答弁本文情報
令和五年十二月十二日受領答弁第八〇号
内閣衆質二一二第八〇号
令和五年十二月十二日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員阿部知子君提出東京電力福島第一原発から海洋排出される「ALPS処理水」の核種測定のあり方と外交課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出東京電力福島第一原発から海洋排出される「ALPS処理水」の核種測定のあり方と外交課題に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、政府としては、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)において、原子力規制委員会に認可された「福島第一原子力発電所 特定原子力施設に係る実施計画」(令和五年五月十日付け変更認可)に基づき、御指摘の「ALPS処理水」(以下「ALPS処理水」という。)の海洋への放出(以下「海洋放出」という。)の対象となるALPS処理水の希釈を行う前に、その都度、当該海洋放出の対象となるALPS処理水に含まれる合計三十核種の放射性物質を測定しているものと承知している。また、令和五年二月に東京電力が作成した「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出に係る放射線環境影響評価報告書(建設段階・改訂版)」において、希釈に用いられる海水による影響を含めてもなお、海洋放出による人への影響が小さいことが確認されているものと承知している。こうしたことから、希釈を行った後のALPS処理水及び御指摘の「海洋放出口周辺の海底土」において「二十九核種」の放射性物質を測定する必要はないと考えている。
なお、政府としては、東京電力において、「総合モニタリング計画」(平成二十三年八月二日モニタリング調整会議決定)に基づき、東京電力福島第一原子力発電所の周辺の海域のモニタリングを実施する際に、その一環として、同海域の海底土についても、継続的にモニタリングを実施しているものと承知している。
二について
御指摘の「核汚染の潜在的脅威」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、海洋放出について、東京電力において、国際放射線防護委員会の勧告を踏まえて定められている核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づく規制基準を厳格に遵守し、安全に万全を期した上で、実施されているものと承知しており、御指摘の「放出」の開始以前より一貫して、様々なレベルにおいて、また、様々な機会を通じて、太平洋諸島フォーラムの加盟国及び同事務局に対し、海洋放出について、科学的根拠に基づき丁寧に説明し、継続的にやり取りを行ってきているところであり、今後もこれらを継続していく考えであるが、その具体的な内容等については、相手方との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
三の1について
お尋ねについては、政府としては、御指摘の「放出前」及び「放出後」のいずれにおいても一貫して、様々なレベルにおいて、また、様々な機会を通じて、中国に対し、海洋放出について、科学的根拠に基づき丁寧に説明してきており、また、日本産の食品に対する中国による科学的根拠のない輸入規制措置については、その即時撤廃を強く求めてきているところである。同国とのやり取りの具体的な内容等については、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
三の2について
お尋ねについては、令和五年十一月十六日(現地時間)にサンフランシスコで行われた日中首脳会談において「双方は、お互いの立場に隔たりがあると認識しながら、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見い出していくこと」で一致したところであり、これを踏まえ、政府として、引き続き、中国に対し、海洋放出に対する科学的根拠に基づく冷静な対応及び日本産の食品に対する中国による科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めていく考えである。同国とのやり取りの具体的な内容等については、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。