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答弁本文情報

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令和七年六月二十七日受領
答弁第三二六号

  内閣衆質二一七第三二六号
  令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員吉川里奈君提出宇久島における風力発電計画と環境影響評価制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉川里奈君提出宇久島における風力発電計画と環境影響評価制度に関する質問に対する答弁書


一について
  
 御指摘の「評価書」については、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十六条の十六の規定に基づき、特定事業者(同法第四十六条の四に規定する特定事業者をいう。以下同じ。)が評価書(環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二十一条第二項に規定する環境影響評価書をいう。以下同じ。)を作成したときは、経済産業大臣に届け出なければならないとされているところ、現時点で特定事業者からの評価書の届出がないことから、その内容について承知していない。

二について
  
 御指摘の「環境影響評価制度そのものが、意見・勧告が実効性を持たない構造になっている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「環境大臣や経済産業大臣が出した意見や勧告が、実際に計画に反映されるようにするための仕組み」については、電気事業法第四十六条の十六の規定に基づく評価書の届出があったときは、同法第四十六条の十七第一項の規定に基づき、経済産業大臣は、評価書に係る特定対象事業(同法第四十六条の四に規定する特定対象事業をいう。)について、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するために特に必要があり、かつ適切であると認めるときは、特定事業者に対し、評価書を変更すべきことを命ずることができるとされている。また、同法第四十八条第四項において、同条第一項に基づく事業用電気工作物の設置又は変更の工事についての届出があった場合においては、主務大臣は、当該届出のあった工事の計画が同法第四十六条の十七第二項の規定による通知に係る評価書に従っているものではないと認めるときは、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができることとされている。
 また、お尋ねの「意見を履行したかどうかを確かめる手立て」については、環境影響評価法第三十八条の二において、事業者は、同法第十四条第一項第七号ロに掲げる措置(回復することが困難であるためその保全が特に必要であると認められる環境に係るものであって、その効果が確実でないものとして環境省令で定めるものに限る。)、同号ハに掲げる措置及び同号ハに掲げる措置により判明した環境の状況に応じて講ずる環境の保全のための措置であって、当該事業の実施において講じたものに係る報告書を作成しなければならないこととされている。また、事業用電気工作物の設置又は変更の工事を行おうとする事業者は、電気事業法第四十六条の二十一の規定により読み替えて適用される環境影響評価法第三十八条の三第一項の規定に基づき、当該報告書を公表しなければならないこととされている。
 また、御指摘の「長期間手続が止まっていた計画を再開する際には、調査や評価をやり直す仕組み」については、例えば、環境影響評価法第二十八条において、事業者は、同法第七条の規定による公告を行ってから同法第二十七条の規定による公告を行うまでの間に同法第五条第一項第二号に掲げる事項を修正しようとする場合において、当該事項の修正が事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の政令で定める修正に該当する場合を除き、同号に掲げる事項の修正後の事業が同法第二条第四項に規定する対象事業に該当するときは、当該修正後の事業について、同法第五条から第二十七条までの規定による環境影響評価(同法第二条第一項に規定する環境影響評価をいう。以下同じ。)その他の手続を経なければならないこととされている。

三について
  
 前段のお尋ねについては、御指摘の「政府は、住民の生活環境や健康への影響をどのように把握しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、環境影響評価法において、事業者が同法第二条第二項第一号ホに掲げる事業に該当する事業を行おうとするときは、当該事業者は同法第十二条第一項の規定に基づき、環境影響評価を行わなければならないこととされている。当該事業者が環境影響評価を実施するに当たっては、事業の実施が環境に及ぼす影響について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、事業に係る環境の保全のための措置を検討するものであるところ、「環境影響評価法の規定による主務大臣が定めるべき指針等に関する基本的事項」(平成九年環境庁告示第八十七号)別表において、当該項目の一つとして「騒音・低周波音」が記載されており、事業の実施により当該項目に係る環境影響を及ぼすおそれがある場合には、当該事業者において、当該項目に係る環境影響評価を行うことが想定されている。また、当該事業者は、同法第十四条第一項の規定に基づき、当該環境影響評価の結果に係る事項を記載した同項に規定する環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)を作成しなければならず、電気事業法第四十六条の十一の規定に基づき、当該準備書を経済産業大臣に届け出なければならないこととされている。同大臣は、同法第四十六条の十四第二項の規定に基づき、環境大臣の意見を聴いた上で、同条第一項の規定に基づき、関係都道府県知事等の意見を勘案し、「騒音・低周波音」による影響の回避・低減を含む環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するため必要があると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該環境影響評価について必要な勧告をすることができる。このような手続により、経済産業大臣及び環境大臣は、事業者等による環境影響評価の結果について把握しているところである。
 後段のお尋ねについては、御指摘の「事前に予防的措置を講じ、十分な住民の合意形成を担保する仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、環境影響評価法において、事業者は、準備書を作成したときには、同法第十六条の規定に基づき、当該準備書を作成した旨等を公告し、公告の日から起算して一月間、準備書等を事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域内において縦覧に供するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならないこととされており、また、事業者は、同法第十七条の規定に基づき、当該縦覧期間内に、当該地域内において準備書の記載事項を周知するための説明会を開催しなければならないこととされている。同法第十八条において、準備書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、事業者に対し、当該意見に係る意見書の提出ができることとされているが、事業者は、同法第二十一条第二項の規定に基づき、事業者が作成する評価書において、当該意見についての事業者の見解を記載しなければならないこととされている。このように、同法においては、環境影響評価手続における一般公衆からの意見聴取等の手続が規定されている。
 また、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「法」という。)第九条第四項第六号において、再生可能エネルギー発電事業計画の認定(同項の認定(法第十条第一項の変更又は追加の認定を含む。))の基準の一つとして再生可能エネルギー発電設備の設置の場所の周辺地域の住民に対する説明会の開催等を挙げている。

四の1について
  
 お尋ねの「森林の伐採によるCO2吸収機能の喪失と、発電による排出削減効果との関係」に係る定量的な評価については、現時点において、「基準や手法」が必ずしも確立されていないと承知しており、「どのように評価しているのか」についてお答えすることは困難である。

四の2について
  
 再生可能エネルギーについては、政府として、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)に記載しているとおり、「再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、関係省庁や地方公共団体が連携して施策を強化することで、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限の導入を促す」という基本的考え方の下、「再生可能エネルギーの主力電源化にあたり、出力の変動する再生可能エネルギーの電力市場への統合を進めるため、揚水発電や蓄電池の活用など、調整力の確保を進めていく。さらに、再生可能エネルギーの導入余地が大きい地域と需要地をつなぐ地域間連系線の整備を推進する。また、再生可能エネルギーを最大限に活用する観点から、その出力制御量の抑制に取り組む」方針である。
 その上で、お尋ねの「その導入を促進するために必要と見込まれる予算規模」については、その具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、「具体的な支援策」については、再生可能エネルギー発電設備に併設される蓄電池の導入支援等に係る予算措置等を講じており、また、法第二条の二第一項に規定する市場取引等による再生可能エネルギー電気の供給を推進することで、再生可能エネルギー発電事業の実施に併せて蓄電池等を活用することを促進しているところである。

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