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答弁本文情報

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令和七年六月二十日受領
答弁第二四一号

  内閣衆質二一七第二四一号
  令和七年六月二十日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員八幡愛君提出インボイス制度の実態と今後の改善措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員八幡愛君提出インボイス制度の実態と今後の改善措置に関する質問に対する答弁書


一について

 1のお尋ねについては、消費税は、各事業者の実際の売上げに係る対価の額を基に納付額を計算し、消費者がその消費額の多寡に応じて負担する仕組みとなっていることから、課税の公平性に関して制度として特段の問題があるとは考えておらず、また、消費者の担税力に応じて課税がなされているものと考えている。
 また、2のお尋ねについては、お尋ねの「価格転嫁率」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に消費税を価格に転嫁できている事業者の割合を指すとすれば、政府として、お尋ねのインボイス制度の導入に当たって当該割合を見込むことはしていないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、消費税の価格への転嫁については、令和七年三月十三日の参議院財政金融委員会において、加藤財務大臣が「消費税はそもそも最終消費者が負担するということをベースに制度設計がされているところでございますが、価格転嫁ができること、消費税が円滑に価格転嫁できるということは、小規模事業者が不当な扱いを受けることを防ぐ観点からも重要と考えており、これまでも公正取引委員会等が指導、勧告等を適正に実施するなど取組を進めてきたところでもございます」及び「また、インボイスのお話がありましたけれども、この導入に当たっても、消費税の適正な転嫁分の取引価格への反映の必要性について、価格交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格の総額を据え置く場合、独占禁止法や下請法との関係で問題になるおそれがあることを公表するなど、政府一体として取り組んできたところでございます。」と答弁し、また、令和六年二月十六日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「消費税の価格転嫁の状況につきましては、令和四年十一月に行われました中小企業庁の転嫁状況に関するサンプル調査でありますが、従業員が五人以下の事業者でも、消費税率の引上げ分について価格に転嫁できたと回答した割合は九二・七パーセントとなっており、小規模事業者についても基本的に消費税の転嫁はできているもの、そのように認識をしております。」と答弁しているところである。

二の1及び3について

 1のお尋ねについては、お尋ねの「インボイス制度がこうしたインフラ業種に与える影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、お尋ねのインボイス制度が建設業に与える影響については、令和七年五月三十日の衆議院財務金融委員会において、堤国土交通省大臣官房審議官が「インボイス制度による一人親方等への影響につきましては、業界団体等が行った調査において、収入が減るなら廃業を検討するとの声や、経過措置終了後の廃業、転職を視野に入れているなどの声が一定割合あると承知しております。国土交通省といたしましては、インボイス制度の導入を契機に一方的な形で受注者の収入が減ることのないようにすることが重要であると認識しておりまして、消費税相当額の取引価格への反映について、注文者と受注者の間で十分に協議を行うことが必要だと考えております。そのため、令和六年四月に、各建設業団体に対して、当事者間で十分に協議し、適切な価格交渉と価格転嫁を行うよう改めて求めたところでございます。また、駆け込みホットラインにおいて、建設業法違反が疑われる不適正な取引情報を随時受け付けておりますので、必要に応じて建設Gメンが調査を行い、改善を強く求めてまいります。加えまして、インボイス制度に限らない話として申し上げますが、一人親方など現場を担う方々の離職、廃業を防ぐには、取引の中で十分な労務費が確保されることが重要でございます。このため、昨年、建設業法を改正し、労務費の確保と行き渡りを図るための標準労務費制度を創設したところでございます。こうした制度も活用しながら、一人親方など現場を担う方々にまで適正な水準の労務費が行き渡ることとなるよう、しっかり取り組んでまいります。」と答弁しているとおりである。
 また、3のお尋ねについては、お尋ねの「インボイス制度の地域防災体制への影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのインボイス制度は、御指摘の「災害協定の担い手確保」に直接影響を与えるものではないと考えている。

