衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和二年三月三十一日受領
答弁第一二八号

  内閣衆質二〇一第一二八号
  令和二年三月三十一日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出東京電力福島第一原発の汚染水処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出東京電力福島第一原発の汚染水処理に関する質問に対する答弁書


一の1について

 お尋ねの東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)からのトリチウムの放出量について、平成二十二年度(東日本大震災の影響により測定などができなかった期間を除く平成二十二年四月一日から平成二十三年三月十一日までをいう。)においては、原子力規制委員会に対し東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)から平成二十八年八月三十一日付けで提出された放射線業務従事者線量等報告書において、二兆二千億ベクレルとされている。また、福島第一原発のタンクに貯蔵されている多核種除去設備等で浄化処理した水に含まれるトリチウムの量については、令和元年十一月十八日に開催された第十五回多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会において東京電力が示した資料「多核種除去設備等処理水の貯蔵・処分の時間軸」において、同年十月三十一日時点で約八百五十六兆ベクレルと記載されており、これは二兆二千億ベクレルの約三百八十九倍である。

一の2について

 「放出管理目標値」を「緩和しようと考えるのは何故か」とのお尋ねの趣旨が明らかではないが、東京電力が第十五回多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会で示した資料「多核種除去設備等処理水の貯蔵・処分の時間軸」は、年間処分量と処分期間の関係について東京電力が一定の仮定の下で試算した結果であり、実際の処分量を決めたものではない。

一の3について

 事故前の福島第一原発におけるトリチウムの放出管理の基準値の設定経緯については、お尋ねのとおりである。

一の4について

 御指摘の文書は、昭和四十七年に原子力委員会において設置された環境・安全専門部会が昭和四十九年十月に同委員会に提出した報告書(以下「専門部会報告書」という。)であり、同委員会のウェブサイトにおいて公開されていることから、現時点では原子力規制委員会が保管すべきものとは考えていない。

一の5について

 専門部会報告書を踏まえ定められた福島第一原発におけるトリチウムの放出管理の基準値は、原子炉の運転を前提とするものであるところ、福島第一原発については既に東京電力が廃炉を表明していることから、現時点において同基準値を見直す必要はないと考えている。なお、御指摘の国際放射線防護委員会が千九百七十七年に勧告した「as low as reasonably achievable」(以下「ALARA」という。)の原則と、「as low as practicable」の原則との間に、基本的な考え方の相違はないと考えている。

一の6について

 福島第一原発における放射線防護については、原子力規制委員会が平成二十四年十一月七日に決定した「特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対して求める措置を講ずべき事項について」の中で、「特定原子力施設から大気、海等の環境中へ放出される放射性物質の適切な抑制対策を実施することにより、敷地周辺の線量を達成できる限り低減すること」を求めているところであり、ALARAの原則と同様の考え方を適用している。

一の7について

 「イギリス、フランスで、それぞれ地域住民とどのような合意形成プロセスを経ている」のかとのお尋ねについて、「平成二十八年度発電用原子炉等利用環境調査(トリチウム水の処分技術等に関する調査研究)報告書」においては、「各原子力発電所の立地地域には地域代表者委員会(LLC)・・・と呼ばれる地域コミュニティ・グループが設置されている」、「トリチウムを含む放射性物質の排出上限について定めるASNの決定案に関する地域情報委員会(CLI)に対する意見聴取」等の記載がなされていると認識している。また、お尋ねの「汚染水処理における合意形成プロセス」の意味するところが必ずしも明らかではないが、多核種除去設備等処理水の取扱いの決定については、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の専門的な検討を踏まえ、今後、地元をはじめとする関係者からの御意見をしっかりとお伺いした上で、政府として意思決定を行ってまいりたい。

二の1について

 お尋ねの「国際的な慣行」については、グロッシー国際原子力機関事務局長の発言に関することであるため、政府としてお答えは差し控えたい。

二の2及び3について

 原子力発電施設から放出される放射性物質については、国際放射線防護委員会の勧告を踏まえ、核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示(平成二十七年原子力規制委員会告示第八号)において、原子力発電施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めており、規制を満たす濃度であれば人の健康に有害な影響を与えるとは考えられないことから、御指摘の「総量規制」は設けていない。また、お尋ねのフランスの具体的な規制手法については、調査を行っておらず、お答えは困難である。

二の4について

 お尋ねの「国際的な慣行」については、二の1についてで述べたとおりである。また、御指摘の「IAEAの報告書」において、フランス、ドイツ及び英国において放出量についての規制を導入している旨記載されていることは承知している。

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.