答弁本文情報
令和七年六月二十日受領答弁第二四二号
内閣衆質二一七第二四二号
令和七年六月二十日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出忘れられる権利の制度的整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出忘れられる権利の制度的整備に関する質問に対する答弁書
一の1について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「忘れられる権利」は様々な意味で用いられるものであり、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号。以下「個人情報保護法」という。)第三十五条の規定に基づく利用停止等の請求又は個人情報保護法第九十八条の規定に基づく利用停止請求がお尋ねの「忘れられる権利」を「事実上保障している」かどうかについてお答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「国際的基準(GDPR等)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護法は、経済協力開発機構の「Recommendation of the Council concerning Guidelines Governing the Protection of Privacy and Transborder Flows of Personal Data」に準拠するとともに、個人情報の保護に関し、我が国と欧州連合との間で相互に認証を行う枠組みにおいて、欧州委員会からいわゆる一般データ保護規則に基づき十分な保護水準である旨の認定を得ていることから、個人情報保護法は、いわゆる一般データ保護規則等と比較しても十分な水準にあると考えている。
一の2について
お尋ねの「現行法上で明文規定が存在しない理由」については、お尋ねの「インデックス(検索結果)からの削除を請求する権利」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者等を広く対象として、その遵守すべき義務等が定められているものであり、お尋ねの「検索エンジン」を運営する事業者を特に対象とした規定はない。
お尋ねの「二〇二二年の個人情報保護法改正過程において条文化が見送られた経緯」については、その意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
二の1について
お尋ねの「削除請求」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護法第三十五条の規定に基づく利用停止等の請求又は個人情報保護法第九十八条の規定に基づく利用停止請求が「認められるまでに平均してどの程度の期間を要し、費用が発生している」かについては、把握していない。
なお、個人情報保護法第百六十五条の規定に基づき、個人情報保護委員会が実施した令和五年度における施行状況調査によれば、個人情報保護法第九十八条の規定に基づく利用停止請求に対して、個人情報保護法第百一条の規定に基づき、行政機関が決定をした十五件及び独立行政法人等が決定をした十件の全てが、個人情報保護法第百二条に規定する期限内に決定をされている。また、個人情報保護法第九十八条の規定に基づく利用停止請求に係る手数料に関する規定はない。
二の2について
お尋ねの「行政的又は準司法的手段」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護委員会は、個人情報保護法第百三十二条第二号の規定に基づき、個人情報、個人情報保護法第二条第五項に規定する仮名加工情報及び同条第六項に規定する匿名加工情報の取扱いに関する苦情の申出についての必要なあっせんに関する事務をつかさどっており、同号の規定に基づき必要なあっせんを行っている。
二の3について
お尋ねの「削除請求」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤルに寄せられた個人情報保護法第三十五条第一項の「保有個人データの利用の停止又は消去」、同条第五項の「保有個人データの利用停止等」及び個人情報保護法第九十八条第一項第一号の「保有個人情報の利用の停止又は消去」に係る相談件数については、令和六年度において百七十一件となっている。
また、お尋ねの「削除に関する助言及び勧告」の意味するところが必ずしも明らかではないが、個人情報保護委員会が、個人情報保護法第三十五条第二項、第六項若しくは第七項又は第百条から第百三条までの規定に関して行った個人情報保護法第百四十七条若しくは第百五十七条に規定する指導及び助言又は個人情報保護法第百四十八条第一項若しくは第百五十八条に規定する勧告の件数については、令和六年度においていずれも零件となっている。
三の1について
お尋ねの「AIによる自動要約や生成技術によって、削除済み情報の再生成や二次拡散が容易となっている現状」及び「規制的・技術的対応」の意味するところが明らかではなく、また、お尋ねの「忘れられる権利」は様々な意味で用いられるものであるため、お答えすることは困難である。なお、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和七年法律第五十三号)第十三条においては、「国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正な実施を図るため、国際的な規範の趣旨に即した指針の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。」と規定されている。
三の2について
お尋ねの「検索結果削除が認められたにもかかわらず、アーカイブサイトやいわゆるキャッシュ情報により情報が残存している事例」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、個人情報保護法上問題となる事例に対しては、個人情報保護委員会において、個人情報保護法に基づき適切に対応を行うこととなる。
三の3について
お尋ねの「児童・生徒が過去にSNS等で公開した投稿や写真が長期間にわたり検索可能となる問題」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の1について
お尋ねの「公共性評価指標」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の2について
お尋ねの「忘れられる権利」は様々な意味で用いられるものであり、また、お尋ねの「表現の自由に資する報道、学術研究、歴史的記録の保存という公益と「忘れられる権利」の両立」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
五の1について
お尋ねの「忘れられる権利」は様々な意味で用いられるものであり、また、お尋ねの「その類似概念(いわゆるデジタル遺産、自己情報コントロール権など)について啓発を行った事業」の意味するところが必ずしも明らかではなく、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、総務省では、平成二十八年十二月に国民向けの「インターネット上に掲載された過去のプライバシー関連情報等の取扱いに関するシンポジウム」を開催した。
五の2について
お尋ねの「独立した権利概念として立法上明確化」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。