答弁本文情報
令和七年二月七日受領答弁第二七号
内閣衆質二一七第二七号
令和七年二月七日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 林 芳正
国務大臣 林 芳正
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出医師の研修義務および美容医療の急拡大による消費者への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出医師の研修義務および美容医療の急拡大による消費者への影響に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「修了率および未修了者の人数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、厚生労働省において医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十六条の二第一項に規定する臨床研修(以下「医師臨床研修」という。)の実施状況を把握するために毎年度行っている調査によると、同項に規定する都道府県知事の指定する病院における臨床研修医の在籍状況について、一年次、二年次及び未修了者(二年間の研修期間の終了時において医師臨床研修を修了したと認められていない者をいう。)の人数は、令和五年四月一日時点で、それぞれ、九千三百八十八人、九千百六十五人及び百三十二人であり、また、令和六年四月一日時点で、それぞれ、九千四百六十人、九千三百六十四人及び百十七人である。
二について
お尋ねについては、医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令(平成十四年厚生労働省令第百五十八号)第二条において、医師臨床研修の基本理念として、「臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない。」と規定しているところであり、医師臨床研修の実施により、御指摘の「医療の質向上」が図られているものと考えている。
三について
お尋ねの「最新の国家試験合格後に美容医療に従事している医師の人数および割合」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、「令和四(二千二十二)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」の「表四 主たる診療科別にみた医療施設に従事する医師数及び平均年齢」によると、令和四年十二月三十一日現在、「美容外科」を主たる診療科とする「医療施設に従事する医師数」は「千二百四十七」人であり、これの医師数全体に占める「構成割合」は「〇・四」パーセントとなっている。
四について
お尋ねの「三を踏まえ、政府として、医師の偏在が存在すると考えているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、美容医療に関するお尋ねの「医師の偏在」については、厚生労働省医政局長が参集を求めて開催していた、美容医療や医事関係の法制度等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「美容医療の適切な実施に関する検討会」が令和六年十一月に取りまとめた報告書(以下「検討会報告書」という。)において、「医師の偏在是正の観点から臨床研修修了直後であるなど若手の医師が美容医療の領域に流れていること等の諸課題について指摘されたところ、かかる問題については、本検討会の議論の対象ではないものの、引き続き、厚生労働省において別途必要な検討をしていく必要がある」とされているところであり、同省において、引き続き、美容医療の実態等を把握することとしている。
五について
医師法第十六条の二第一項において、「診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない。」と規定しているところ、御指摘のように「国家試験合格後、医師臨床研修を経ずに美容医療を志す」ことは、一般に想定されないと考えている。その上で、御指摘の「報酬を含めた研修医の待遇の問題」に関し、「保険医療に対する診療報酬の見直し」については、令和六年度診療報酬改定において、四十歳未満の臨床研修医を含む勤務医師等の処遇を改善するため、初診料、再診料及び入院基本料等の引上げ等の措置を講じたところであり、引き続き、賃金の動向や当該改定による影響等を踏まえ、適切に検討してまいりたい。
六について
御指摘の「指針等の作成を検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、国民が安心して必要な医療を受けることができるようにすることは重要であると考えており、検討会報告書において、「関係学会によるガイドラインの策定」として「治療内容及び質の標準化(・・・副作用や後遺症に関するリスクの説明方法、同意の取得方法、再治療や後遺症治療の方法、使用する医薬品、医療機器に関する事項等)」、「診療に関する記録として残しておくべき事項やその記載方法(患者の要望、医師による提案内容、治療のリスクも含む説明内容、それを受けた患者の同意内容、実施した検査や手術・投薬等の内容・結果等の事項を含む。)」、「有害事象発生時の対応(アフターケアの内容、紹介先医療機関との事前の合意・連携、(侵襲性の特に高い治療を行う場合について)急変時の体制の構築)」等の「内容を盛り込んだガイドラインを策定すべき」とされており、現在、関係学会等において具体的な内容等について検討中であり、同省においては、これらの成果を周知することとしている。