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答弁本文情報

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令和四年三月四日受領
答弁第一七号

  内閣衆質二〇八第一七号
  令和四年三月四日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員阿部知子君提出介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問に対する答弁書


一について

 居宅介護支援費における特定事業所集中減算については、厚生労働大臣が定める基準(平成二十七年厚生労働省告示第九十五号)第八十三号において、その基準について、「正当な理由なく、指定居宅介護支援事業所において前六月間に作成した居宅サービス計画に位置付けられた指定訪問介護、指定通所介護、指定福祉用具貸与(指定居宅サービス等基準第百九十三条に規定する指定福祉用具貸与をいう。)又は指定地域密着型通所介護(以下この号において「訪問介護サービス等」という。)の提供総数のうち、同一の訪問介護サービス等に係る事業者によって提供されたものの占める割合が百分の八十を超えていること」と規定しているところ、「正当な理由」については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十二年三月一日付け老企第三十六号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、「サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合」や「居宅介護支援事業者の通常の事業の実施地域に訪問介護サービス等が各サービスごとでみた場合に五事業所未満である場合などサービス事業所が少数である場合」等を例示した上で、「実際の判断に当たっては、地域的な事情等も含め諸般の事情を総合的に勘案し正当な理由に該当するかどうかを市町村長において適正に判断」することとしているところであり、「一律に「集中減算」することは地域の実態や利用者のニーズを無視した机上の論議」との御指摘は当たらない。

二について

 御指摘の平成二十八年三月二十五日に会計検査院が参議院に報告した「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」において、「ケアマネジメントの公正・中立を確保するための合理的で有効な施策の在り方等について、特定事業所集中減算の見直しも含め、十分に検討すること」と指摘されたことを踏まえ、平成三十年度介護報酬改定において、居宅介護支援費における特定事業所集中減算について、主治の医師等の指示により利用するサービスが決まる医療サービス等を対象から除外する見直しを行うとともに、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十八号。以下「基準省令」という。)を改正し、指定居宅介護支援事業者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者をいう。以下同じ。)に対し、利用者は複数の指定居宅サービス事業者(法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス事業者をいう。以下同じ。)等を紹介するよう求めることができること等を説明することを義務付け、さらに、令和三年度介護報酬改定においては、基準省令を改正し、指定居宅介護支援事業者に対し、前六月間に作成した居宅サービス計画における訪問介護等ごとの回数のうちに同一の指定居宅サービス事業者等によって提供されたものの回数が占める割合等について、利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報の公表制度において公表することを義務付ける取組を行ったところである。

三について

 お尋ねの「介護保険サービス受給者の生活実態やニーズにあわせたケアマネジメントよりも、医師の判断が優先される事態が生じるケース」の意味するところが必ずしも明らかではないが、介護支援専門員については、基準省令第十三条第八号において、「居宅サービス計画の原案を作成しなければならない」と規定しているところ、同条第十九号から第二十号までにおいて、介護支援専門員が居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付けようとする場合の取扱いを規定し、例えば同号においては、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付ける場合にあっては、当該医療サービスに係る主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行うものとし、医療サービス以外の指定居宅サービス等を位置付ける場合にあっては、当該指定居宅サービス等に係る主治の医師等の医学的観点からの留意事項が示されているときは、当該留意点を尊重してこれを行うものとする」と規定しているところであり、また、指定居宅サービス等については、同条第十号において「利用者の同意を得なければならない」と規定しているところであり、お尋ねの「介護保険サービス受給者の生活実態やニーズにあわせたケアマネジメント」が適切に行われるよう必要な措置を講じているところである。

四から六までについて

 御指摘の「居宅介護支援事業そのものを独立させる」の意味するところが明らかではなく、また、「ケアプランを自社サービスに誘導するのは当然という考え方が横行している」とは認識していないが、いずれにしても、居宅介護支援(法第八条第二十四項に規定する居宅介護支援をいう。以下同じ。)の事業については、利用者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、利用者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われるものでなければならないことに鑑み、指定居宅介護支援事業者については、基準省令第一条の二第三項において「指定居宅介護支援の提供に当たっては・・・利用者に提供される指定居宅サービス等・・・が特定の種類又は特定の指定居宅サービス事業者・・・等に不当に偏することのないよう、公正中立に行われなければならない」と規定し、また、当該規定の実効性を担保する観点から、一について、二について及び三についてで述べたような措置を講じてきているところであり、事業所の設置形態にかかわらず、利用者のニーズ等を踏まえた居宅介護支援が公正中立に提供されるよう事業を行うことが必要であると考えている。
 また、政府としては、指定居宅介護支援事業者が、事業所の設置形態にかかわらず、安定的に運営されることは重要であると考えており、令和三年度介護報酬改定において、居宅介護支援について基本報酬の引上げ等を措置する等の取組を行っているところである。

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