答弁本文情報
令和七年八月十五日受領答弁第三号
内閣衆質二一八第三号
令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員山井和則君提出歯科医療機関への物価高騰やデジタルトランスフォーメーション対応支援等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出歯科医療機関への物価高騰やデジタルトランスフォーメーション対応支援等に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「パラジウム合金」を含む歯科用貴金属の素材(以下「素材」という。)に含まれる金等の価格は変動しやすいことから、素材に係る特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)(平成二十年厚生労働省告示第六十一号)に定める価格(以下「告示価格」という。)については、「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について」(令和六年二月十四日付け保発〇二一四第三号厚生労働省保険局長通知)に基づき、慣例的におおむね二年に一度実施している診療報酬改定に加えて、三箇月ごとに、市場価格を踏まえた改定を行うこととしており、具体的には、中央社会保険医療協議会において、御指摘の「価格高騰」も反映されたその時点の市場価格を踏まえながら、告示価格の評価を行い、その上で改定を行っているものであり、引き続き、適正な評価及び改定を行ってまいりたい。
二の前段について
お尋ねについては、御指摘の「小規模な開業医」が経営する診療所をはじめとした医療機関の経営状況は様々であり、また、雇用される労働者の賃金の状況も医療機関によって様々であることから、一概にお答えすることは困難であるが、引き続き、医療機関の経営状況については、適切に把握してまいりたい。
二の後段について
お尋ねについては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「社会保障関係費については、医療・・・の現場の厳しい現状・・・を踏まえ、・・・二千二十五年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」及び「医療・・・等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。このため・・・次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、・・・的確な対応を行う。このため、二千二十四年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、二千二十五年末までに結論が得られるよう検討する」としており、これに基づき、適切に検討してまいりたい。
三について
御指摘の「オンライン確認」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「地方厚生局への各種届出」については、「「保険医療機関等電子申請・届出等システム」の運用について」(令和四年三月三十一日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、「保険医療機関等から地方厚生(支)局への・・・電子申請を行うことが可能となります」等と示しているところ、御指摘の「オンライン」での届出を「義務化」していないため、これを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。なお、診療報酬請求書のオンライン請求に関しては、「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和五年十二月二十六日付け保発一二二六第四号厚生労働省保険局長通知)において、「レセプトコンピュータを使用していない保険医療機関・薬局及び保険医療機関である診療所・保険薬局のうち電子請求の義務化時点において常勤の保険医・保険薬剤師の年齢が六十五歳以上であるものであってその旨を期日までに届け出たものは、書面による請求を行うことができるとされている」、「令和六年三月まで書面による請求を行ってきた保険医療機関・薬局については、あらかじめ、審査支払機関に対して、書面による請求が認められることとなった当初の要件に合致している旨の届出を行った場合に、引き続き、書面による請求を行うことができる」等と示しているところである。
四について
御指摘の「資格確認書の交付」の仕組みについては、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三等において定められているところ、当該仕組みの期限は定められておらず、「令和八年八月以降も、資格確認書による受診」ができなくなるわけではないことから、御指摘の「令和八年七月までの暫定的な運用とされています」の意味するところが明らかではなく、「令和八年八月以降も、資格確認書による受診をできるようにすべき」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。なお、御指摘の「停電やマイナ保険証の認証機器の不具合」等の場合については、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第五十三条第一項第二号の規定により資格確認書を提示する方法による受診ができることはもとより、健康保険法施行規則第五十三条第一項第五号等に規定する厚生労働大臣が定める方法(令和六年厚生労働省告示第三百四十九号)第一項第一号の規定に基づき、「個人番号カード」とともに「資格情報通知書」を提示する方法や、同項第二号の規定に基づき、「個人番号カード」とともに「情報提供等記録開示システムを通じて取得した当該被保険者又は被扶養者の資格に係る情報が記録されたもの」を提示する方法等による受診が可能である。また、御指摘の「令和八年七月までの暫定的な運用」に関しては、後期高齢者については、「後期高齢者に係る資格確認書の暫定運用の継続について」(令和七年四月三日付け厚生労働省保険局高齢者医療課事務連絡)において、「令和八年八月の年次更新までの間の暫定的な運用として、・・・マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書の職権交付の対象とする」としているところ、その趣旨等は、令和七年六月十八日の衆議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣が「後期高齢者の方につきましては、新たな機器の取扱いに不慣れであるなどの理由で、マイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いと考えられますことなどを踏まえまして、来年七月末までは、マイナ保険証の有無にかかわらず、申請なしで資格確認書を交付することといたしました。その上で、来年夏におけます後期高齢者の方々への資格確認書の職権交付については、・・・今後、後期高齢者におけますマイナ保険証の利用の状況であったり、また、今年の夏に保険証の有効期限を迎えます多くの国民健康保険におけるマイナ保険証への移行状況・・・などを踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております」と答弁したとおりである。