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昭和二十五年三月十六日提出
質問第八九号

 輸出滯貨絹、人絹織物の国内放出措置に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年三月十六日

提出者  長谷川四(注)

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




輸出滯貨絹、人絹織物の国内放出措置に関する質問主意書


 最近における絹、人絹織物業界は、極度の金融ひつ迫と有効需要の減退に加え、滯貨のるい増と輸出不振により、更に一層の拍車をかけ、市価の暴落はなはだしく、群馬県下各産地の絹、人絹織物生産業者は、極端なる不況に沈りんし、日を追うに従つて倒壞するものが、漸増の傾向にある。このままに放任すればまさに業界は破滅の悲運を招来すること明かで、極めて憂慮すべき最惡の事態にほう着している。
 聞くところによれば政府当局においては、纎維貿易公団手持の輸出不適格品である絹織物四千四百余万ヤード、人絹織物二千四百六十余万ヤードを三月中に国内に放出する計画が取り運ばれている趣であるが、右数量は、絹織物において昨年九月ないし十二月の全国生産量を上廻り、人絹織物において同年十一、十二月の二箇月間の全国生産量に近いものである。
 一方絹、人絹業界は、全国的に生産地も問屋及び小売業者も一様に不安定な市況に困ぱいし、県下各産地は一齊休業を断行しようとの気配が濃厚である。この機に当り、右の如き大量の公団手持品の放出は徒らに業界の不況を深刻化するものと推察される。かかる実情にかんがみ、右公団手持品の放出については、その時期と方法に関し、政府当局において充分考慮し、放出による業界に対する影響を最小限度に止めるよう措置すべきであると思うが、これが対策如何。

 右質問する。





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