二の2について

 お尋ねの「インボイス制度が地域経済・社会に与える波及的影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのインボイス制度が事業者に及ぼす影響等については、令和七年五月十三日の参議院財政金融委員会において、加藤財務大臣が「インボイス導入に伴う事務負担の状況について、ソフトウェアベンダーが調査した結果なども分析していくことに加えて、各省庁において各業界が実務上抱えている課題や取引実態の把握に努めてきたところであり、依頼に応じて可能な範囲で各団体と意見交換に、私ども主税局の職員も出席して直接関係者の意見、考えもお伺いをしているところでございます。インボイス制度の対応については、委員御承知のように、各業界の取引慣行等を踏まえて行われていることを踏まえれば、各省庁を通じた実態把握が効果的であると考えておりますが、引き続き、各種団体との意見交換の場を活用した実態把握を継続して進めるとともに、把握した方に対してはきめ細かく丁寧な対応に努めていきたいと考えております。」と答弁しているところであり、これらの機会等を通じて各地域における同制度の施行状況等の把握にも努めているところである。また、お尋ねの「公表」については、このような形で把握した情報を網羅的に公表することは考えていないが、同年六月十日の同委員会において、青木財務省主税局長が「事業者の抱える懸念などの把握に努めまして、把握内容を踏まえた国税庁のQアンドAなどを改訂(中略)しておるところでございます。」と答弁しているとおりである。

三の1について

 お尋ねについては、御指摘の「実態調査」は民間団体が独自に行った調査であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。

三の2について

 お尋ねの「匿名性を担保した通報・救済制度の整備を検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年六月十日の参議院財政金融委員会において、原公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長が「受注者の方が公正取引委員会に情報提供したことを発注者に知られることにより今後の取引に影響が出ることを懸念する、このような声があることも承知しております。このような御懸念も踏まえまして、公正取引委員会では、情報提供した受注者が発注者に特定されることがないよう、情報を厳重に管理した上で慎重に調査するように努めているところでございます。また、自発的な情報提供がしにくい、このような状況があることも踏まえまして、毎年、独占禁止法等に関する大規模な書面調査を実施する中で、インボイス関連の質問を設け、積極的、能動的に情報収集を行うようにしているところでございます。公正取引委員会としましては、引き続き、情報管理を徹底した上での調査や能動的な情報収集を行ってまいりたいと考えております。」と答弁しているとおり、公正取引委員会に設置されている情報提供に対応する各窓口を利用した情報提供者が特定されないよう、情報管理を徹底しており、当該窓口の周知を含め、引き続き、適切に対応してまいりたい。

四の1について

 お尋ねのIT導入補助金及び各種相談窓口の利用率に係る政府としての分析に関する御質問については、御指摘の「実態調査」は民間団体が独自に行った調査であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。いずれにせよ、必要な方がIT導入補助金及び各種相談窓口を利用できるよう、適切に広報を行ってまいりたい。

四の2について

 お尋ねの「実際の利用者目線で設計し直す」及び「改善計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘のインボイス制度が導入されて以降、約二年が経過した今、同制度に係る支援策については、その活用状況も踏まえつつ、適切に見直しを行ってまいりたい。

五の1について

 お尋ねの「インボイス制度導入に際して政府が行った影響評価」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五の2について

 お尋ねの「負担軽減措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に所得税法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第十五号)附則第五十一条の二及び附則第五十二条第一項の措置を指すとすれば、令和六年十二月十九日の参議院財政金融委員会において、加藤財務大臣が「インボイス制度に関する各種特例措置についてでありますが、これはあくまでインボイス制度の円滑な導入や定着を図るために設けられたものであります。その延長等においては、そうした設置をした目的なども含めて、慎重に検討していく必要があると考えております。」と答弁しているところであり、現時点で当該措置の延長又は恒久化について判断しておらず、当該措置を延長又は恒久化しないことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの「請願書」については、令和七年五月二十八日、公正取引委員会、財務省、国税庁及び中小企業庁がそれぞれ受理した。

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