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昭和三十三年六月二十日提出
質問第一号

 港湾行政の合理化に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十三年六月二十日

提出者  (注)山利秋

          衆議院議長 星島二(注) 殿




港湾行政の合理化に関する質問主意書


 主題の件については、民間貿易再開いらい、あらゆる方面から主張され、今や貿易、海運、港湾などの関係者はもとより、港湾を知るものの圧倒的な意見となつており、すでに今日まで各方面から具体的、建設的な意見が政府関係機関へも提出され、かつ大方の与論の支持するところでもある。しかも、貿易の増強は今日の政府としても声を大にしているところでもある。
 しかるに、本件に関しては、数年内みるべき改善は、いささかもなく、各行政機関が乱立し、おのおの独自の見解で港湾行政に介入し、二重、三重の手続により業務は渋滞し、運営は不合理となり、関係諸団体及び業者の被る損失は多大であるのみならず、国家経済上からも、貿易進展の上からも悪影響は、はかり知れがたいものがある。
 試みに名古屋、清水、武豊、四日市各港の実態についてこれを見れば次の通りである。(このことは、他税関管内各港と同様な実状である。)
一 港湾行政の複雑性について
 (1) 港湾行政機関は、十三の多きにのぼつており、関係法令の数が非常に多い。(別表第一及び第二省略)
 (2) 港湾行政機関は、それぞれ各省の出先機関及び地方自治体であつて、おのおの分離独立しており、かつ地理的に分散している。
     各港の行政事務について各本省がその所管事務にしたがつて指揮監督することは当然だが、そうだからといつて現在のように各省がおのおのその出先機関を持つて分離独立して行政を行う必要は必ずしもないのである。
     昭和十六年以前においては港湾行政は大きく三つの行政機関に分割されていたのであるが、現在では十三の機関に分離独立している。その各機関が一箇所に集まつていればよいが、
     それが相当の距離をおいて散在しているために港湾関係の官庁及び業者双方とも実務上の不利不便は大きい。
 (3) 出先機関は程度の差はあるが、おおむねきわめて小範囲の権限しか持つていない。したがつて、比較的簡易なものでも本省或いは上級行政機関権限である限り、出先機関だけで処理することはできない。
     港湾行政制度の変遷についての別表第一省略
二 港湾行政の複雑化に伴う財政上の損失について
  前に述べたように行政機構が複雑かつ多岐にわたつておれば、その間に施設、人員等の面で重複して非常に多くの損失がある。
  港湾行政機関のうち、諸種の検疫、出入国管理関係の官庁等のようにその持つている権限はきわめて限られた範囲のもの(前記一の(3)参照)であるが、各自独立しているために、別々に庁舎、船舶その他の施設を持つている。これを統合すれば、他の機関の施設を利用できるから、このような施設及びその維持費、管理費がかなり節約できるものと考えられる。人員についても同様のことがいえる。
三 港湾関係業者の事務の重複、煩雑さについて
 (1) 輸出入に伴う各種の現物検査については関税法と他法令とで各その目的によつて重複して行われている。
 (2) 人の出入国について、人は入国管理事務所で、物は税関で、チェックするのであるが、出入国手続とその携帯品の輸出入手続は常に一体をなしているにかかわらず、独立の機関によつて別々に行われている。
 (3) 手続書類の煩雑さについては、おのおの行政機関に内容がほとんど同じでありながら形式の異つた書類を出している。(別表第四省略)その他定期又は不定期に各種の報告を要求されている。
四 名古屋港の問題点について
  名古屋港は大阪についで重要な貿易港であるから関係出先機関も比較的整備されている。
 (別表第六省略)
  したがつて、港湾行政上他の弱小開港に見るようなある機関があつて、ある機関がないという特別な不利不便は少ない。しかし、行政機関の分離独立による行政の複雑煩さであることは他の例外でない。
 (1) 本港は直接外国から又は外国向出入港する船舶は少なく、神戸、横浜にはさまれたいわゆる中間港であるから、早期出帆が特に要求されるのであるが、関係行政機関及び提出書類の重複は業者の負担を重くして、手続の促進化を阻害している。
 (2) 港頭地帯の保税地域の管理運営についてその使用状況はこの地帯はもともと貿易上必要な
    公共的性格が強いものであるから、すべての業者に開放されるべく一部地方公共団体たる名古屋港管理組合によつて運営されているが、実質的には有力数社によつて専用されている。
     これらのことの抜本的改善がなされないゆえんは、いうならば行政機関の権限争いと、政府の怠慢とに起因するといわなければならない。この際、次の条項について政府の所信をただしたい。

一 政府は、今日まで港湾行政の合理化について、いかなる機関がどういう検討を行い、その結果をどう実行したか。
二 各方面から建議された意見をどう扱つてきたか。
三 本主意書で指摘した事項について、どういう措置をとるか。
四 港湾行政の一元化についてこの際政府として、根本的措置をとる考えはないか。
五 港湾の発展強化に喫緊の問題は、財政的問題である。
 (イ) 蔵相は、港湾特別会計法案を次期国会に提出するというが事実か。
 (ロ) もし提出するとすれば予算補正を必要とするが、補正するか。
 (ハ) この場合、政府は、現在提出中の経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案中港湾に予定される基金をとりくずすのであるか。

 右質問する。





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