答弁本文情報
令和六年十二月二十七日受領答弁第八一号
内閣衆質二一六第八一号
令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員島田洋一君提出GX実行会議及び第七次エネルギー基本計画策定における石破内閣の基本姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員島田洋一君提出GX実行会議及び第七次エネルギー基本計画策定における石破内閣の基本姿勢に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「電気代などの光熱費」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、需要家に対するエネルギーの供給価格の水準は、エネルギー供給を行う事業者によって様々な要素を勘案して決定されるものであるため、政府として、御指摘の「第七次エネルギー基本計画」に記載することを含め、その水準について数値目標を設定することは困難であるが、いずれにせよ、エネルギー政策の検討に当たっては、安全性の確保を大前提に、エネルギー安定供給、経済効率性及び環境適合性の最適なバランスを追求していくことが重要であると認識している。
二について
御指摘の「国際連合の諮問機関である気候変動に関する政府間パネルが示した過渡排出気候応答係数」については、同パネルが令和三年にまとめた第六次評価報告書第一作業部会報告書において、累積の二酸化炭素排出量が一兆トン増加するごとに世界平均気温が〇・二七度から〇・六三度までの間で上昇する可能性が高いと、相当程度の幅をもって評価されているものであるが、お尋ねについては、いずれも、「二〇五〇年までに日本のCO2排出を直線的にゼロにする」との仮定に基づくものであり、お答えすることは困難である。
三について
御指摘の「任意性を伴い過去の再現の精度も不十分なシミュレーション」の意味するところが必ずしも明らかではないが、台風については、昭和二十六年から令和五年までの発生数について統計学的な手法を用いて解析した結果、長期的な変化傾向が見られないものの、一時間当たりの降水量が五十ミリメートル以上の降雨については、気象庁におけるアメダスの観測によると、昭和五十一年以降、年間の発生回数が統計的に有意に増加しており、また、一日当たりの降水量が百ミリメートル以上及び二百ミリメートル以上の年間日数についても、全国五十一地点の観測によると、明治三十四年以降、統計的に有意に増加している。
四の1について
お尋ねの「GHG削減目標」については、我が国として、脱炭素、エネルギー安定供給及び経済成長を同時に実現することを目指すとの考えの下、世界の平均気温の上昇を工業化以前の水準よりも摂氏一・五度に抑えるよう、野心的な温室効果ガスの削減目標を掲げ、その達成に向けて、必要な取組を進める方針である。
四の2について
お尋ねの「GHG削減目標の国連気候変動枠組条約事務局への提出」については、我が国として、パリ協定(平成二十八年条約第十六号)及びこれに関連する決定文書に基づき対応することとしている。
五について
お尋ねの「経済性の悪さ、災害時の危険性、CO2発生に鑑みた太陽光発電への疑義」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーの導入については、政府として、これまで、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促すといった考え方に基づき、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)に基づく入札制度等の再生可能エネルギー発電設備の効率的な導入を促す仕組みの活用、再生可能エネルギー発電事業を円滑かつ確実に実施するために必要な関係法令の規定の遵守を求める等の同法の厳格な運用等の取組を進めてきたところである。また、御指摘の「人権上の観点からの中国製太陽光パネルの輸入禁止」については、政府として慎重な検討が必要な論点と認識しているが、「人権上の観点」の重要性に鑑み、日本で事業活動を行う企業による国内外のサプライチェーン等における人権尊重の取組を促進するため、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(令和四年九月ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議決定)を策定し、周知に努めるなどしているところである。
六について
御指摘の「原子力発電の全電源に占める比率」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、政府として、「エネルギー基本計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)において、「原子力発電については、CO2の排出削減に貢献する電源として、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進め、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組み、電源構成ではこれまでのエネルギーミックスで示した二十〜二十二パーセント程度を見込む。」と示した方針等を踏まえ、今後の方針を検討しているところである。
七について
御指摘の「石油・石炭・天然ガスのいずれについても安定した利用を実現」及び「CO2に関する政策がその妨げにならないようにすべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、政府として、一についてで述べたとおり、エネルギー政策の検討に当たっては、安全性の確保を大前提に、エネルギー安定供給、経済効率性及び環境適合性の最適なバランスを追求していくことが重要であると認識している。