答弁本文情報
令和四年十月十八日受領答弁第三号
内閣衆質二一〇第三号
令和四年十月十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員末松義規君提出防衛省及び自衛隊に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員末松義規君提出防衛省及び自衛隊に関する質問に対する答弁書
一の1及び2について
お尋ねについては、「自衛隊を軍隊であると認識しているか」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
一の3について
お尋ねについては、「自衛隊を軍隊と認識していない」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、自衛権行使の要件が満たされる場合に武力を行使している状況下で敵に捕らえられ、又は敵の権力内に陥った自衛官については、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号、第二十四号、第二十五号及び第二十六号。以下「ジュネーヴ諸条約」という。)及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書T)(平成十六年条約第十二号。以下「追加議定書T」という。)における「捕虜」として扱われると解される。
一の4について
お尋ねの「各国が雇用する民間の傭兵」の意味するところが必ずしも明らかではないが、追加議定書T第四十七条1は、同条2の全ての条件を満たす「傭兵」について「戦闘員である権利又は捕虜となる権利を有しない。」と規定している。
一の5について
お尋ねの「自衛隊以外の防衛省職員」及び「自衛隊の構成員という位置づけで捕虜として待遇される」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛官以外の防衛省職員は一般に文民であり、ジュネーヴ諸条約及び追加議定書Tにおける「軍隊の構成員」には当たらないと解される。
一の6について
お尋ねについては、「自衛隊を軍隊と認めていない」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
二について
お尋ねの「戦闘機同士の空中戦等の場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条に基づく領空侵犯に対する措置は、国際法上認められる範囲内で行われるものであり、また、その際の武器の使用は、同条に規定する「必要な措置」として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合に許される。さらに、武器の使用については、上級の指揮官の許可を得て行うことを原則としているが、正当防衛や緊急避難に該当する場合にその許可を得るいとまがないようなときは、パイロットの判断で武器を使用することも許される。領空侵犯に対する措置の一環としての武器の使用が、このような「必要な措置」の範囲内で行われる限り、同条に基づき、当該武器の使用は適法であり、刑事上の責任が生じるものではない。
三について
お尋ねの「それ以外の医療行為」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、第一線救護衛生員は、准看護師の免許等を有することから、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)等の規定に基づき、准看護師等が行えるとされている行為を行うことができ、また、当該行為を行うことがお尋ねの「医師法に違反する」ものではないと考えている。
四について
お尋ねについては、「部外に対する意見等の発表に関する手続きについて」(平成二十一年三月十七日付け防研企第二百六十一号防衛研究所長通達)において、防衛研究所の職員が部外に対して職務に関する意見等を発表する際には、自衛隊員であり国家公務員である自らの立場と責任を自覚するとともに、当該発表内容が自己の個人的見解である旨明示する等、部外から同研究所又は防衛省の公式見解であるとの誤解を受けることのないよう留意するものとしている。また、同通達等において、同職員が職務として又は私人の立場において部外に対して職務に関する意見等を発表する際の届出の手続を定め、自らその意見が立場にふさわしいものとなっているかを確認する機会を与えるとともに、当該届出を順序を経て防衛研究所長まで提出させ、さらに、必要に応じて、事前に発表の内容について関係部署等と調整を行わせており、御指摘のような「何を実際に発言したのかをチェックする」こと等は考えていない。