答弁本文情報
平成二十八年六月二日受領答弁第三〇一号
内閣衆質一九〇第三〇一号
平成二十八年六月二日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員仲里利信君提出米軍属による女性強姦・殺人・死体遺棄事件に対して沖縄県民が求める根本的な解決策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員仲里利信君提出米軍属による女性強姦・殺人・死体遺棄事件に対して沖縄県民が求める根本的な解決策に関する質問に対する答弁書
一から三まで及び五について
御指摘の沖縄県における在日米軍軍属による事案(以下「本件事案」という。)は、身勝手で卑劣極まりない事件であり、極めて遺憾である。政府としては、沖縄県民の皆様の気持ちも踏まえて、国民を代表して、安倍内閣総理大臣からオバマ米国大統領に対して強く抗議するとともに、実効的な再発防止策の徹底など、厳正な対応を求めた。本件事案のような事件が二度と起こらないようにするためには、米側の努力が第一に重要であると考えており、米側に実効的な再発防止策の速やかな策定を強く求め、日米間で協議していく。
また、沖縄県内に所在する在日米軍の施設及び区域の在り方について、沖縄において様々な意見があることは承知しているが、政府としては、これまでも沖縄県民の皆様の気持ちを踏まえて、米国大統領を始めとする米国政府との協議に臨んできており、引き続き、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いつつ、政府としてできることは全て行うとの姿勢で沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいく。
御指摘の「綱紀粛正や再発防止、リバティ制度が破綻しているか否か」の意味するところが必ずしも明らかではないが、在日米軍関係者による事件・事故は本来起きてはならず、米側に実効的な再発防止策の速やかな策定を強く求め、日米間で協議していく。
本件事案は、身勝手で卑劣極まりない事件であって、極めて遺憾であり、本件事案のような事件が二度と起こらないようにするため、米側に実効的な再発防止策の速やかな策定を強く求めていくなど、政府としてできることは全て行っていく覚悟である。また、政府として、沖縄に駐留する米軍について、識者等から様々な意見等があることは承知しているが、その一々について、論評することは差し控えたい。
政府としては、先の大戦において、沖縄は国内最大の地上戦を経験し、多くの方々が犠牲となり、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたと承知している。また、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)の発効以降も一定期間、沖縄が、我が国の施政権の外に置かれたという苦難の歴史を決して忘れてはならないと考えている。さらに、戦後七十年を経て、なお在日米軍の施設及び区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄県民の皆様にとって、大きな負担となっているものと認識している。
他方で、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいている等の利点を有している。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、こうした地理上の利点を有する沖縄に、高い機動性や即応性等により在日米軍の重要な一翼を担う米海兵隊や米空軍等の部隊が駐留することは、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると認識しており、沖縄に駐留する米軍について様々な意見があることは承知しているが、その撤退を求めることは考えていない。
政府としては、こうした認識の下、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、これまでの日米合意を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、在沖縄米海兵隊の移転、嘉手納飛行場以南の施設及び区域の返還、KC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、沖縄県外での垂直離着陸機MV二二オスプレイの訓練等の実施等を着実に進め、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。
お尋ねの「水上大使のこのような言動や大使・外交官としてふさわしくない対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の水上正史特命全権大使の発言は、平成二十八年五月二十日に行われた社会民主党沖縄県連合及び社民・護憲ネット県議団による要請において、県民の命を守る責任は誰にあるのかとの質問が県議会議員からなされたのに対し、同大使から、一般論として、政府及び沖縄県警察を含む沖縄県等が連携して地域の治安を守る役割を担っているとの趣旨を述べたものと承知している。外務省としては、御指摘の同大使の発言が誤解を与えたとすれば遺憾であると考えており、同大使に対し、しかるべく注意を行った。
政府としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)については、沖縄において様々な意見があることは承知しているが、同協定については、手当てすべき事項の性格に応じて、不断の改善を図ってきており、引き続き、一つ一つの問題を解決すべく最大限努力していく考えである。