答弁本文情報
平成二十八年十月七日受領答弁第一四号
内閣衆質一九二第一四号
平成二十八年十月七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出GPIFの年金積立金の運用姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出GPIFの年金積立金の運用姿勢に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「資金の規模とそれぞれの運用種別」の意味するところが必ずしも明らかではないが、年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の平成二十七年度末の運用資産額の合計は約百四十兆六千二百七十一億円であり、その運用資産額の内訳は、国内債券約五十二兆八千十億円、国内株式約三十兆五千八百九億円、外国債券約十八兆九千三百八十八億円、外国株式約三十一兆七百十四億円及び短期資産約七兆二千三百五十一億円である。
お尋ねの「「運用益を確保すると同時に運用のリスクを低減させるため」に、「運用先や運用方式についてどのような組み合わせをする方針」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、平成二十七年四月一日に定めた中期目標の中で、GPIFに対して、長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものをいう。)一・七パーセントを最低限のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、基本ポートフォリオを定め年金積立金の管理を行うこと、年金積立金については分散投資による運用管理を行うこと等を求めている。
GPIFにおいては、基本ポートフォリオの策定に際してはその想定運用期間を二十五年としており、お尋ねの「五年平均、あるいは十年平均の年金積立金の運用利回りの目標」は想定していないものと承知している。また、御指摘の「目標利回り」の意味するところが必ずしも明らかではないが、それが「五年平均、あるいは十年平均の年金積立金の運用利回りの目標」を意味するのであれば、GPIFは当該運用利回りの目標を想定していないことから、お答えすることは困難である。
GPIFは、平成二十八年三月に、直近(平成二十八年二月)までの経済・市場データを織り込み、長期的な運用利回り等の試算や将来の積立金の見込みに関するシミュレーションを行って、基本ポートフォリオの定期検証を実施した。その結果、金利低下の影響等により、国内債券の期待リターン低下の影響は見られるが、現行の基本ポートフォリオは効率的で、おおむね目標利回りを満たしていること及び現行の基本ポートフォリオを策定した時と比較して、運用残高が年金財政で必要とされる積立金水準を下回るリスクが低下し、必要な積立金水準を確保できる見通しが高まったことを確認し、現行の基本ポートフォリオを変更する必要はないとの結論に至っているものと承知している。
お尋ねについては、仮定の質問であることからお答えすることは差し控えたい。
お尋ねの「保有株式の出口戦略」の意味するところが必ずしも明らかではないが、それがGPIFの保有する資産の売却の時期、方法等を意味するのであれば、GPIFにおいては市場その他の民間活動に与える影響に留意して、これらを公表していないと承知しているためお答えすることは困難である。
お尋ねの「評価機関」の意味するところが必ずしも明らかではないが、GPIFには、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験を有する者からなる運用委員会が設置されており、同委員会によって年金積立金の管理及び運用に関する業務の実施状況が監視されている。また、GPIFは、毎年度年金積立金の運用状況を記載した業務概況書の作成及び公表並びに四半期ごとの年金積立金の運用状況の公表をしている。なお、厚生労働省としても、必要に応じて運用状況についてGPIFから報告を徴するとともに、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)に基づいて毎年度厚生労働大臣がGPIFの業務の実績についての評価等を行っている。
年金積立金の運用については、適切な情報を分かりやすく丁寧に説明を行っていくことが必要である。このため、GPIFでは、ホームページ等を活用した広報活動を展開している。さらに本年度から保有している債券及び株式の銘柄の全面開示に踏み切るなど、情報の開示について積極的に取り組んでいるものと承知している。政府としても、中期目標においてGPIFに国民に対する情報公開・広報活動の充実を求めるとともに、年金積立金の運用に関する広報や、年金積立金の運用に関係する審議会における審議内容等について情報開示を行うなどの取組を進めている。
お尋ねの「その時の政権の意向で運用積立金の運用量を倍増させるなどした場合、日本の株式市場に大きな影響を与える。このような行為は、結果として、日本の株式市場を歪めることにはならないのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、年金積立金の管理及び運用に当たっては、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)において専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、年金事業の運営の安定に資することを目的として行う旨が定められている。また、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)第二十条第二項において、年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意すべき旨が定められており、GPIFにおいて市場への影響に留意しつつ被保険者の利益となるように運用が行われているものと承知している。