衆議院

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昭和三十三年六月二十五日提出
質問第二号

 特殊販売機関等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十三年六月二十五日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 星島二(注) 殿




特殊販売機関等に関する質問主意書


一 物品税の課税標準については、物品税法第三条の規定は、第二種の物品にあつては、製造場より移出する時の物品の価格とする旨を定めているにとどまつている。
  従つてこの移出価格については、これが客観的な適正な市場価格としての抽象価格であるか、はたまた取引の形態、販売方法等の差異により異なることがありうる具体的な実売価格であるかにつき、従来相当議論の余地あるところであつたが、昭和三十一年に同法の委任命令たる物品税法施行規則中の改正が行われ、この点に関する疑義が法律的に解決を見るにいたつた。すなわち右改正の結果追加挿入された同規則第十一条ノ二及び第十一条ノ三の規定は、通常の卸取引形態による卸売の場合のほか、通常の卸取引形態によらないで特殊販売機関に販売する場合における課税価格の算定方法を定め、もつて従来の疑義を一掃したわけのものである。
  ところで、特殊販売機関に関しては、昭和二十六年一月ごろこれを否定する国税庁通達が発せられ、ついで同年十月にはさらに右通達を廃止して、特殊販売機関に販売している場合には、販売機関の販売実例価格から、卸売業者の一般マージンに相当する金額を控除した価格を課税標準とする旨の通達が発せられた経緯があるが、これら通達は、いずれも単に上級官庁たる国税庁が下級官庁たる税務署に対し、物品税法の法律解釈ないし取扱基準を示したものにすぎず、従つてなんら法律としての効力を有するものと認めらるべきではない。よつて物品税法第三条に規定する第二種の物品の移出価格については、当時においてもこれら通達の有無にかかわらず、取引の実態に即応し、合理的にこれを判定するのが当然というべきであるから、この意味において、前記物品税法施行規則第十一条ノ二及び第十一条ノ三の規定は、これを創設的規定と見るべきでなく、むしろ宣言的規定と解するのが至当であり、従つて、また右両規定制定以前といえども、特殊販売機関に販売していた場合の課税価格については、右両規定の精神に準じ、これを制定すべかりしものと解するのが、最も法意に合致するものと考えられるがどうか。
二 特殊販売機関の定義については、物品税法施行規則第十一条ノ三第二項において、製造者又は販売者の親族その他製造者又は販売者と特殊の関係ある者たる販売者をいうとあり、個人の場合のみならず同族会社を含むことは明らかなところであるが、このようないわばトンネル機関ともいうべき特殊販売機関は、営利を目的とする商取引の必要ないしは鋭敏なる商道精神より自然に発生したものであつて、個人業者が同族会社に組織替えした場合におけると全く同様の現象に属し、従つてこれをただちに脱税機関と目すべきものではない。
  よつて物品税法においても、特殊販売機関の合法性を容認し、まだ製造者の特殊販売機関に対する販売価格が、他の製造者の販売する同一物品の課税価格に比し特に低額と認められるときにかぎり、課税権の確保上その販売価格によらずして、適正な課税価格を算定する法意であることは、同法施行規則第十一条ノ三の規定に徴してきわめて明白と考えられるがどうか。
三 特殊販売機関を通ずる取引形態は、大企業のみならず中小企業の場合においても、世上広く見られる取引現象である。特に中小企業においては、競争力の強い大企業との対抗上、特殊販売機関を設立することは、その存立の維持と発展を図るための自衛手段とも目さるべきものである。ただ中小企業は、概して資力その他が薄弱であることを免がれないため、よしや会社形態をとる場合といえども、その人的組織、帳簿組織、経理組織等の点において欠くるところ多く、到底大企業の比ではなく、一般にワンマン的色彩が強いのが特色であり、かつ、短所であるといえよう。
  従つて税法上においても、国税庁はこのような劣弱な中小企業の実態を十分に認識し、徴税上いやしくもか酷にわたらないよう末端収税官吏を指導督励すべきものと考えるが、これにつき国税庁は末端機関に対し、従来いかなる周知徹底の方法を講じているか。
四 中小企業者は、概して難解なる税法に精通せず、従つて脱税犯についても、その行為が不正であるという認識はもちろん、脱税の事実の認識及び不正と客観的に認めらるべき行為そのものに対する認識すら欠く場合が多いのが通常といえよう。従つて収税官吏はこの中小企業者の無智を奇貨とし、納税に際し、納税者が不用意に収税官吏の感情と心証を害したような場合において、法律上収税官吏に与えられた質問権を行使して、巧妙な誘導質問により、故意に納税者の犯意を作為し、よつてもつて納税者をして脱税犯の容疑に陥れしめるようなおそれなしとは保証しがたいと思われるが、国税庁においては、このようなおそれの絶対にないよう平素いかなる指導を行い、かつ、これを末端機関に周知徹底させるためにいかなる努力を払つているか。
  なお通告処分の前提として、収税官吏をして納税者に対する質問てん末書を作成させているが質問てん末書には各頁に割印のごときものがないため、後日万一これを改ざんしてもその真偽を確めることのできない現在の取扱は、はなはだ不当と考えるがどうか。
五 物品税については、申告賦課制度がとられている。しこうして納税者より課税標準額申告書の提出がない場合又は申告された課税標準額が不相当と認められる場合は、税務署長がその課税標準額を決定することになつている。(いわゆる政府決定)もつとも明りように詐偽その他不正の行為又は申告怠疑の事実が認められる場合には、ただちに犯則処分を行うことができることはいうまでもない。
  しかしながら犯則処分については、最近の脱税犯が一般の刑事犯と本質的に異ならないような重刑を科せられることになつているばかりでなく、脱税犯の成立いかんは中小企業者の生死にも関する重大問題といえるから、特に重大な犯則のある場合にかぎりこれを発動するよう、慎重の上にも慎重を期するのが至当であり、従つてできるだけ政府決定によるべきであつて、みだりに犯則処分を行うべきでないと考えるがどうか。
  なお物品税について、政府決定を行う場合若しくは行わない場合又は犯則処分を行う場合若しくは行わない場合の基準及び事例は取扱上どのようになつているかについて、具体的詳細なる見解を明らかにせられたい。

 右質問する。



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