答弁本文情報
平成二十八年四月八日受領答弁第二二一号
内閣衆質一九〇第二二一号
平成二十八年四月八日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員仲里利信君提出戦没者遺骨収集推進法の成立に伴う戦没者の遺骨収集に向けた政府の取り組みに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員仲里利信君提出戦没者遺骨収集推進法の成立に伴う戦没者の遺骨収集に向けた政府の取り組みに関する質問に対する答弁書
一及び二について
政府としては、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律(平成二十八年法律第十二号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、関係行政機関間の連携協力を図り、関係国の政府等と協議を行い、その理解と協力を得るなどして遺骨収集を行うとともに、その推進を図るために、平成二十九年度までに先の大戦の交戦国の国立公文書館等に所蔵されている文書等の収集、整理及び分析を集中的に行うなどして情報の収集等を推進することとしている。
御指摘の附帯決議第三項においては、「遺族からの幅広いDNA検体の提供の仕組みについて検討すること」と規定されており、政府としては、遺族からの幅広いDNA検体の提供の仕組みについて検討すべきとされたものと認識している。また、政府としては、お尋ねの「沖縄戦で被害に遭った住民の方々」の遺骨については、法第二条に規定する「戦没者の遺骨収集」の対象であると認識している。これらの認識に基づき、政府としては、本年度の早い時期から、部隊記録等からある程度戦没者の特定ができる沖縄の一部の地域において収容された戦没者の遺骨について、「沖縄戦で被害に遭った住民の方々」の遺族を含む沖縄における戦没者の遺族であって、当該遺骨に関係すると思われる方々に対してDNA検体の提供を求めてDNA鑑定を実施することとしており、その結果を踏まえ、他の地域における、遺族からの幅広いDNA検体の提供の仕組みについて検討することとしている。
お尋ねの「個体性」とは、厚生労働省の遺骨収集の作業において、収容された遺骨が一体分の遺骨として認められることをいい、同省としては、完全一体の状態により単一で収容された遺骨や完全一体の状態ではなくても二体分以上の同一部位が含まれない状態で収容され頭蓋骨等が確認できる遺骨等をそのように認められる遺骨として扱っている。
戦没者の遺骨の中には、個体の区別ができないものがあることは承知している。また、「個体性」がない遺骨については、DNA鑑定は行わないこととしている。
戦没者の遺骨のDNA鑑定においては、歯が容易かつ安定的にDNA情報を抽出することができる旨の専門家の意見を踏まえ、歯をDNA検体として用いることとしている。また、歯以外の部位については、十分なDNA情報が抽出できない場合が多いため、遺留品等から相当程度戦没者が特定できる場合にDNA検体として用いることとしている。
政府としては、可能な限り多くの遺骨を遺族のもとにお返しすべきとの要請だけでなく、長年収容されずに戦地に置かれた遺骨を早期かつ丁重に慰霊すべきとの要請にも応える必要があると考えているため、お尋ねの「DNA鑑定を行わない遺骨」については、早期かつ丁重に火葬し、千鳥ヶ淵戦没者墓苑又は国立沖縄戦没者墓苑に納めることとしている。
お尋ねの「キャンプ・シュワブの中にあった、大浦崎収容所の状況」については、その指し示す内容について様々な理解の仕方があり得るところであるため、お答えすることは困難であるが、キャンプ・シュワブにおける遺骨収集については、現在、政府部内で連携して、沖縄県庁から提供された関係者の証言等に基づき対応を検討しているところである。