答弁本文情報
令和六年十二月十日受領答弁第一七号
内閣衆質二一六第一七号
令和六年十二月十日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員原口一博君提出有明海再生に向けた取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員原口一博君提出有明海再生に向けた取組に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「佐賀新聞の記事」の「記述」のうち「百億円の基金創設」については、「国として開門しないとの方針」を示した平成二十九年四月二十五日付け農林水産大臣談話を踏襲した令和五年三月二日付け農林水産大臣談話における「有明海再生の加速化を図るため」の「必要な支援」に関する、福岡有明海漁業協同組合連合会、佐賀県有明海漁業協同組合及び熊本県漁業協同組合連合会で構成する諫早湾干拓事業対策委員会の要望であると承知している。
二の1について
御指摘の佐賀県副知事から農林水産省農村振興局長に宛てた令和六年八月三十日付け照会文書に対しては、同局長から同副知事に宛てた同年九月三十日付け文書において、「令和五年三月二日付け農林水産大臣談話「有明海の再生を願う皆様へ」において、裁判ではなく、話し合いにより開門によらない有明海再生を図っていくという方向性に御賛同が得られれば、国は、関係者が、有明海再生の加速化を図るため合意し、協働して実施する各種方策を後押しするため、可能な範囲で、関係者の御意見を踏まえつつ、必要な支援を講じるとしています。」、「この「必要な支援」の具体的な内容については、関係する県、漁業団体の御意見を聴取しつつ、検討を継続していますので、令和七年度予算概算要求においては、事項要求の形で予算要求を行いました。」及び「引き続き、「必要な支援」の具体的な内容については、関係者の御意見を踏まえつつ、今後の予算編成過程において検討します。」と回答しているところである。
二の2及び3について
御指摘の「関係する裁判における原告漁民等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、諫早湾干拓事業に係る訴訟当事者及び訴訟当事者であった者を含む漁業者で組織される福岡有明海漁業協同組合連合会、佐賀県有明海漁業協同組合、長崎県漁業協同組合連合会及び熊本県漁業協同組合連合会の意見を令和六年九月四日の有明海漁場環境改善連絡協議会(以下「協議会」という。)で聴取するとともに、同日以降において関係する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会の意見を個別の面会等の機会を通じて聴取しながら、予算編成過程において御指摘の「必要な支援」の具体的内容を検討している。また、御指摘の「事項要求の検討・調整に係る具体的な予定・スケジュール」については、予算編成過程において検討することとしており、現時点において具体的な見通しをお示しすることは困難である。
三について
一についてで述べたとおり、御指摘の「令和五年大臣談話」は、御指摘の「国として開門しないとの方針」を示した平成二十九年四月二十五日付け農林水産大臣談話を踏襲したものである。政府としては、引き続き、開門によらない有明海再生の取組を進める方針の下、御指摘の「中長期間の開門調査」は実施せず、「令和五年大臣談話」を踏まえ、「積み重ねられた司法判断」とこれまでの有明海再生に向けた対策における水産資源の回復に向けた取組により得られた「最新の科学的知見に基づき、有明海の未来を見据えた「話し合い」を行い、「合意」した有明海再生の方策を、「協働」して実施していくべき」との考えである。
四について
御指摘の「幼生や稚貝が成貝に育つこと」に関しては、例えば、アサリの稚貝及び成貝から成る資源量について、その内訳は必ずしも明らかではないが、有明海の水産資源の回復、海域環境の改善等、有明海沿岸各県が協調した取組について意見交換等を行うために令和六年三月二十六日に開催した協議会において、福岡県から「取組の成果もありまして、令和五年十月のアサリの資源量は約四千四百トンに増加」している旨の報告があったところである。