答弁本文情報
令和六年六月二十五日受領答弁第一五六号
内閣衆質二一三第一五六号
令和六年六月二十五日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員緑川貴士君提出往診距離規制緩和等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員緑川貴士君提出往診距離規制緩和等に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「医療機関で対応できないという確認」については、「疑義解釈資料の送付について(その六十三)」(令和五年十二月二十八日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、「半径十六キロメートル以内にある、普段、受診や相談等をしている保険医療機関等に確認を行」うこととしているが、同事務連絡においては、「連絡がつかなかった場合」には、御指摘の「医療機関で対応できないという確認」を行ったものとする扱いとしていることから、当該「確認」に過度に御指摘のように「時間を要する」とは考えておらず、したがって、御指摘のように「より迅速に確認を取れる仕組みを考える必要がある」とは考えていない。
二の前段について
お尋ねの「数字の根拠」については、効率的な医療提供の観点、緊急時の対応、地域における他の施設との連携などによる適切な医療の提供等の観点から、保険医療機関の所在地と患家の所在地との間の距離を十六キロメートル以内としているところである。
二の後段について
御指摘の「地理や交通事情等」は、御指摘の「過疎地域」でも「都市部」でも様々であることから、御指摘のように「過疎地域と都市部とを区別し、過疎地域での規制距離を長くする等、見直す」ことは困難であると考えている。
三について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、診療報酬改定に当たっては、医療経済実態調査により医業経営の実態を把握し、物価及び賃金の動向など医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案するとともに、中央社会保険医療協議会の審議を踏まえ、人件費を始め必要な経費が確保されるよう努めているところ、令和六年度診療報酬改定において、御指摘の「往診の診療報酬の引上げ」については、地域における二十四時間の在宅医療の提供体制の構築を推進する観点から、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一区分番号C000の注9に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院以外の保険医療機関に限る。)によって計画的な医学管理の下に主治医として定期的に訪問診療を行っている患者に対して、往診を行った場合」を評価する「往診時医療情報連携加算」を新設したところであり、また、御指摘の「高騰する医療資器材費、医師・看護師等の人件費等」への対応については、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた対応として、医療機関において、勤務する看護職員、薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合を評価する「外来・在宅ベースアップ評価料(T)」等を新設する等、物価及び賃金の動向、医療機関等の収支や経営状況等を踏まえ改定を行ったところであり、引き続き、適切に対応してまいりたい。
四について
令和六年度診療報酬改定においては、御指摘の「往診に関する評価」については、患者の状態に応じた適切な往診の実施を推進するとともに、質の高い在宅医療提供体制の構築を推進するために、三についてでお示しした「往診時医療情報連携加算」によっても評価する等の対応を含め、行ったものであり、御指摘のように「在宅医療提供がかえって困難になる地域が増える懸念があり、逆行する」ものとは考えておらず、引き続き、当該体制の構築を推進してまいりたい。
五について
歯科衛生士に係る御指摘の「離職防止策」及び「離職者の復職支援」については、厚生労働省において、「歯科衛生士の人材確保実証事業実施要綱」(平成二十九年四月二十八日付け医政発〇四二八第十六号(令和六年六月十九日最終改正)厚生労働省医政局長通知)に基づく「歯科衛生士復職支援・離職防止等研修指導者養成研修事業」により、「地域で中核を担う研修指導者や臨床実地指導者等の人材を育成するため、研修会やワークショップを全国四地区程度で実施する」とともに、「雇用主として求人を行う歯科医療機関の就業に係る知識・意識を高めることを目的として、歯科医療機関の管理者や復職相談等を受ける者に指導を行う人材を育成するための研修を実施する」こととし、また、同要綱に基づく「歯科衛生士技術修練部門運営事業」により、「歯科衛生士が復職する際の技術修練及び新人歯科衛生士が技術修練を行う教育機関(歯科衛生士学校養成所等)に対して技術修練部門の運営に係る費用を支援する」こと等としており、さらに、令和六年度診療報酬改定において、歯科衛生士等も含む医療従事者の人材確保や賃上げに向けた対応を行うこととし、歯科医療機関において、勤務する歯科衛生士等の賃金の改善を実施している場合の評価の新設等を行ったところであり、引き続き、適切に対応してまいりたい。