答弁本文情報
令和六年六月十八日受領答弁第一二七号
内閣衆質二一三第一二七号
令和六年六月十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員宮本徹君提出Jアラートの運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員宮本徹君提出Jアラートの運用に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについて、全国瞬時警報システム(以下「J−ALERT」という。)を使用した場合、鉄道等の公共交通機関において運転が停止されるなど、社会的に大きな影響があることは認識している。
二について
前段のお尋ねについては、「日米韓でリアルタイムの情報が共有されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日米韓三か国は、令和五年十二月に「北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有メカニズム」の運用を開始し、常時継続的にミサイル警戒データを共有してきている。
また、後段のお尋ねについては、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
三について
弾道ミサイルの可能性があるものが我が国に飛来する可能性がある場合、政府は、直ちにJ−ALERTを使用し、注意が必要な地域の国民に幅広く情報を伝達し、避難の呼び掛け等を行うこととしているところ、本年五月二十七日の事案については、弾道ミサイルの可能性があるものが我が国に飛来する可能性があったため、国民の安全の確保を最優先する観点から、J−ALERTを使用し、情報伝達を行ったものである。
その後、弾道ミサイルの可能性があるものが我が国に飛来する可能性がないこと及び後続する他の弾道ミサイルの可能性があるものが飛来する可能性がないことを確認した後、同日二十三時三分に避難の呼び掛けを解除したものであり、国民の安全の確保というJ−ALERTの役割に鑑みれば、そのタイミングは適切であったと認識している。
四について
J−ALERTは、弾道ミサイルの可能性があるものが我が国に飛来する可能性がある場合に、国民が避難するための時間を少しでも長く確保する観点から、注意が必要な地域の国民に対し、音声情報等により、迅速かつ簡潔に避難を呼び掛けるものである。
また、人工衛星の打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射と弾道ミサイルの発射は、いずれも弾道ミサイル技術を使用している点に変わりはなく、発射後直ちに当該発射が両者のいずれであるかを評価することは困難である。
こうした点を踏まえ、J−ALERTにおいては、発射されたものが弾道ミサイルであるか否かにかかわらず、端的に「ミサイル」と表現し情報伝達を行っている。
五について
御指摘の「日本国民にとってのリスク」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北朝鮮による人工衛星の打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射は、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止している、関連する国際連合安全保障理事会決議に違反するものである。また、北朝鮮による人工衛星の打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射は、その安全性の確認が困難であり、我が国の領土又は領海への落下等の不測の事態が発生する可能性が排除されないことを踏まえれば、J−ALERTにより対応する必要性については、こうした懸念が小さい御指摘の「韓国の人工衛星打ち上げ」とは異なると認識している。
六について
御指摘の「日本国民にとってのリスク」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「予告」の有無により、北朝鮮が発射する弾道ミサイルの可能性があるものによって国民の生命及び財産に被害が及ぶ蓋然性に大きな差が生じるものではないと考えている。いずれにせよ、政府としては、御指摘の「予告」の有無にかかわらず、引き続き国民に迅速かつ的確な情報伝達を行う必要があると考えており、御指摘のように「Jアラートの運用を根本的に見直す」ことは考えていない。
七について
お尋ねについては、北朝鮮による弾道ミサイルの可能性があるものの発射に係る事案における個別具体的な状況により異なることから、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、北朝鮮による弾道ミサイルの可能性があるものの発射に係る事案に際しては、防衛省から内閣官房に対し、所要の情報を入手次第、可能な限り速やかに伝達することとしている。
八について
お尋ねについては、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。なお、政府としては、弾道ミサイルの可能性があるものが我が国の領土又は領海に落下する可能性がある場合に加え、我が国の領土、領海等の上空を通過する可能性がある場合にも、当該弾道ミサイルの可能性があるものからの落下物による被害が生じる可能性が排除できないことから、J−ALERTを使用することとしている。
九について
お尋ねの「大気圏外の宇宙空間ではないのか」及び「リスク」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「宇宙空間」の定義については、現行法令において規定されたものはないが、いずれにせよ、政府としては、弾道ミサイルの可能性があるものが我が国の領土、領海等の上空を通過する場合には、その軌道に大気圏外が含まれるか否かにかかわらず、当該軌道の直下及びその周辺の地域に落下物による被害が生じる可能性が排除できないことから、防衛省のホームページに掲載する「お知らせ」等において、国民への分かりやすい情報発信を図る観点から、御指摘の「○○県上空」等の表現を用いているものであり、こうした対応は適切であると考えている。
十について
弾道ミサイルの可能性があるものが我が国の領土、領海等の上空を通過する場合には、その軌道に大気圏外が含まれるか否かにかかわらず、当該軌道の直下及びその周辺の地域に落下物による被害が生じる可能性が排除できないことから、J−ALERTを使用する必要があり、その運用を見直すことは考えていない。