答弁本文情報
令和六年十二月二十七日受領答弁第一〇七号
内閣衆質二一六第一〇七号
令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員北野裕子君提出「風邪」を五類感染症に含める省令改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員北野裕子君提出「風邪」を五類感染症に含める省令改正に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、令和五年一月二十七日に厚生科学審議会感染症部会(以下「感染症部会」という。)が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて」において、「将来的なパンデミックに備えて、季節性インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症等を含む急性呼吸器感染症サーベイランスのあり方・・・について、定点医療機関における負担等も考慮しながら本部会において検討を進める」とされたところ、感染症部会において、御指摘の「医療機関における業務負荷」及び「公衆衛生上の利益」についての「評価」を含め、「公開」での議論及び検討が行われた上で、令和六年十月九日に開催された第九十回感染症部会において、「急性呼吸器感染症」を「新たに五類感染症に位置づける」ことが確認されたことを踏まえ、御指摘の「省令」を「策定」した上で、「省令」の施行に向けて、例えば、感染症部会で議論された「医療機関における業務負荷」を「考慮」し、厚生労働省のホームページにおいて「一般の皆様やご協力いただく医療機関の皆様にご理解いただきたいポイント」に関する「Q&A」を掲載しているほか、「定点医療機関」の重点化や「報告」様式の簡素化などの対応について現在検討しているところである。
二について
御指摘の「パブリック・コメントで寄せられた意見」の中には、質問や必ずしも「反対」又は「賛成」に分類できない意見等も含まれることから、一概にお尋ねの「反対・賛成比率」をお示しすることは困難であるが、お尋ねの「主な意見の内容」については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第四十三条の規定に基づき、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和六年厚生労働省令第百五十六号)の公布の日に、「「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関する御意見募集の結果について」として公示しているところであり、「主な意見」も踏まえて、一についてでお答えしたとおり、厚生労働省のホームページへの掲載を行っているほか、必要な対応について検討しているところである。
三について
お尋ねの「可能性」については、一についてでお答えしたとおり、感染症部会において、一で御指摘の「医療機関における業務負荷」について議論が行われており、例えば、「RSウイルスに関しましては、大事な感染症ではありますけれども、発熱の有無の中で、冬場など臨床現場にかなりの負担がかかるのではないか」等といった意見もあったところであり、お尋ねの「具体的対策」については、一について及び二についてでお答えしたとおり、厚生労働省のホームページへの掲載を行っているほか、必要な対応について検討しているところである。
四について
お尋ねについては、一についてでお答えしたとおり、感染症部会において、お尋ねの「公衆衛生上の利益」について議論が行われており、例えば、「呼吸器感染症、呼吸器症状を呈する患者さんというのは感染症対策上非常に大切ですし、これまでもいろいろなパンデミックとか再興感染症がそのような患者さんとして発症してきたことは頻度も高いですから、ARIのサーベイランスを採用することにはもちろん賛成」等といった意見もあったところである。なお、一についてで述べた厚生労働省のホームページの「Q&A」において、「新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、[一]こうした流行しやすい急性呼吸器感染症の流行の動向を把握すること、また、[二]仮に未知の呼吸器感染症が発生し増加し始めた場合に迅速に探知することが可能となるよう、平時からサーベイランスの対象とするために、感染症法の五類感染症に位置付けることとしました。これにより、公衆衛生対策の向上につながると考えています。」と公表しているところである。
五について
御指摘の「本件省令案により新たに発生する医療費や公衆衛生の改善効果」の意味するところが明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、「公衆衛生」の向上及び増進に関しては、四についてでお答えしたとおりである。
六について
前段のお尋ねについては、例えば、令和六年八月二日の閣議後記者会見において、武見厚生労働大臣(当時)が「急性呼吸器感染症を感染症法の五類感染症に位置付けることで、新型コロナウイルス感染症等、個別に把握している感染症以外の急性呼吸器感染症についても、平時から探知できる体制整備が可能となります。この結果、個別に把握していない急性呼吸器感染症についても、迅速に適切な感染症対策の検討を行うことに繋がると考えています」と述べているとおりであり、迅速かつ適切に、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図ることで、公衆衛生の向上及び増進につながると考えている。また、後段のお尋ねについては、御指摘の「未知の感染症」として「急性呼吸器感染症」を「平時から探知できる体制整備が可能」となることで、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等感染症に該当するかの判断が容易となり、当該感染症に該当する場合には、御指摘の「これまでの新型コロナウイルス感染症への対応の課題を踏まえ」て改定された「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(令和六年七月二日閣議決定)に基づき対応することとなり、同計画に定める「国民生活及び社会経済活動への影響の軽減」等が図られるものと考えている。