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昭和三十四年四月十一日提出
質問第五号

 日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十四年四月十一日

提出者  (注)田大作

          衆議院議長 加(注)鐐五(注) 殿




日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問主意書


 さる昭和三十四年三月十九日衆議院農林水産委員会において当委員としての質問に対し出席政府委員の答弁がやや確答に欠ける点があるので、次の通り改めて質問する。
 日本油糧工業協同組合連合会及び日本油糧株式会社に対し監督の立場にある官庁で農林省及び大蔵省が過去数箇年にわたり次の事実に対しいかに処理したかその詳細を説明されたい。

一 同連合会は、昭和三十年度以降四年間製油用輸入大豆及びなたねの外貨割当を団体割当として一括して交附されているが、これを傘下数百工場(単位協組約六十組合)へ割当てるべき原料の買付については同連合会の専務理事たる志田佳治は責任ある理事として組合法に定める善良なる管理者としての忠実義務をじゅうりんし、取引商社に対し巨額のリベート及び乗用車、家財具等を強要し、該特定の商社とほとんど全量に近い取引をし、常に相場より高価なる原料を買付け、いわゆる御手盛割当を断行し、大豆及びなたねはともに農産物価格安定法により海外市況よりはるかに高い価格が政府で保護されているため、製油業者は外貨割当による輸入原料の入手を干天に滋雨をこうごとく、即ちトン当り最低三千円より最高一万五千円もの値幅があり。
  割当そのものが「金券」と同一であるため、この割当の掌をにぎる立場にある者が絶大なる権力を持ち業界に君臨し『志田天皇あるいは油脂界のナセル』という尊称がある由であるが、かかる値幅のある物資の一括割当をすること自体がそもそも間違いのもとであると思うが、監督官庁たる農林省はいかなる見解を持つているか承りたい。
  同連合会への外貨割当配分は、実質上同連合会に一括任されているが、実際には日本油糧株式会社が代行業務を行い傘下組合員へはなんら割当基準となるべき資料は公表されず、また監督官庁もこれを公表させようとしない。業者の自治にまかした美名をもつて表現しているが、このことは「よらしむべし知らしむべからず」の衆愚政治を具現し、いたずらに国家の貴重なる外貨を一部の専断にまかし、需要者割当本来の精神を没却したものでこの点その責任と関係当局の真意を承りたい。
二 輸入外貨割当の行使に関し契約数量及び価格の明細等はいつさい公表していない。特に大豆については輸入大豆割当総量の約一割を受け、この購入に当り輸入商社より割当クーポンと引替えに約四割分の商社割当わくを強引に供出させ、これらを加え合計約五割を横流し又は任意処分し驚くべき利得を得ているも転売依頼の傘下工場へは需割分の転売益金の僅少額を手渡すのみにて、これら取扱数量及び転売価格は正式帳簿には記載されず処理されている。
  輸入なたねにおいては割当総量の実に約八割を昭和三十、同三十二、同三十三年度の三年間一括受配されているがこの輸入に当り昭和三十二年及び同三十三年の両年ともに当該外貨の正式公表以前の約半年前に輸入業者又は産地業者と契約をなしその一括割当の絶大なる利権をたてに傘下中小業者の危険負担の上にあぐらをかき独断的な投機をなし、その多大な差益金をろう断私腹している。この事実は所管官吏が政府の方針を事前にろうえいしたものと思われ、かつまた外国為替管理法上の違法が行われているものである。これらのことについて調査をしたかどうか承りたい。なお、かかる不公正なる割当方式の現状にかんがみ今後関係官庁がどのような割当の方針で善処するか詳細に承りたい。
  ちなみに通産省は前記の質問に関し左記必要書類等を御調査の上正確なる御回答を願いたい。
  昭和三十三年三月二十四日横浜入港太洋物産株式会社取扱い長山丸積カナダ国産ナタネ一万余トン(一部神戸回航)分に対する関係書類中、信用状開設依頼書、日油連対輸入商社売買契約書、産地外商対輸入商社売買契約書、外貨割当許可申請書、船積書類(インボイス及び積地重量証明書)通関申請書、陸揚質貫表、貨物引換証、荷かわせ取組明細書、荷渡し指示書等。
三 同連合会は、昭和三十二年四月、日本油糧株式会社なる資本金一千万円の営利会社をあたかも政府の意のあるごとく見せかけ急遽設立し実態は役員、事務所を同一とし同連合会の専務代表理事たる志田佳治が社長となり独裁的に双方の業務を執行し、その大部分の持株を取得し二重人格をもつていつさいの運営をしている事実をどう考えるか。また会社設立に当り同連合会の所有金を流用した形跡があるがこの監査をしたことがあるか承りたい。
  前記輸入大豆及びなたねの余剰分の横流し処分による利得金は年間数億円に上る多大なるものであり、連合会と日本油糧株式会社の双方より賦課金及び取扱手数料等の名目で二重的搾取を行い連合会及び会社は若干の利益金のみを帳簿に計上しており、数億円に上る利得金は特別背任、業務上横領及び同隠匿、脱税等の疑い濃厚であるが、このことに関し監督官庁である大蔵省はいかなる態度で会計監査等を行いその所得及び税額はいかほどに決定したか承りたい。
四 同連合会が割当を受けた外貨限度内示書は一括記載により同連合会に手渡され、その配分は志田専務理事の独断にて行われ傘下組合員は一片の通知のみにて割当量を決められている現状だがこれに関する報告監督がいかにして行われているか承りたい。
  また同連合会の昭和三十一年度決算書類が総会において丹(注)賢藏外二名の監事がその監査を否認しているにかかわらず総会開催約一箇月以前すでに役員の偽印鑑を捺印し、農林省経済局市場企業課に提出されており、そのことは同連合会の議事録を見れば判然たるにかかわらず、そのまま受理され当時丹(注)監事は同課に数回おとずれ、これを指摘し中小企業等協同組合法第百五条の四による職権検査を鋭意依頼したが今日まで故意に放置されている。かかる責任をだれがとるのか、また今後の処置をどうする考えか回答を承りたい。
五 同連合会の直接監督庁たる農林省食糧庁業務第二部油脂課員にして都内某料亭、バー、キヤバレー等にしばしば出入し、その中にはあたかも寮的存在となつた所もあり、その遊興代金を同連合会、日本油糧株式会社又は志田佳治個人等に支払わしめ、かつまた盆暮の心付、餞別、新築祝、出産入学卒業等の祝等の名をかりて常識外の多額の金銭及び贈答品を受けている者がある。かかる不良汚職官吏をいかにして処罰するか承りたい。
  以上要約すればかかる不正乱脈なる連合会は、官民ともに悪疫発生の不浄個所にして、国民大衆に対し不当に高価なる油脂製品を押付ける結果となり、現状のままの運営はすみやかに離断せしめることが国家経済上より見て最良の方策と考えられるが、どのような処置をとるか率直に承りたい。

 右質問する。





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