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令和三年六月十一日受領
答弁第一五九号

  内閣衆質二〇四第一五九号
  令和三年六月十一日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出住民の視点から考えた避難計画に必要な情報に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出住民の視点から考えた避難計画に必要な情報に関する質問に対する答弁書


一について

 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた中間報告書において、「国による避難指示等は、避難対象区域となった地方自治体全てに迅速に届かなかったばかりか、その内容も「ともかく逃げろ。」というだけに等しく、きめ細かさに欠けていた。」と指摘しており、住民への情報提供は東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の重要な教訓であると考えている。

二について

 原子力災害対策指針(平成三十年原子力規制委員会告示第八号)は、御指摘の東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故のような放射性物質の大規模な放出に至る場合等も想定し、防護措置の基本的な考え方を示している。

三の1について

 原子力災害対策指針に規定する「放射性物質又は放射線の異常な放出」とは、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「法」という。)第十五条第一項第一号に規定する異常な水準の放射線量の基準として原子力災害対策特別措置法施行令(平成十二年政令第百九十五号。以下「令」という。)第六条第三項各号に定める基準以上の放射線量が検出される放出を指すものであり、当該基準について、検出された放射線量の区分に応じ、それぞれ定める放射線量の基準をお示しすると、次のとおりである。
 令第四条第四項第一号に規定する検出された放射線量又は令第六条第一項の放射線測定設備及び同条第二項の測定方法により検出された放射線量(これらの放射線量のいずれかが、二地点以上において又は十分間以上継続して検出された場合に限る。) 一時間当たり五マイクロシーベルト
 令第四条第四項第三号イに規定する検出された放射線量 一時間当たり五ミリシーベルト
 令第四条第四項第四号に規定する検出された放射線量 一時間当たり十ミリシーベルト

三の2から4までについて

 原子力災害対策指針は、防護措置を迅速に実行できるよう、原子力災害対策重点区域を放射線被ばくによる重篤な確定的影響を回避し又は最小化するための予防的防護措置を準備する区域(PAZ)と確率的影響のリスクを低減するための緊急防護措置を準備する区域(UPZ)に区分し、放射性物質の放出開始前については原子力施設の放射性物質の閉じ込め機能の状態等に基づく緊急時活動レベル(EAL)に応じた防護措置を定め、放射性物質の放出後については空間放射線量率等の原則計測可能な値で表される運用上の介入レベル(OIL)に照らして区域ごとにとるべき防護措置を定めたものである。これにより、防護措置は、原子力施設の状況及びその周辺の空間放射線量率等の計測値に応じて講じられることとなっており、御指摘の「放射性物質が拡散し得る最大限の範囲を、気象条件も考慮した最悪のケース」についての情報、「原子炉に異常が起きた場合に、異常が起きた時点から環境中への放射性物質の放出が起きるまでの時間」についての情報及び「環境中への放射性物質の放出の始まりからの経過予想」は、避難において必ずしも必要ではないと考えている。

四について

 内閣府は、「地域防災計画の充実に向けた今後の対応」(平成二十五年九月三日原子力防災会議決定)等に基づき、原子力発電所の所在する地域ごとに、関係府省庁、地方公共団体等を構成員等とする地域原子力防災協議会を設置している。その上で、各地域の同協議会において、地域防災計画や避難計画を含むその地域の緊急時における対応(以下「緊急時対応」という。)が、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的なものであることを確認し、同府が、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条の三の規定に基づき設置される原子力防災会議(以下単に「原子力防災会議」という。)の了承を求めるため、その結果を原子力防災会議に報告することとしている。
 同協議会で緊急時対応を確認した地域の原子力災害対策重点区域に含まれる地方公共団体においては、お尋ねのような、住民等への情報伝達手段が失われるような状態になることがないよう、当該地方公共団体が作成する地域防災計画に基づき、防災行政無線、広報車、ラジオ、テレビ、携帯電話端末への電子メール(緊急速報メール)等の多様な手段を活用し、当該地方公共団体の住民等へ情報を伝達する体制を整備しているものと認識している。

五について

 御指摘の「大飯原発、高浜原発、川内原発、伊方原発」が所在する地域では、それぞれの地域の緊急時対応において、関係府県及び関係市町が備蓄している燃料が不足する場合には、経済産業省は、原子力災害対策本部の要請(関係府県又は関係市町の要請を受けて行うものを含む。)を受けて、関係業界団体等に調達の要請を行うこととしている。
 また、御指摘の「どこへ行けば避難に必要なガソリンを迅速に得ることができるのか」は、住民の安心に資する情報であると認識している。各地域の緊急時対応では、原子力災害対策指針に規定する施設敷地緊急事態に至った時点において、当該地域の住民はあらかじめ避難等の準備を開始することとされており、その際、政府及び地方公共団体は、当該住民等からの問合せに対応する相談窓口を設置するとともに、御指摘の「ガソリン」についての情報を含め、住民等のニーズを見極めた上で、必要な情報の収集、整理及び発信を適切に行うこととしている。
 その上で、各地域の地域原子力防災協議会等において、内閣府、同省及び関係府県を含む構成員により、各地域の緊急時対応が原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、その結果が原子力防災会議に報告され、了承されており、さらに、同府のホームページ等を通じて各地域の緊急時対応を周知している。

六について

 御指摘の「被ばく時間シミュレーション」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防護措置は、原子力施設の状況及びその周辺の空間放射線量率等の計測値に応じて講じられることとなっており、被ばくに関するシミュレーションを行うことは不確実性を伴うため、必ずしも必要ではないと考えている。

七について

 地方公共団体は、法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十条第一項及び第四十二条第一項の規定により、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づき、地域防災計画を作成することとされており、また、防災基本計画により、避難計画を策定することとされている。このため、地域防災計画を作成し、及び避難計画を策定する責務を有する地方公共団体が、必要に応じ、これらの計画について住民等に対して説明や意見聴取を行う機会を設けるものと認識している。

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