衆議院

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昭和三十三年七月十一日受領
答弁第二号
(質問の 二)

  内閣衆質第二号
    昭和三十三年七月十一日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 星島二(注) 殿

衆議院議員春日一幸君提出特殊販売機関等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出特殊販売機関等に関する質問に対する答弁書



一 物品税は消費税としての性格上、種類、品質、構造、効用等の同一な物品については、その取引形態又は取引事情のいかんにかかわらず、消費者の負担すべき税額に差異のないことが望ましい。このような見地から、第二種物品の課税価格は、物品税法第三条第一項において「製造場ヨリ移出スル時ノ物品ノ価格」とし、さらに、その価格は、「物品ノ製造者ガ当該物品ヲ通常ノ卸取引数量ニ依リ且通常ノ卸取引形態ニ依リ凡ユル購入者ニ対シテ自由ニ売却ノ為ニ提供シタル場合ニ於テ当該物品ノ対価トシテ当該物品ニ附スベキ価格」をいうものであることが、昭和二十五年の政令改正の際に物品税法施行規則第十一条(現行第十一条及び第十一条ノ二)で明確にされたが、第二種物品の課税価格が上記の規定で明らかにされたいわゆる抽象価格であることは、物品税法制定以来一貫した解釈である。
  特殊販売機関が介在する場合の取引は、前記のような通常の取引条件と異なる条件のもとに行われることがあるから、このような場合には、製造者と特殊販売機関との間の取引価格を課税価格とすることは適当でなく、物品税法施行規則第十一条ノ二に定めるところにより課税価格が算定されるべきであり、昭和二十五年の政令改正当時においても、国税庁通達でこの趣旨を明らかにしていたところである。
  じ来、このような場合の取扱を客観的に統一するための通達は漸次改正され、昭和三十一年には、この関係を政令においても明らかにするため、物品税法施行規則第十一条ノ三の規定が設けられるに至つたものである。
  以上述べたとおり、特殊販売機関を通じて販売される場合の物品税の課税価格の取扱についての昭和二十五年十二月の物品税法施行規則の改正並びに昭和二十五年十二月及び昭和二十六年十月の取扱通達の改正は、いずれも物品税法第三条の一貫した解釈のもとにおいて行われたものである。その意味において昭和三十一年七月の物品税法施行規則の改正は、物品税法第三条の精神としては宣言的てある、

二 特殊販売機関は必ずしも租税回避の目的で設けられたものとは考えられないが、もともと特殊販売機関は、取引の規模が大きく取引の行われる地域も広範にわたるため、製造と販売を区分して経営することが必要であるような場合に設けられるものと考えられる。従つて、このような特殊販売機関の必要性は、中小企業にあつては大きくないのが通常である。
  また、施行規則第十一条ノ三の規定は、租税回避を目的として設けられた特殊販売機関のみを対象とするというものではなく、上記のように、この特殊販売機関が介在する場合でその取引条件が一般の場合と異なるときに、適正な課税価格を算定するために設けられたものである。
  したがつて、この規定は、特殊販売機関に対する販売価格が、他の製造者の販売する同一の性状に属する物品の価格に比し「低額」である場合には、その販売価格を課税価格とせず、適正な課税価格を算定することとしているものであり、質問主意書に述べられているように「特に低額」である場合に限定して適用することにはしていない。

三 特殊販売機関を設ける必要性は、上記のように製造部門と販売部門とを区分することが企業活動上便利な大企業において見られ、その販売が地域によつて限定される中小企業にあつては、その必要性に乏しいのが一般的である。従つて、中小企業の販売機関は、必然的な必要性に基いて設けられたものは比較的少いと考えられ、また、特殊販売機関の取扱の面において、中小企業であるが故に特別の取扱を講ずる理由も乏しいものと考えられる。
  なお、製造者の人的組織、帳簿組織、経理組織等の不備であるものについては、その不備のみによつて不利益を蒙ることのないよう十分に留意しているが、中小企業といえども特殊販売機関を別人格として設けるような場合には、その間における取引を明確に整理することが必要であり、そのために帳簿組織、経理組織等の整備を図るべきことは当然であると考える。

四 質問主意書によると、納税者は、税法に暗く脱税の認識すらない場合が多く、また、収税官吏はこのような納税者の無智を奇貨として不当な処分を行うというような暗い見方をされているが、納税者の実状が一般的にそのようなものであるとは考えられず、また、税務の執行に当つては収税官吏も納税者の身になつて信頼される税務行政を行うよう常に指導しているところである。従つて、御説のようなことが一般的であるとは到底考えられない。
  なお、質問てん末書には被質問者の割印を要しないこととしているが、質問てん末書は収税官吏が取調の事実を録取するものであり、当該てん末書の作成に当つては、被質問者がその記述の内容に誤りのないことを確認のうえ、収税官吏とともに署名なつ印するものであるから、じ後において改ざんが行われることは考えられないし、また、この取扱は刑事訴訟法の趣旨にのつとつたものであるから、不当なものとは考えられない。

五 物品税に関する犯則調査は、特に悪質と認められる納税者に重点をおいて実施するとともに、調査に際しては、常に慎重に行つたうえ、公正妥当な処罰をするようにしており、みだりに犯則処分を行うようなことはしていない。
  なお、犯則処分と政府決定の取扱基準は、申告書の提出のないとき又は政府において申告を不相当と認めた時は政府決定を行うが、そのうち、犯則の心証を得たときは犯則処分を行うこととしている。
 なお、申すまでもないところであるが、個々の事案について、物品税法およびこれに基く命令を適用するにさいしては、当該事案の内容を充分に検討した上、結論を出すことが必要であると思われるので、念のため申し添える。

  右答弁する。


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