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昭和二十四年四月九日提出
質問第六号

 上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十四年四月九日

提出者  降旗(注)弥    小林(注)美    今村忠助   (注)澤富次(注)
    (注)原(注)二(注)  田中重彌  井出一太(注)  吉川久衛

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問主意書


 四月五日附答弁書により再質問をするに当り理由の一端を述べれば
一、長野縣は、東京、京都の両都等と異なり、今もなお本邦最大の養蠶製糸縣であつて、この点については、文部省が率先上田蠶糸專門学校を設置したる当時と毫も変らない。
一、上田纎維專門学校は、その名は專門学校であるが、その実は、つとに纎維に関する最高学府であり、大学であつたのであつて、その施設においても、その教授陣容等においても、優に大学の資格を具備するものと考えられる。
一、長野縣は本邦屈指の大縣であつて、上田、長野、松本、伊那等の各都市間の距離遠く、各学部相互間の連絡を図ることは極めて困難であるから、上田纎維を強いて綜合大学に編入してみても、却て不利、不便のみ多くして、綜合大学の利便を亨受することは毫もない。またこれを財政的にみても、毫も経費の即減とならず、却てその増嵩をもたらす部面すらもあることを看過してはならない。
  この点において、上田の場合は、他の同種学校とは著しくその事情を異にする。
一、二校を合併して一大学を設置する場合と異り、上田の場合はこれを独立せしめて單科大学とするも毫も信州大学の成立を妨げるものではない。いな、長野縣は面積廣大、地形複雜であつて最近においても分縣論さへ唱道されたほどであるから、上田はこれを独立せしめて、二大学を設置するを妥当とする。二大学設置というも、上田の場合は差当り看板の書き換えに過ぎないから、これがため、毫も経費の増嵩をもたらす惧れはない。
一、六三制の完全実施及び新制大学の健全なる発展は、文化的平和國家建設の要諦であるが、これがためには輸出貿易の振興により大いに外貨を獲得するのほかはない。しからば、上田纎維專門学校を改組・拡充して理想的纎維綜合大学を設置し、以て本邦輸出貿易の大宗たる纎維産業の振興を助成すべきは、文教政策的見地らみてもまた喫緊の要務でなければならない。
一、國立新制大学の設置については「新制大学設置要領」、すなわちいわゆる十一原則なるものがあることは承知しているが、しかしこれとても絶対不動の原則ではなく、いかなる事情があるにもせよ、一縣一大学の原則を貫徹せねばならぬという趣旨のものではない。ただ「同一地域にある学校はなるべく統合して一大学とし、一府縣一大学の実現を図る」というに外ならぬ(『新制大学の実施について』による)。現に、水産大学、商船大学等の設置が決定せられたるはこれがためであろう。
  されば、上田纎維、秋田鉱山等については、「極力(一縣一大学の)原則に基いて解決するよう努力するが、最後的決定は文部省と大学設置委員会とに委せられることを総司令部、CIEも承認している筈である(『新制大学の実施について』による)。
  また、「國立新制大学えの轉換の具体的計画については、文部省はできるだけ地方及び学校の意見を尊重してこれを定める。」とは十一原則自体の明記するところであり、民主政治の本質上、固より当然といわねばならない。
それぞれ独立を主張してやまざる二百数十の大学、高等、專門学校等を統合して六十九の新制大学を設置するは実際容易なる業ではなく、これを推進して今日に至つた文部事務当局の労苦と信念と勇氣とに対しては衷心敬意を表するに吝なるものではないが、しかし上田纎維の昇格問題については、右に例挙したる諸理由からみて、即時これを昇格せしめ、一般の國立新制大学と同時に、纎維大学として発足せしむべきが当然と考えられる。先般の大学設置委員会において、同校の昇格決定が保留せられたるは、如何なる事情によるのであるか。
  文部当局は、『新制大学の実施について』によつて決定せられたる文部当局の既定方針に基き、なるべく急速に同校の昇格問題を大学設置委員会に諮問し、以てその実現を期すべきものと考えられるが、これに対する文部当局の所見如何。もし飽くまでもこれを否認せんとするならば、万人をして首肯せしむるに足るだけの理由を詳細且つ明確に公表せられるか否か。
  上田纎維の昇格は、從來單科昇格を主張してきた爾余の諸校とは全くその事情を異にするものであることを看過してはならない。
  同校の單科昇格要望の理由は、右に例挙したるところにとどまるものではない。これについては長野縣民大会の要望理由二十三箇條がある。これを仔細に閲覧点檢するに、一として肯綮に中らざるものはない。もとより、文部事務当局は、その立場上、率先して同校の單科昇格を承認するわけに行かず、最後にこれを承認すべきものであることは、われわれの熟知するところである。けれども、事理は極めて明白であり、解決は、いつまでも遷引せらるべきではない。今や文部当局は大乘的見地に立ち、親切心をもつて、善処せられ、その既定方針に基いて、この際急速に上田纎維の單科昇格を断行せられるや否や、文部当局の所見如何。

 右質問する。





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