答弁本文情報
令和七年六月六日受領答弁第二〇九号
内閣衆質二一七第二〇九号
令和七年六月六日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出会話型生成AIに起因する心理的依存及び社会的影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出会話型生成AIに起因する心理的依存及び社会的影響に関する質問に対する答弁書
一及び六について
お尋ねの「会話型生成AIとの過度なやり取りに起因する心理的依存」並びに「AIへの過度な依存が、社会的孤立、実社会との断絶、対人関係能力の低下、犯罪への誘導など、社会不安の増大に結びつくおそれがあるとの指摘」及び「こうしたAIとの擬似的交流の拡大が、家族関係や地域社会のつながりに与える影響」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、人工知能関連技術(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和七年法律第五十三号。以下「AI法」という。)第二条に規定する人工知能関連技術をいう。以下同じ。)を過度に用いることによる人の心身への影響その他の人工知能関連技術の活用が社会に及ぼす影響については、必要に応じ、関係府省庁が連携しつつ、情報収集を行うとともに、その結果を踏まえ必要な対応を検討してまいりたい。
二について
お尋ねの「会話型生成AIによって生成された発言が誤情報、性的・暴力的内容、人権侵害的言説などに該当し、それが利用者に精神的なダメージや社会的影響を与えた場合」、「必要な制度整備」及び「問題ある生成AIアプリを野放しにしている場合」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねの「日本のAI規制の立ち位置と課題」及び「AIについての国際的なガイドライン策定」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、AI法第十三条及び第十七条に規定されているとおり、人工知能関連技術の研究開発及び活用に関する国際的な規範の策定に積極的に参画するとともに、国際的な規範の趣旨に即した指針の整備その他の必要な施策を講ずることとしており、他国の動向も踏まえながら、必要な施策を検討してまいりたい。
四の1について
お尋ねの「AIリテラシー教育」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)及び高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)(以下「小学校学習指導要領等」という。)において、情報モラルを含む情報活用能力の育成を図ることとしている。また、文部科学省において、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」(令和六年十二月二十六日公表)を策定し、その周知を行っているところである。
さらに、小学校学習指導要領等に示す情報活用能力の向上を図るための今後の方策については、中央教育審議会における審議を踏まえつつ、検討することとしている。
四の2及び3について
お尋ねの「保護者が子どものAI利用を適切に把握し、親子間の対話を促すための啓発活動や支援ツールの整備」及び「精神科医、公認心理士、教員、ICT専門家などによるガイドライン策定、相談体制、医療連携」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、AI法第十五条において「国は、国民が広く人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるよう、人工知能関連技術に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。」と規定されていることを踏まえ、子供を含む国民の人工知能関連技術の適正な利用に関する普及啓発等に努めてまいりたい。
五について
お尋ねの「会話型生成AIに起因する心理的依存や社会的孤立、対人関係能力の低下などの社会的影響」及び「会話型生成AIによる精神的被害や社会的孤立など深刻な影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、AI法については、AI法附則第二条において、「政府は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する諸施策についての国際的動向その他の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定されているとおりである。