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答弁本文情報

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令和三年六月二十五日受領
答弁第二三五号

  内閣衆質二〇四第二三五号
  令和三年六月二十五日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「けがが故意か、事故か判断が難しい」という「課題」については、「子どもの虐待対応の手引きについて」(平成十一年三月二十九日付け児企第十一号厚生省児童家庭局企画課長通知。以下「手引き」という。)において、「支援にあたっては子どもの治療を最優先する。さらに、子どもの状態が安定し、受傷にいたる経過の解明の中でSBSの疑いが強ければ、子どもの安全確保のために職権による保護を行う。乳幼児の親子分離が親子関係の形成を阻害し、二次的な虐待の素地を作るというマイナス面を考慮にいれても、受傷の原因が特定できず虐待の可能性がある限りは、安全を第一に分離の判断をせざるを得ない」と示しているとおりである。
 また、「どのように対策するのか」とのお尋ねについては、手引きにおいて、「乳幼児揺さぶられ症候群や代理によるミュンヒハウゼン症候群のような事例では、医学的判定がきわめて重要な根拠になる。そのため、法医学の専門家を確保して、セカンドオピニオンをとるなどの必要がある」ことや「MRI、CT、全身骨撮影、眼底所見、出血傾向の検査などの医学的精査がなされているか、保護者から説明した受傷機転の内容が記載されているかなどを医師に質問し、慣れていない医療機関の場合には、虐待に詳しい医師や医療機関と連携して、十分な医療情報を集める必要がある」ことを示すとともに、「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の施行について」(令和二年三月三十一日付け府共第二百四十五号・子発〇三三一第二号内閣府男女共同参画局長及び厚生労働省子ども家庭局長連名通知)及び「児童虐待対応における法医学との連携強化について」(令和二年六月十八日付け厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課事務連絡)により、都道府県等に対して、大学における法医学教室等との連携の強化に努めるよう依頼しているところであり、引き続き手引き等について周知してまいりたい。

二について

 「必要不可欠な配慮については、どのように指導され実施されてきたのか」とのお尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、「一時保護ガイドライン」(平成三十年七月六日付け子発〇七〇六第四号厚生労働省子ども家庭局長通知別添)において、「一時保護の期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とする」ことや、一時保護中の家族との面会等の制限について、「子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする」ことを示すとともに、「家族との面会等に関しては、子どもの安全と安心を前提に、子どもの意思や気持ちも踏まえ総合的に判断する必要がある。また、子どもの意見を十分に聴取し、面会等を拒否してもよいことを伝え、拒否することによる保護者の反応を不安に思っている子どもには安心感をもたらすケアが必要である。その際には、現状や今後の見通しについて子どもに説明し、子どもの不安の軽減や疑問に答えるようにする」ことを示しており、都道府県等において、これらを踏まえた対応が行われているものと考えている。

三について

 「地方の先駆的な取り組みを国としても学んでいただきたい」との御指摘の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年四月二十二日に公表された「児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する検討会とりまとめ」において、「児童相談所から独立した第三者機関が、保護者、子ども、児童相談所からの申立てに基づき、これらの者の意見も聴取した上で、一時保護の手続に関与する仕組みを設けることも検討すべきとの指摘もあった」とされているところであり、政府としては、こうした点を踏まえて、一時保護の手続等の在り方について引き続き検討してまいりたい。

四について

 お尋ねについては、個別の事案に係るものであることから、お答えすることは差し控えたい。

五について

 「脳神経外科医を自治体がセカンドオピニオンとして登録し、児相に照会する仕組みを構築してはどうか」とのお尋ねについては、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案への対応に関する調査研究」において作成された報告書において、「セカンドオピニオンを求める先が少ない地域でもAHTの診断実績がある医師にアクセスできるよう、該当する全国の医師の情報を国がまとめ、全国の児童相談所に周知することが期待される」とされているところであり、政府としては、御指摘の脳神経外科医を含め、「AHTの診断実績がある医師」に係る情報の周知の在り方について、今後検討してまいりたい。

六について

 御指摘の「日本小児神経外科学会において発表された六病院共同研究の調査結果」について、政府として詳細を把握していないため、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの手引きの改訂については、現時点で具体的な予定はないが、法制度の変更や知見の蓄積等児童虐待に関する動向を踏まえながら、その必要性について検討してまいりたい。

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