答弁本文情報
令和七年六月六日受領答弁第二〇三号
内閣衆質二一七第二〇三号
令和七年六月六日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員阿部知子君提出PFAS(有機フッ素化合物)対策における健康調査等の見直しのあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出PFAS(有機フッ素化合物)対策における健康調査等の見直しのあり方に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「評価書で選ばれた論文」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、御指摘の「安全委員会の審議」の結果、「健康影響があるとするものが除外され」て、「評価書」にその他の論文のみが記載された「事実はあるか」との御質問であるとすれば、そのような事実はない。
二の1の前段について
お尋ねについて、食品安全委員会が、有機フッ素化合物に係る食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価を行い、令和六年六月に「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)」を取りまとめる中で、御指摘の「こうしたPFASを扱う労働者の職業暴露」に関するものと考えられる論文としては、八編の論文を参照しているところ、当該論文については次のとおりである。
平成十九年発行の「International Archives of Occupational and Environmental Health」に掲載された「Assessment of lipid, hepatic, and thyroid parameters with serum perfluorooctanoate(PFOA)concentrations in fluorochemical production workers」
平成二十四年発行の「Environmental Science&Technology」に掲載された「Association of perfluorooctanoic acid with HDL cholesterol and circulating miR-26b and miR-199-3p in workers of a fluorochemical plant and nearby residents」
同年発行の「American Journal of Epidemiology」に掲載された「Cohort mortality study of workers exposed to perfluorooctanoic acid」
平成二十六年発行の「Occupational and Environmental Medicine」に掲載された「Mortality and cancer incidence in ammonium perfluorooctanoate production workers」
平成二十八年発行の「Scientific Reports」に掲載された「Occurrence, temporal trends, and half-lives of perfluoroalkyl acids(PFAAs)in occupational workers in China」
令和四年発行の「Environmental Research」に掲載された「Perfluoroalkyl substance mixtures and cardio-metabolic outcomes in highly exposed male workers in the Veneto Region: A mixture-based approach」
同年発行の「Environment International」に掲載された「Antibody response to COVID-19 vaccines among workers with a wide range of exposure to per- and polyfluoroalkyl substances」
同年発行の「Environmental Pollution」に掲載された「Plasma perfluoroalkyl substance exposure and incidence risk of breast cancer: A case-cohort study in the Dongfeng-Tongji cohort」
二の1の後段について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、食品安全委員会は、食品安全基本法第二十三条の規定に基づき、食品健康影響評価を行うこと等を所掌しており、御指摘の「職業暴露」の評価については所掌していないところ、二の1の前段についてで示した論文の「特徴」についての「まとめ、評価」は行っていない。
二の2について
御指摘の「潜在性のリスク評価」を労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第五十七条の三第一項の規定による危険性又は有害性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)と解すれば、これに関するお尋ねの「取組」として、例えば、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和四年厚生労働省令第九十一号)による改正後の労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第五百七十七条の二第一項の規定において、事業者に対し、リスクアセスメントの結果等に基づき、労働者の健康障害を防止するため、必要な措置を講ずることにより、リスクアセスメント対象物(同規則第十二条の五第一項に規定するリスクアセスメント対象物をいう。)に労働者がばく露される程度を最小限度にすることを義務付けた上で、当該義務に基づき事業者の措置が適切に講じられるよう、令和五年四月二十七日に、「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成二十七年九月十八日付け基発〇九一八第三号厚生労働省労働基準局長通知別添二)の一部を改正し、リスクアセスメント等の適切かつ有効な実施の手順等について、周知したところである。
二の3及び4並びに四について
お尋ねについて、御指摘の「PFAS」の「職業暴露」による「健康影響」の「調査」、「血液検査」等に関しては、令和七年三月十三日の参議院環境委員会において、浅尾環境大臣が「PFASによる健康影響については、(中略)血中濃度と健康影響の関係性の研究を推進することが重要と考えており、こうした考えの下、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を更に推進してまいりたいと考えております。」と答弁したとおり、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を更に推進することとしているところ、御指摘のような「調査」についても、こうした知見の収集等を行いながら、必要に応じ検討することとしており、現時点において、「追加検査を実施する仕組みなど」を「確立すべき」及び「血液検査の実施と長期フォローに取り組むべき」段階にはないと考えている。
三の1について
お尋ねについて、二の3及び4並びに四についてで述べたとおり、御指摘の「PFAS」による「健康影響」について、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を更に推進することとしているところ、こうした知見の収集等の一環として、御指摘の地方自治体における取組についても、引き続き注視してまいりたい。
三の2について
お尋ねについて、二の3及び4並びに四についてで述べたとおり、御指摘の「PFAS」による「健康影響」について、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を更に推進することとしているところ、御指摘の「それに見合うフォローアップ体制」が具体的にどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、御指摘の「バイオモニタリングの必要性、そこから得られる知見の活用」及びその「あり方」については、こうした知見の収集等を行いながら、適切に検討してまいりたい。
三の3及び4について
お尋ねについては、令和七年三月十三日の参議院環境委員会において、浅尾環境大臣が「一部の地方自治体においては、住民の方々の健康支援や不安軽減のため、自治体の判断としてお住まいの住民に対して血液検査を実施することとしたものと承知をしております。一方、PFASによる健康影響については、地方公共団体が既存統計の活用による地域の傾向把握に取り組むとともに、既存の健診の定期受診を推進することが望ましいと考えております。また、PFASに対する総合的、総合戦略検討専門家会議によると、現時点での知見では、血中濃度と健康影響の関係性についての評価は困難であるとしております。したがって、現時点で血液検査自体を目的とした支援を行う予定はございません。」と答弁したとおりである。
五の1について
お尋ねについては、現在、鋭意作成の作業を進めているところである。
五の2について
お尋ねについて、御指摘の「血液検査」に関しては、二の3及び4並びに四についてで述べたとおり、国内外の知見の収集を推進するとともに、関連する調査研究を更に推進することとしているところ、現時点において、駐留軍等労働者に対する御指摘の「血液検査の実施」の「予定」について、具体的に検討を行う段階にはないと考えている。