答弁本文情報
令和四年五月十三日受領答弁第五七号
内閣衆質二〇八第五七号
令和四年五月十三日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員長妻昭君提出知床沖観光船事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出知床沖観光船事故に関する質問に対する答弁書
海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号。以下「法」という。)第二十三条において準用する法第十条の三第一項に定めるとおり、法第二十一条の二に規定する旅客不定期航路事業者は、安全管理規程を定め、国土交通大臣に届け出なければならないとされている。なお、有限会社知床遊覧船(以下「当該会社」という。)は、同条に規定する旅客不定期航路事業者である。
当該会社の安全管理規程に基づき定められた運航基準(以下「運航基準」という。)第二条第一項において、「船長は、発航前に運航の可否判断を行い、ウトロ漁港内の気象・海象が次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、発航を中止しなければならない。」とされ、同項の表において、「風速」については「八メートル毎秒以上」と、「波高」については「〇・五メートル以上」と、「視程」については「三百メートル以下」とされており、また、同条第二項において、「船長は、発航前において、航行中に遭遇する気象・海象(視程を除く。)に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達するおそれがあると認めるときは、発航を中止しなければならない。」とされ、同項の表において、「風速」については「八メートル毎秒以上」と、「波高」については「一・〇メートル以上」とされているものと承知している。さらに、運航基準第三条第四項において、「船長は、航行中、周囲の視程に関する情報を確認し、次の掲げる条件に達したと認めるときは、基準航行を中止し、当直体制の強化及びレーダの有効利用を図るとともにその時の状況に適した安全な速力とし、状況に応じて停止、航路外錨泊又は基準航路変更の措置をとらなければならない。」とされ、同項の表において、「視程」について「三百メートル以下」とされているものと承知している。なお、運航基準第四条において、「船長は、ウトロ漁港内の気象・海象に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、入港を中止し、適宜の海域での錨泊、抜港、臨時寄港その他の適切な措置をとらなければならない。」とされ、同条の表において、「視程」については「三百メートル以下」とされているものと承知している。
「事故当日、波浪注意報、強風注意報が発令されていたが、当該会社は「条件付き運航」(当該会社社長発言)、という形で、発航したとしているが、この「条件付き運航」というのはどのような考え方なのか。一般的に認められるのか」とのお尋ねについては、御指摘の「「条件付き運航」(当該会社社長発言)」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、運航基準第二条第二項の規定については、先に述べたとおりである。
「当該会社の今回の運航については、当該会社の安全管理規程に違反しているとお考えか」とのお尋ねについては、現在、当該会社に対し、法第二十五条第一項の規定に基づく立入検査を実施しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
「当該会社の安全統括管理者と運航管理者はそれぞれどなたか。双方とも社長が兼務しているのではないか」とのお尋ねについては、法第二十三条において準用する法第十条の三第五項の規定に基づき当該会社が行った届出によれば、当該会社の代表取締役が安全統括管理者に選任され、かつ、運航管理者に選任されているものと承知している。