答弁本文情報
令和六年三月二十二日受領答弁第六三号
内閣衆質二一三第六三号
令和六年三月二十二日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員中谷一馬君提出流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中谷一馬君提出流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「荷主に協力する内容」については、今国会に提出している流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)第二条の規定による改正後の物資の流通の効率化に関する法律(平成十七年法律第八十五号)第六十条において、「その実施する第四十二条第一項に規定する措置に関し」として具体的に明示している。また、御指摘の「そのような誤解を招かない内容」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同法第六十条は、第一種荷主(同法第三十条第八号に規定する第一種荷主をいう。)が同法第四十二条第一項に規定する措置を実施するためには、当該第一種荷主との間で運送契約を締結する貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者の協力が必要な場合も想定されることから設けることとしたものであり、御指摘のような「トラック事業者等に肩代わりさせてもよいという誤解」を招くものとは認識していない。
二の1について
お尋ねの「適正化」は、改正法案第四条の規定による改正後の貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号。以下「新貨物自動車法」という。)第二十四条第一項に規定する健全化措置を指すものと思われるが、その内容は同項各号に掲げるとおりである。また、お尋ねの「多重下請に関する規制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同項第三号において、「二以上の段階にわたる委託の制限その他の条件を付すること」としている。
二の2について
改正法案では、貨物自動車運送事業における下請構造に対応するため、新貨物自動車法第二十四条、第二十四条の五等の規定を新設し、一般貨物自動車運送事業者が他の一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合における健全化措置の実施、同条第三項に規定する元請事業者(以下「元請事業者」という。)による同条第一項に規定する実運送体制管理簿(以下「実運送体制管理簿」という。)の作成等を定めることとしている。
二の3について
御指摘の「専業水屋についても、責務を担わせる本法律案の規制的措置とすべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、新貨物自動車法第三十七条第一項は新貨物自動車法第二十四条第一項の規定を準用しており、御指摘の「専業水屋」の行う利用運送が、新貨物自動車法第三十七条第一項に規定する「第一種貨物利用運送事業者に貨物の運送の委託をした者(その者に委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)をした者を含む。)が貨物自動車運送事業者である場合において、当該第一種貨物利用運送事業者が当該貨物の運送について一般貨物自動車運送事業者又は他の第一種貨物利用運送事業者の行う運送(自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約によるものを除く。)を利用する場合」に該当する場合には、当該「専業水屋」は、新貨物自動車法第二十四条第一項に規定する健全化措置を講ずるよう努めなければならないこととなるものである。
二の4について
実運送体制管理簿は運送体制の明確化を図るために作成するものであるため、元請事業者に加えて、「専業水屋」に対しても、重複してその作成を義務付ける必要はないと考えている。なお、「専業水屋」が元請事業者に貨物の運送を委託している場合には、当該「専業水屋」は、新貨物自動車法第二十四条の五第六項の規定に基づき、真荷主として、当該元請事業者が作成した実運送体制管理簿を閲覧し、当該運送に係る運送体制を把握することが可能である。
二の5について
お尋ねの点については、新貨物自動車法第十二条第一項の規定及び新貨物自動車法第三十七条第一項において読み替えて準用する新貨物自動車法第二十四条第二項の規定において義務付けることとしている。
三の1について
御指摘の「軽トラック事業者に対し、必要な法令等の知識を担保するための管理者の選任を義務付けることとしている」とは、新貨物自動車法第三十六条の二第一項の規定による貨物軽自動車安全管理者の選任の義務のことを指すものと思われるが、貨物軽自動車安全管理者として選任される者が受講すべき新貨物自動車法第五十八条の二に規定する貨物軽自動車安全管理者講習及び新貨物自動車法第五十八条の十六第一項に規定する貨物軽自動車安全管理者定期講習(以下「貨物軽自動車安全管理者講習等」という。)には、自動車の点検整備に関する内容を含むものとすることを予定している。また、御指摘の「運行管理者並みの資格」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現行の貨物自動車運送事業法第十八条第一項の規定が運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから運行管理者を選任しなければならないとしているのは、一定規模以上の組織を前提として事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるからであり、個人事業主が多数を占める貨物軽自動車運送事業者においては、貨物軽自動車安全管理者講習等を修了した者のうちから貨物軽自動車安全管理者を選任することとしたものである。
三の2について
お尋ねの「アルコール検査」については、現行の貨物自動車運送事業法においても、同法第三十六条第二項において準用する同法第十七条第四項に規定する輸送の安全を確保するために遵守すべき事項として、貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成二年運輸省令第二十二号)第七条第一項第一号の規定に基づき、貨物軽自動車運送事業者に、運転者に対して点呼時に酒気帯びの有無を確認することを求めているところである。また、お尋ねの「業務記録の作成と保管」及び「適性診断」については、一般貨物自動車運送事業者及び特定貨物自動車運送事業者に、同法第十七条第四項に規定する輸送の安全を確保するために遵守すべき事項として、同令第八条第一項及び第十条第二項に基づき、業務の開始及び終了の日時等について運転者等に記録させることを求めるとともに、運転者として新たに雇い入れた者等に適性診断を受けさせることを求めているが、貨物軽自動車運送事業者に対しては、そのような義務は課していないところ、貨物軽自動車運送事業者に対してこれらの義務を課することについて検討しているところである。貨物軽自動車安全管理者講習等には、これらの事項に関する内容を含むものとすることとし、これらの事項が適切に実施されるよう指導してまいりたい。
なお、お尋ねの「貨物運送保険(賠償責任保険)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、貨物軽自動車運送事業者に対しては、その事業の経営の届出時において、貨物の運送に関し支払うことのある損害賠償の支払能力を有することを宣誓させることで確認しているところである。
三の3について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「適性診断」については、貨物軽自動車運送事業者の運転者に対する適性診断の受診の義務付けについて、運転者が当該適性診断を円滑に受診できるようにするために必要な環境の在り方も含め、検討を進めているところである。