答弁本文情報
令和二年十二月四日受領答弁第二二号
内閣衆質二〇三第二二号
令和二年十二月四日
内閣総理大臣 菅 義偉
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員宮川伸君提出温室効果ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロにする方針に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員宮川伸君提出温室効果ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロにする方針に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「排出実質ゼロという時の「吸収量」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国は、気候変動に関する国際連合枠組条約(平成六年条約第六号)第四条1(a)に基づく我が国における温室効果ガスの排出量及び吸収量に関する目録において、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(平成十七年条約第一号)の第二約束期間の下での同議定書第三条3及び4に関する吸収源活動である新規植林、再植林、森林減少、森林経営等による温室効果ガスの除去量を吸収量としている。
二について
お尋ねの「新規植林のような人為的な吸収量」の意味するところが必ずしも明らかではないが、パリ協定(平成二十八年条約第十六号)第四条1においては、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成する」ことを規定しており、これは、同協定第二条1(a)に定める長期的な気温に関する目標との関係で、その達成のために必要となる温室効果ガスの排出量の削減に関する目標を示したものであると認識している。
なお、現在の運用として、同協定第十三条7の規定に基づき定期的に提供する「温室効果ガスの人為的な発生源による排出及び吸収源による除去に関する自国の目録に係る報告書」においては、同協定の第一回締約国会合決定十八等に基づき、人の活動に起因する温室効果ガスの吸収源による除去を報告することとなる。
三について
お尋ねの「半減させると自然界の吸収量と同等レベルになるという根拠やデータの出典」については、気候変動に関する政府間パネル第三次評価報告書における、千九百九十年から千九百九十九年までの人為起源の二酸化炭素排出量が年間約六十三億炭素トンであり、海洋及び陸上の二酸化炭素吸収量がそれぞれ年間約十七億炭素トン及び年間約十四億炭素トンである旨の記載である。
四について
お尋ねの「排出量と吸収量という点から説明」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「美しい星へのいざない」は、世界全体の温室効果ガスの排出量と吸収量との関係について示したものであるのに対して、御指摘の「今回の宣言」は、我が国の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す旨を表明したものである。
五について
御指摘の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の見直しについては、菅内閣総理大臣が、令和二年十月三十日の地球温暖化対策推進本部において、全閣僚に対し、「「成長戦略会議」や「国と地方で検討を行う新たな場」等において議論を重ね、「地球温暖化対策計画」、「エネルギー基本計画」、「パリ協定に基づく長期戦略」の見直しを加速してほしい」旨を指示したところであり、今後、そのスケジュールを含め、検討を進めていく考えである。