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答弁本文情報

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令和六年十二月十日受領
答弁第一二号

  内閣衆質二一六第一二号
  令和六年十二月十日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出金融・税制・財政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出金融・税制・財政に関する質問に対する答弁書


一について

 令和六年四月二十六日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「例えば、金融商品の保有期間の長さに応じまして課税の在り方を変えること、これは、金融取引におけます課税の中立性を損ない、売買時期の判断や商品の選択に税制がゆがみを与えてしまうおそれがある、そのように考えます。」と答弁しているとおり、お尋ねの「国内居住者における国内企業の発行する有価証券の短期譲渡所得に係る課税を強化する等の施策」については、慎重な検討が必要である。

二について

 お尋ねの「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」については、日本銀行の業務運営に関する事項であり、同行において、同行の政策委員会議事規則(平成十年四月一日日本銀行制定)第二十三条の規定に基づき政策委員会が定めたものであると承知しており、その変更に関するお尋ねについては、同行の自主性を尊重する観点から、政府としてお答えすることは差し控えたい。また、政府として、当該申し合わせの内容について、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)に規定することは考えていない。

三について

 御指摘の「銀行等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、銀行については、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)及び銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十号)において、顧客に対し、銀行としての取引上の優越的地位を不当に利用して、取引の条件又は実施について不利益を与える行為等が禁止されているほか、顧客の利益が不当に害されることのないよう体制の整備等の措置を講じることが義務づけられており、関連規定の遵守の状況について問題が認められた場合には、同法に基づき改善を求めることとなる。
 債権回収会社については、債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)及び債権管理回収業に関する特別措置法施行規則(平成十一年法務省令第四号)において、債権の管理又は回収の業務を行うに当たり、偽りその他不正の手段を用いることを禁止するなど、債権回収会社の業務の適正な運営の確保を図るための規定が設けられており、これらの規定の遵守の状況について問題が認められた場合には、同法に基づき改善を求めることとなる。
 お尋ねの「金融債務者の保護に係る包括的な法制度の整備」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「金融債務者」については、このような法制度に基づき、その保護を図っているところであり、政府としては、更なる法整備については、その必要性等を慎重に検討する必要があるものと考える。

四の1について

 お尋ねのインボイス制度の導入においては、制度の導入後も免税事業者から課税事業者となる事業者は一部であると想定される上に、個々の免税事業者によって、課税事業者になった際に必要な消費税の価格への転嫁の程度も異なるなど、その影響は、個々の事業者によって様々であると考えられるため、事業者が共同して行う消費税の価格への転嫁について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定を適用しないとする措置は講じないこととしたものである。

四の2について

 お尋ねの「事業規模が小さい個人事業主等の免税事業者に対し、課税事業者への転嫁による新たな税負担を課すものであり、税の応能負担に反すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのインボイス制度については、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものであり、同制度を廃止することは考えていない。

五の1について

 前段のお尋ねについては、令和六年二月二十日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「一般的に、直接税とは、納税義務者と税を負担する者が一致することを予定している税であり、一方、間接税とは、税負担の転嫁が行われ、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税であるとされていると承知をいたしております。消費税につきましては、消費税法やその創設時の税制改革の基本理念等を示した税制改革法の規定を踏まえますと、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて、最終的には消費者が負担することを予定しているものであることから、間接税に該当すると考えているところであります。」と答弁したとおり、消費税が直接税と間接税のいずれであるかは、全ての事業者が消費税負担を転嫁できているか否かで判断するものではないことから、お尋ねのように「事業者が税負担することとなるという実態があるのであれば、消費税は直接税であるともいえる」とは考えていない。
 中段のお尋ねについては、消費税については、納税義務者である事業者が国等に納付するが、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定しているものであり、お尋ねの「欠損法人」を含む事業者は転嫁前の価格を引き下げることもあることから、「消費税は、欠損法人も負担しなければならず、これが日本経済の弱体化につながっている」とは考えていない。
 後段のお尋ねについては、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、消費税率を引き下げることは考えていない。このため、消費税率の引下げを前提とした検討を行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、御指摘の「国民の所得向上」については、石破内閣総理大臣が、令和六年十月四日の所信表明演説において、石破内閣の経済政策について「賃上げと人手不足緩和の好循環に向けて、一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります。」と述べているところである。

五の2について

 前段のお尋ね及び後段のお尋ねのうち「非正規雇用労働者を増やすことにつながり、雇用の不安定化を招くこととなる」については、非正規労働者のうちパートタイム労働者のように直接雇用される者に対して支払う給与に関しては、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)上、正社員に対して支払う給与と同様の取扱いとなり、また、非正規労働者のうち派遣労働者のように直接雇用されない者に関して支払う派遣料に関しても、平成二十五年三月六日の参議院本会議において、安倍内閣総理大臣(当時)が「派遣労働者の受入れ企業は、派遣料に係る消費税額を控除できることになりますが、一方で、人材派遣会社に対しては派遣料に上乗せして消費税を支払うことになるため、直接雇用の場合と比べて損得は生じないことになります。したがって、消費税が非正規雇用を拡大してきたということにはならないと考えております。」と答弁したとおりであり、消費税について、「派遣労働者の受入先事業者が負担する消費税額が少なくなる」及び「非正規雇用労働者を増やすことにつながり、雇用の不安定化を招くこととなる」との御指摘は当たらないと考えている。
 また、後段のお尋ねのうち「雇用者側における税務上の取扱いに差が生ずること」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に人材派遣会社が消費税率の引上げ分に相当する額を派遣料に転嫁できていなくても派遣労働者を受け入れる事業者においては引上げ後の消費税率を適用して納税額を計算することを指すとすれば、ある労働者に係る報酬を、給与として労働者に直接支払うか、労働者派遣の対価に消費税相当額を上乗せして人材派遣会社に支払うかの選択について消費税は中立的であり、人材派遣会社に支払う金額が、給与として労働者に直接支払う場合の金額に消費税相当額を上乗せした金額を下回るときは、労働者派遣の対価そのものが引き下げられたと考えられる。

六について

 令和七年度予算におけるお尋ねの「特定目的予備費」の在り方については、経済社会情勢の変化等を踏まえた検討を行っているところである。

七について

 御指摘の「基金」に係る事業や「国民に対し減税や給付を実施するなど」の施策については、各年度の予算編成過程において、個々の事業や施策の必要性、有効性等を踏まえ、検討していくべきものと考えている。

八について

 外国為替資金特別会計が保有する外貨資産については、本邦通貨の外国為替相場の安定を実現するために必要となる外国為替等の売買等を円滑に行うため、安全性及び流動性に最大限留意した運用を行うこととしており、米国債を中心とする外貨証券等を保有しているが、通貨別の保有残高等については、金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、公表することは考えていない。

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