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答弁本文情報

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令和四年六月二十四日受領
答弁第一三六号

  内閣衆質二〇八第一三六号
  令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員山崎誠君提出原子力損害の賠償負担金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山崎誠君提出原子力損害の賠償負担金に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「原子力損害の賠償に備えた資金としていた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力事業者は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第六条及び第七条第一項に基づき、一工場若しくは一事業所当たり又は一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとする原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結又は供託等の措置を講ずることとされている。
 また、お尋ねの「事故前に原賠法上、賠償措置額以外に原子力損害の賠償に備えた資金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、賠償措置額以外に、原子力事業者が、原子力損害の賠償に充てることができるものについて、原賠法上、特段の定めはない。

二について

 お尋ねの「「改正規則」にある「原子力損害の賠償に備えておくべきであった資金」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、電気事業法施行規則(平成七年通商産業省令第七十七号。以下「施行規則」という。)第四十五条の二十一の九第一項に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、原賠法に規定する賠償措置額とは異なり、万一の際の賠償の備えとして、一般負担金として東京電力福島第一原子力発電所事故前から納付しておくべきであった原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)第三十八条に規定する負担金の一部を指すものである。

三の1について

 お尋ねの「援助しているのではないか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第四十一条に規定する資金援助については、原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額を超えると見込まれる場合に、当該原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に資するため、当該原子力事業者が原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)に申し込むことができる資金的な援助である。

三の2及び3について

 お尋ねの「改正規則の「事故前に備えておくべきであった資金」」、「改正規則のいう原賠法上の「事故前に備えておくべきであった資金」」及び「事故前に「備えておかなかった資金」あるいは「備えておけなかった資金」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則第四十五条の二十一の九第一項に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、「賠償措置額千二百億円(補償金は千八百八十九億円)の備えでは足りなかった損害賠償交付金を意味する」のではなく、万一の際の賠償の備えとして、一般負担金として東京電力福島第一原子力発電所事故前から納付しておくべきであった機構法第三十八条に規定する負担金の一部を指すものである。

三の4について

 お尋ねの「責任」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

四の1について

 御指摘のとおり、「右の回答に誤りはない」と考えている。

四の2について

 お尋ねの「「過去分」三・八兆円の資金」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、施行規則第四十五条の二十一の九第一項に規定する賠償負担金である。

四の3及び4について

 お尋ねの「「過去分」の資金の全額」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、万一の際の賠償への備えとして確保されておくべきであったが、このための制度は機構法の施行以前に存在しなかったため、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成二十八年十二月二十日閣議決定。以下「福島復興指針」という。)において必要な措置を講ずることとしたものであり、当該措置に充てられる金額は約三・八兆円である。また、お尋ねの「原子力事業者の負担する「過去分」の資金の金額」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」のうち、原子力事業者が平成二十三年度から令和元年度までに納付した一般負担金についてのお尋ねであれば、その金額は約一・三兆円である。

四の5について

 お尋ねの「事故前に原子力事業者は、原賠法上及び原子力損害賠償保険契約上の負担義務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力事業者は、原賠法第六条に基づく損害賠償措置として、原賠法第七条に基づき原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結を行う場合については、原賠法第八条に基づき原子力損害賠償責任保険契約の保険料を支払うこと及び原賠法第十条に基づき原子力損害賠償補償契約の補償料を納付することとされている。
 また、お尋ねの「事故後に原子力事業者が、過去分三・八兆円の資金を負担しなければならない理由」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則第四十五条の二十一の九第一項に規定する賠償負担金については、万一の際の賠償への備えとして確保されておくべきであったが、このための制度は機構法の施行以前に存在しなかったため、福島復興指針において必要な措置を講ずることとしたものである。

五の1から3までについて

 お尋ねの「支援機構の交付国債の返済金」、「事故後の東電への交付金分(交付国債)の借入を返済する」及び「借入金の交付国債の返済」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第三十八条の規定において、原子力事業者は、機構法第三十五条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。

五の4について

 お尋ねの「支援機構の借入金を「一般負担金」で返済する」及び「交付国債の借入枠十三・五兆円」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、お尋ねの「東電への投資資金一兆円」の「借入金の返済」については、機構が保有する東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)の株式の売却やそれにより生じる利益によって行う考えである。

六の1について

 機構法第三十八条の規定において、原子力事業者は、機構法第三十五条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。また、全ての原子力事業者が機構に対して負担金を納付する義務を定める機構法第三十八条第一項の規定は、損害賠償に備えた原子力事業者の相互扶助の考えに基づいたものであるが、福島第一原子力発電所の事故による損害を賠償する直接的な責任を東京電力以外の原子力事業者に負わせるものではないことから、「原賠法第四条に定める責任の集中に反する」との御指摘は当たらないものと考える。

六の2について

 お尋ねの「一年間でいくら払うのか、その金額」及び「何年にわたって支払うのか、その期間」については、現時点において決定していない。

六の3について

 御指摘の「過去分三・八兆円」及び「損害賠償費用三・七兆円」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にそれぞれ「賠償負担金」と「一般負担金」についてのお尋ねであれば、「賠償負担金」は施行規則第四十五条の二十一の九第一項において、「一般負担金」は機構法三十八条において、それぞれ規定されているものである。

六の4について

 御指摘の「「事故前の過去分」とは別に「将来の事故の備えとして」の三・八兆円を支援機構に納付しなければならない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第三十八条の規定において、原子力事業者は、機構法第三十五条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。

六の5について

 お尋ねについては、賠償措置額について、国際水準に照らして十分高い水準であること、原子力損害賠償責任保険に係る国内外の保険市場の動向に照らして引上げが困難な状況にあること等を勘案した結果、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律(平成三十年法律第九十号)による原賠法改正時においては当該賠償措置額についての見直しを行わないと判断したものであるが、文部科学省を中心に、引き続き検討を行うこととしている。

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