答弁本文情報
令和四年六月二十四日受領答弁第一四六号
内閣衆質二〇八第一四六号
令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員長妻昭君提出子育て予算と出生率との相関関係等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出子育て予算と出生率との相関関係等に関する質問に対する答弁書
お尋ねの「子育て予算(家族関係支出)が増えると出生率が改善する可能性が高くなる、という認識は岸田内閣にあるか」については、「子育て予算(家族関係支出)が増えると出生率が改善する可能性が高くなる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「少子化社会対策大綱」(令和二年五月二十九日閣議決定。以下「大綱」という。)において、「少子化の背景には、(中略)個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っている」としているとおり、様々な要因が影響するものであると考えていることなどから、一概にお答えすることは困難であると考えている。
お尋ねの「日本の子育て予算のGDP比(家族関係支出のGDP比)と合計特殊出生率はOECD(経済協力開発機構)諸国の中でそれぞれ何位に位置するのか」については、経済協力開発機構(以下「OECD」という。)の「Family Database」(以下「データベース」という。)によると、我が国の二千十七年の「Public spending on family benefits」の対GDP比は、OECD加盟国のうち、同様の数値が示されている三十七箇国の中では第二十六位であり、また、データベースによると、我が国の二千二十年の合計特殊出生率は、OECDに加盟する三十八箇国の中では第三十五位である。また、「この順位に関して岸田内閣はどう評価するのか」については、大綱において、「少子化の背景には、(中略)個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っている」としているとおり、様々な要因が影響するものであると考えており、また、国民負担率などの違いもあり、単純に比較はできないと考えている。
お尋ねの「日本の出生率が上がらない主な理由を三つ示していただきたい。また、併せてそれぞれの解決策もお示し願いたい」については、「主な理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、大綱において、「少子化の背景には、(中略)個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っている」としているとおり、様々な要因が影響するものであると考えており、こうした「希望」の実現を阻む隘路を打破するため、長期的な展望に立って、総合的な少子化対策を進めていくこととしている。
お尋ねの「財源はこれから考えるのか。あるいは国債発行なのか」については、「財源はこれから考えるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、こども政策を強力に進めるために必要な安定財源について、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしている。また、防衛費について、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程において、@抜本的な防衛力強化の内容、Aその防衛力強化に必要な防衛費の規模、Bその防衛費の増額を裏付ける財源の在り方、を一体的に検討していくこととしている。
お尋ねの「所得再分配機能」については、「税の所得再分配機能」のみならず、社会保障制度等、所得再分配機能を持つ他の制度との関係も踏まえて評価すべきものであること、諸外国と我が国では所得の分布状況も異なり得ることから、一概に諸外国と比較することは困難である。
お尋ねの「所得税の累進を強化する、または、金融所得課税を上げる、などの財源確保策及び所得再分配機能強化策については、岸田内閣の中で実行するおつもりはあるのか、ないのか」については、今後の税制の在り方については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」(令和四年六月七日閣議決定)や令和三年十二月十日に与党が取りまとめた「令和四年度税制改正大綱」等を踏まえ、検討していくこととしている。