答弁本文情報
令和五年十二月二十二日受領答弁第一一七号
内閣衆質二一二第一一七号
令和五年十二月二十二日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員山崎誠君提出日本原子力発電所東海第二発電所設置変更許可申請における経理的基礎の審査と認可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山崎誠君提出日本原子力発電所東海第二発電所設置変更許可申請における経理的基礎の審査と認可に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「借入金及び電気料金前払での資金調達」の意味するところが必ずしも明らかではないが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)第四十三条の三の八第一項の規定に基づき日本原子力発電株式会社(以下「日本原電」という。)から平成二十六年五月二十日付けでなされた発電用原子炉の設置に係る変更の許可を求める申請の審査において、日本原電が行う工事(以下「平成二十六年工事」という。)に要する資金については、自己資金及び借入金により調達する計画であることを確認している。また、当該借入金の一部は、御指摘の「電気料金前払」により確保することとしていると承知している。
一の2から4までについて
お尋ねの「工事期間の延長と工事金額の増額」については、現時点において、政府として承知しておらず、また、これを前提とした「変更申請は必要か」及び「審査も再び行われることになるのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。
一の5及び6について
御指摘の「補足説明資料」において示された工事(以下「令和元年工事」という。)については、法第四十三条の三の八第一項の規定に基づき日本原電から発電用原子炉の設置に係る変更の許可を求める令和元年九月二十四日付けの申請があり、同条第二項において準用する法第四十三条の三の六第一項第二号の規定に基づき審査を行った。
二について
御指摘の「東電の「電気料金前払」は、費用で相殺され残らない」及び「資金の確保計画金額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年工事及び令和元年工事については、御指摘の「電気料金前払」により、借入金により調達する資金の一部を確保することとしており、また、これらの工事に要する資金については、自己資金及び借入金により確保することとしていると承知している。
三の1から3までについて
御指摘の「電気事業法の電力料金規定」及び「電力自由化における自由競争の公正取引」の意味するところが必ずしも明らかではないが、事業者間で締結される電気の卸取引に係る契約の内容は、原則として自由であり、御指摘の「設備資金を前払により調達する場合(イメージ図)」に記載された方法に問題があるとは認識していない。
三の4について
御指摘の点を含めて、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)による個別の経営判断については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)第四十五条第一項の規定に基づき内閣総理大臣及び経済産業大臣が認定した「第四次総合特別事業計画」に示された廃炉や賠償の費用の捻出に向けて、企業価値を高め、国民負担の抑制を実現するとの方針に適合しないことにより、廃炉、賠償及び安定供給に大きな支障を及ぼすようなおそれがある場合を除いて、東京電力の経営陣の責任において行われるべきものと考えている。
四について
令和四年度の特別負担金については、機構法第五十二条第二項に基づき、国際的な燃料価格の高騰等の様々な要因の影響を受けた同年度の東京電力の収支の状況に照らして、零円と定められたものである。「東京電力による経営改革の取組等の検証・評価結果」(令和五年十二月一日原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会決定)によれば、「賠償(被災者賠償)・廃炉に関して、年間約五千億円の資金を確保する」との目標に対し、「新々・総特及び四次総特の期間中(二千十七〜二千二十二年度)、東京電力が賠償・廃炉に確保した資金(一般負担金、特別負担金、廃炉等積立金の合計)は、年平均で四千九十四億円であった」及び「東京電力からは、上記の各取組を通じ、二千二十三年度以降利益を回復させ、年間約五千億円の資金確保が可能になるとの見通しが示された」とされており、政府としては、廃炉、賠償及び安定供給に特段の支障が出たとは考えていない。