答弁本文情報
平成三十年五月十五日受領答弁第二七二号
内閣衆質一九六第二七二号
平成三十年五月十五日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員大河原雅子君提出遺伝子組み換え表示制度検討に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員大河原雅子君提出遺伝子組み換え表示制度検討に関する質問に対する答弁書
一について
平成二十九年四月から平成三十年三月にかけて消費者庁において開催された遺伝子組換え表示制度に関する検討会(以下「検討会」という。)の委員の人選については、学識経験者、消費者団体、事業者団体といった様々な方々から御意見を伺えるよう配慮して、同庁において行ったものである。また、検討会において平成二十九年六月から八月にかけて行われた消費者団体、事業者等からのヒアリングの対象とする者については、検討会の委員からその人選を一任されていた検討会の座長(以下「座長」という。)が決定していた。
御指摘の「消費者側の意見を尊重する姿勢に乏しかったとの指摘」の意味するところが必ずしも明らかではないが、検討会各回について、検討会の円滑な遂行を目的に、事前に座長と消費者庁担当者との間で、進行に係る打合せが行われていた。
検討会においては、科学的検証ができない品目にも義務表示を課すべきとの御意見も踏まえ議論した結果、平成三十年三月二十八日に公表された「遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書」(以下「報告書」という。)に記載のとおり、「大量の原材料や加工食品が輸入される我が国の状況下においては、社会的検証だけでは表示の信頼性を十分に担保することが困難であり・・・科学的検証が可能な組換えDNA等が残存する品目に義務表示の対象を限定する現行制度を維持することが適当」との結論に至ったものである。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、検討会においては、報告書に記載のとおり、「「意図せざる混入」の許容率については、できるだけ引き下げてほしいという消費者の要望があるが、事業者による原材料の安定的な調達が困難となる可能性、許容率引下げに伴う検査に係る作業量やコストの増大などの事情を総合的に勘案すると、大豆及びとうもろこしについて五%以下の意図せざる混入を認めている現行制度を維持することが適当」及び「「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件については、大豆及びとうもろこしに対して遺伝子組換え農産物が最大五%混入しているにもかかわらず、「遺伝子組換えでない」表示を可能としていることは誤認を招くとの意見を踏まえ、誤認防止、表示の正確性担保及び消費者の選択幅の拡大の観点から、「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件を現行制度の「五%以下」から「不検出」に引き下げることが適当」との結論に至ったものである。
お尋ねの「見解」の趣旨が必ずしも明らかではないが、検討会においては、四及び五についてで述べた結論に至ったものである。また、御指摘の「調査」によれば、組換え遺伝子が検出されなかった検体が相当数存在しており、報告書に記載の「「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件を現行制度の「五%以下」から「不検出」に引き下げることが適当」との検討会の結論は妥当であると考えており、また、お尋ねの「より詳細な調査結果」は存在しない。
我が国の遺伝子組換え表示制度を検討する上で、諸外国の制度も参考にしつつ、食品の原料の調達方法等の我が国の事情と諸外国の事情との差異も勘案し、我が国に適切な制度を構築する必要があると考える。
検討会においては、必要な諸外国の調査は十分に行われたとの判断の下で、取りまとめが行われたものと理解している。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、海外で製造された加工食品を我が国に輸入して販売する場合は、原料農産物の科学的検証ができず、表示の信頼性を担保することは困難であると考える。
食品の原料の調達方法等の我が国の事情と欧州連合の事情との差異も勘案し、我が国に適切な遺伝子組換え表示制度を構築する必要があると考える。また、政府としては、海外からの輸入に依存している穀物等の安定供給を確保するため、輸入相手国との良好な関係の維持・強化や関連情報の収集等を行うことが重要であると認識しており、欧州連合についても、小麦、とうもろこし等の需給に関する情報収集や輸出予測等を行っているところである。