答弁本文情報
令和五年十一月二十日受領答弁第二三号
内閣衆質二一二第二三号
令和五年十一月二十日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員原口一博君提出有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員原口一博君提出有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「二枚貝類の成長等に係る今後の見通し」については、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号。以下「法」という。)第二十四条に基づき設置された有明海・八代海等総合調査評価委員会の令和四年三月の中間取りまとめに示されているとおり、「有明海及び八代海等を取り巻く社会経済情勢等も大きく変化しており、また、気候変動に伴う気温や水温の上昇、豪雨やそれに伴う大規模出水等による影響も顕在化している状況」であることから、現時点において具体的な見通しをお示しすることは困難であるが、政府としては、同委員会の平成二十九年三月の報告における「有明海・八代海等の海域全体に係る再生目標」及び「有明海・八代海等の海域全体に係る再生方策」を踏まえ、アサリ、タイラギ等の資源回復に向けた取組を進めているところである。
二の1について
法第二十一条第一項において「漁業被害」とされ、法第二十二条第一項において「著しい漁業被害」とされていることからすれば、同項に規定する「著しい漁業被害」は、法第二十一条第一項に規定する「漁業被害」よりも漁業者に対する被害がより深刻なものを指していると解されることから、政府としては、従前より、御指摘の「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」ことを法第二十二条第一項を「発動する」要件としてきたものである。また、御指摘の「運用細則等」は定めていない。
二の2について
お尋ねについて、政府から佐賀県に御指摘の「佐賀県知事の発言」のような内容を伝えたという事実は確認できなかった。
また、特定の漁業被害が法第二十二条第一項に規定する「著しい漁業被害」に該当するか否かについては、法の趣旨にのっとり、当該漁業被害の状況を踏まえて個別具体的に判断するものであることから、お尋ねの「「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」と判断する際の基準となっている具体的な数字、金額及び根拠等」は設けていない。
二の3について
御指摘の「有明特措法の立法者意思に沿ったもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第二十二条第一項においては、赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合について定められており、御指摘の「努力義務」に係る規定は、平成二十三年の法の改正により加えられたものであるところ、政府としては、この改正後、同項の規定を適用するような状況は生じていないと考えていることから、同項の規定の運用を見直す予定はなく、また、御指摘の「同条で課された努力義務に違反するものである」とも考えていない。