の数を順に示すと、次のとおりである。
 北海道 十四、十五、十六、十八、十九、十九、十九、十九、二十一、二十二、二十四
 青森県 六、六、六、六、五、六、六、六、六、六、六
 岩手県 二、二、二、二、二、二、二、二、二、二、三
 宮城県 八、八、十一、十一、十一、十一、十二、十三、十三、十三、十三
 秋田県 二、二、二、二、二、二、二、二、二、二、三
 山形県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 福島県 四、四、四、三、三、三、三、四、四、四、四
 茨城県 五、五、六、七、七、七、七、七、七、七、七
 栃木県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 群馬県 七、十、九、十一、十一、十二、十二、十二、十二、十、十
 埼玉県 十一、十五、十六、十七、十七、十四、十五、十五、十五、十五、十五
 千葉県 十四、十五、十五、十五、十五、十三、十三、十三、十三、十三、十四
 東京都 二十六、二十六、二十七、二十五、二十七、二十九、三十、三十二、三十二、三十一、三十一
 神奈川県 十一、十三、十三、十三、十三、十三、十三、十三、十三、十三、十五
 新潟県 六、七、七、七、七、六、六、六、七、七、七
 富山県 二、二、二、二、二、二、二、二、二、二、二
 石川県 四、四、七、七、七、七、七、七、八、八、八
 福井県 二、零、二、三、三、三、三、三、三、三、三
 山梨県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 長野県 四、四、四、五、五、五、五、五、五、五、五
 岐阜県 五、五、六、六、六、五、五、三、三、六、六
 静岡県 十、十、十一、十一、十一、十一、十一、十一、十四、十一、十一
 愛知県 二十四、二十六、二十七、三十、三十、三十一、三十、三十、二十九、二十九、二十九
 三重県 三、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 滋賀県 二、零、零、零、二、二、二、二、二、二、二
 京都府 二、四、五、五、五、五、五、六、六、七、七
 大阪府 三十二、三十一、三十、三十一、三十、三十二、三十五、三十三、三十二、三十三、三十三
 兵庫県 十一、十六、十九、二十一、二十一、二十二、二十三、二十三、二十三、二十三、二十三
 奈良県 四、四、四、五、五、五、五、五、五、五、五
 和歌山県 零、零、零、一、一、一、一、一、一、一、一
 鳥取県 二、二、二、二、二、二、二、二、二、二、四
 島根県 六、六、六、六、六、六、六、六、七、七、七
 岡山県 十三、十三、十三、十三、十三、十三、十三、十二、十二、十二、十二
 広島県 十、九、九、九、九、九、十、十、十二、十二、十二
 山口県 六、六、六、六、六、五、五、五、五、五、五
 徳島県 五、五、五、五、五、六、六、六、六、六、五
 香川県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 愛媛県 二、二、六、六、六、六、六、六、七、七、七
 高知県 六、六、六、六、六、六、五、五、五、五、五
 福岡県 二十四、二十二、二十五、二十七、二十七、二十七、二十五、二十五、二十六、二十六、二十八
 佐賀県 二、二、四、四、四、四、五、五、五、五、五
 長崎県 五、六、七、七、七、七、七、七、七、七、七
 熊本県 五、八、十、十二、十二、十二、十二、十二、十一、十一、十一
 大分県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 宮崎県 三、三、四、七、五、五、五、五、五、五、五
 鹿児島県 九、九、九、九、九、九、九、九、九、九、九
 沖縄県 四、四、四、四、四、四、四、四、四、四、四
 また、御指摘のように、理学療法士等学校養成施設の増加によって理学療法士等の養成の質が低下しているかどうかについては、政府として承知していないが、関係団体からは、理学療法士等学生の教育の内容の見直しについての要望を受けており、二の三)についてでお答えしたとおり、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。

三の二)について

 理学療法士等学校養成施設の指定基準のうちの専任教員の基準については、指定規則第二条及び第三条において、理学療法士にあっては免許を受けた後五年以上理学療法に関する業務に従事した者であることと、作業療法士にあっては免許を受けた後五年以上作業療法に関する業務に従事した者であることと、それぞれ定めているが、関係団体からは、理学療法士等学校養成施設における専任教員の資質向上のため、当該専任教員の基準を見直すことについての要望を受けており、二の三)についてでお答えしたとおり、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。

三の三)について

 理学療法士等学校養成施設の指定基準の中で、専任教員の人数、学生定員等の基準を定めているところであるが、この基準を満たしていない理学療法士等学校養成施設に対しては、理学療法士及び作業療法士法施行令(昭和四十年政令第三百二十七号)第十三条第一項の規定に基づき報告を求め、同条第二項の規定に基づき必要な指示をすることができ、その指示に従わない場合には、同令第十四条の規定に基づき、その指定を取り消すことができるとされているため、御指摘のような立入検査を可能とする規定や罰則規定を設ける必要があるとは考えていない。

三の四)について

 理学療法士等の養成を行っている大学については学校教育法第百九条第一項及び第二項並びに第百十条第四項において評価とその結果の公表の仕組みが定められており、専修学校については同法第百三十三条第一項において準用する同法第四十二条及び第四十三条において評価と情報の提供の仕組みが定められており、各種学校については同法第百三十四条第二項において準用する同法第四十二条及び第四十三条において評価と情報の提供の仕組みが定められているところである。政府としては、これらの仕組みが適切に運用されるよう注視していくとともに、大学並びに専修学校及び各種学校以外の理学療法士等学校養成施設については、二の三)についてでお答えしたとおり、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で対応を検討してまいりたい。



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