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答弁本文情報

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令和七年六月二十七日受領
答弁第三三四号

  内閣衆質二一七第三三四号
  令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員緒方林太郎君提出保険適用薬のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員緒方林太郎君提出保険適用薬のあり方に関する質問に対する答弁書


 「現状をどう把握しているか」とのお尋ねについては、例えば、令和七年三月二十五日の参議院消費者問題に関する特別委員会において、政府参考人が「糖尿病薬であるいわゆるGLP−一受容体作動薬につきましては、美容や痩身など承認効能以外の目的で使用されている事例が存在していることは十分承知しております。副作用報告制度においても、令和六年十月の時点でGLP−一受容体作動薬の適応外の使用による副作用情報は全部で十七件ほど報告があったというふうにされております。GLP−一受容体作動薬の適応外使用については、低血糖、・・・急性膵炎等の既知の副作用に加えて、承認効能以外の使用による予期せぬ健康被害も起こり得る」と答弁したとおりであり、また、御指摘の「肥満症の治療薬であるゼップバウンド」については、同年一月時点で、当該「副作用報告制度」における「報告」はないが、これと同様に、「低血糖」、「急性膵炎等の既知の副作用に加えて、承認効能以外の使用による予期せぬ健康被害も起こり得る」と考えている。
 「関連法令、医療行政、医療倫理・・・の観点からどのような問題があると認識しているか」とのお尋ねについては、御指摘の「これら諸事情」の詳細を承知しておらず、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、仮に、御指摘の「ダイエット目的で」「治療薬」を「希望する患者に対して、十分な検査もせずに、自由診療で高額で提供」する場合において、医師が、自ら診察をしない場合には、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十条の規定に違反することとなり、また、御指摘の「ダイエット目的で」「治療薬」を「希望する患者に対して」「提供」する場合には、「糖尿病の治療」及び「肥満症の治療」のために「治療薬」を必要とする「患者」への供給が滞り得るものと認識している。
 「消費者行政・・・の観点からどのような問題があると認識しているか」とのお尋ねについては、例えば、御指摘の「ダイエット目的」等のオンライン診療において、処方された「糖尿病の治療薬」が、意図せず定期購入になるといった消費者トラブルが発生しているものと認識している。
 「講ずるべき対策としてどのようなものを想定しているのか」とのお尋ねについては、例えば、同日の同委員会において、政府参考人が「承認効能以外の使用による予期せぬ健康被害も起こり得るため、・・・承認された効能、効果以外での処方や使用を行わないよう、関係学会の協力も得ながら注意喚起を行っているところでございまして、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えている」と答弁したとおりであり、例えば、一般社団法人日本糖尿病学会が令和五年十一月二十八日に公表した「GLP−一受容体作動薬およびGIP/GLP−一受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」において、「医師とくに本学会員においては、不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険を常に念頭に置き、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行ってください」と、また、一般社団法人日本肥満学会が同月二十五日に策定した「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」において、「本剤は健康障害を伴わない(したがって肥満症とは診断されない)肥満に用いるべきではなく、また低体重や普通体重など適応外の体重者に対し美容・痩身・ダイエット等の目的で用いる薬剤ではない点には、十分留意すべきである」と注意喚起が行われているところ、これらの注意喚起の文書について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構と連携して、同機構ホームページへの掲載を通じて周知を図っている。
 また、「GLP−一受容体作動薬は健康障害を伴わない(肥満症とは診断されない)肥満に用いるべきではなく、また低体重や普通体重などの適応外の体重者に対し美容・痩身・ダイエット等の目的で用いる薬剤ではない点には、十分留意すべきである」、「痩身目的等のオンライン診療トラブルが増えています。ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立ちます。今後、オンライン診療の機会が増加し、消費者トラブルも増えることが懸念されることから、消費者への注意喚起を行っています」等の内容を記載したリーフレット「美容医療を受ける前にもう一度」(令和六年一月改訂)を作成し、都道府県、保健所設置市及び特別区を通じて、医療機関に対して周知するとともに、消費者庁ウェブサイト等を通じて、消費者に対する注意喚起を行っている。
 さらに、「GLP−一受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(その二)」(令和五年十一月九日付け厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課事務連絡)により、都道府県、保健所設置市及び特別区を通じて、医療機関、薬局、医薬品卸売販売業者等に対して、「GLP−一受容体作動薬について、返品が生じないよう、買い込みは厳に控えていただき、当面の必要量に見合う量のみの購入をお願いしたいこと」、「GLP−一受容体作動薬について、これを真に必要とする二型糖尿病の患者への供給が滞ることのないよう、適正使用に努めていただきたいこと」、「医療機関及び薬局から注文を受けた際には、薬事承認を得た範囲での治療を目的としたものであるかどうかを確認し、薬事承認範囲外の治療目的による使用であることが明らかな場合には納入をしないなど、糖尿病治療を行っている医療機関及び薬局へのGLP−一受容体作動薬の供給をお願いしたいこと」等を周知している。
 引き続き、こうした取組を進めてまいりたい。

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