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答弁本文情報

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昭和三十四年四月二十八日受領
答弁第五号
(質問の 五)

  内閣衆質三一第五号
    昭和三十四年四月二十八日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 加(注)鐐五(注) 殿

衆議院議員(注)田大作君提出日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)田大作君提出日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問に対する答弁書



一 輸入大豆の割当について

 昭和二十八年度から始まつた輸入大豆の外貨割当は、昭和二十九年度までは主として大規模の三十三工場を対象とする個別割当であつたが、昭和三十年度からは、大豆抽出設備を有する中小規模の四十五工場に対して、中小企業対策の一環として製油用大豆枠の一〇パーセントを割り当てることにした。この割当方法については、種々検討の結果、次の理由に基いて中小企業等協同組合法に基く全国組織である日本油糧工業協同組合連合会(以下「日油連」という。)を通じて配分することとし、日油連に一括発券を行つた。
 (1) 中小企業協同組合がその本来の機能として行う原料の共同購入
 (2) 配分対象工場の大部分がいわゆる山工場と称される中小企業者であつて、個々の工場の実態が把握しがたいという割当技術上の困難性
     日油連の行う組合員別内部配分については、公正に行うよう指導し、その結果について報告を徴してきたが、その間工場別の実態調査を行うなど種々検討を続け、昭和三十三年下期からは、日油連内部の工場別配分は、食糧庁の定めた割当基準による算定の通りに実施させるように改め、さらに現在は食糧庁による公正な配分がなされている。

二 輸入なたねの割当について

 なたねについては、国産なたねの端境期における原料対策及び主としてなたねを製油する中小工場対策として昭和三十年度から外国産なたねの臨時的な輸入を行つてきたが、その割当の方法は前記大豆の場合に比べてさらに割当対象工場が零細多数にわたつているので、その全量の八割を中小業者の団体である日油連に一括割当を行い、その内部配分については、組合の公的機関である理事会に諮らせるなどして自主的かつ公正に行われるよう指導してきたが、今後相当期間恒常的にこういう輸入が行われるとすれば、前記大豆の場合と同様食糧庁の割当基準に基いて工場の処理実績により合理的な配分がなされることが望ましいと考えるので、それに必要な資料の検討を行つている次第である。

三 昭和三十二年度における輸入なたねの外貨割当について

(1) 昭和三十二年度における輸入なたねの外貨資金割当については、昭和三十三年二月十九日付をもつて農林省農林経済局長より通商産業省通商局長あて書面で正式に依頼した。
(2) この依頼に基き、通商局長は昭和三十三年二月二十六日付をもつて「輸入発表第四八号」および「外貨資金割当基準第一五号」の公表を行つた。
(3) 前記(2)に基く外貨資金の割当総額は、一、七二四、九九五・〇〇ドル(申請数量一七、二五二M/T)である。
(4) なお、日油連の発注に係る太洋物産株式会社(以下「太洋」という。)に対する当該割当分(長山丸関係分)は、一、〇九二、五〇〇・〇〇ドルで、この輸入状況の明細は次のとおりである。
  (イ) 太洋は、前記(2)の輸入発表に基き、昭和三十三年二月二十八日通産省に対し輸入なたね外貨資金一、〇九二、五〇〇・〇〇ドル(約一一、一七五M/T単価FOB九七・七五ドル)の割当を申請し、同年三月三日に申請額の外貨割当を受けた。
  (ロ) 太洋は、三十三年三月一日カナダのジェイ・ゴーデン ロス シンジケートとカナダ産なたね一一、一七五M/T(単価九七・七五ドル、一M/T当りFOBビィクトリア三月積)の売買契約を締結し、三月六日信用状一、〇九二、三五六・二五ドルを前記シッパーあて開設した。
  (ハ) これより先、太洋は、日油連との間に、昭和三十二年九月十一日付をもつて一〇、〇〇〇M/T(単価正味六十キログラム当り二、九五〇円、横浜および神戸貨車乗渡条件)の売買契約を締結し、さらに三十三年二月二十一日右契約中単価二、九五〇円を二、九〇〇円に改める旨の更改契約を締結した。
  (ニ) 太洋は、三十三年三月十三日カナダビィクトリアにおいて、カナダ産なたね一一、〇一九・一四M/T(一、〇七七、一二一・〇三ドルFOB)を長山丸に船積し、三月二十六日本船横浜入港後直ちに荷揚を開始し六、〇一六・〇三一九M/T陸揚げ後、神戸に回航の上、神戸港揚四、九四七・五六七M/T合計一〇、九六三・五九八九(一、一五二、二九三・六〇ドルCIF)を荷揚通関し、直ちに横浜港より六、〇一六・〇三一九M/T、神戸港より四、三七九・三二七M/T合計一〇、三九五・三五八九M/Tを、日油連の指示する各工場向けに、発送すると同時に貨物代金を受領した。

四 日本油糧株式会社について

 日本油糧株式会社は、日油連の組合員の総意に基いて日油連関係の原料共同購入及び製品の共同販売などの経済行為の代行をする機関であるから、行政官庁として格別の措置をとる必要はないものと考える。

五 日油連の割当に関する報告

 大豆及びなたねの日油連の内部配分については前記のごとく常に公正に行われるよう指導し、割当結果については要領に基いて毎期必ず報告を徴し、割当が不公平にならないよう監督を行つてきた。

六 日油連の決算書類等について

(1) 昭和三十二年六月二十四日付で日油連より提出のあつた昭和三十一年度決算書類並びにその補完のため同年八月三十一日付で提出された公認会計士の監査報告書については、組合法上特に違反事実は認められなかつた。
    なお、前記決算書類を承認した昭和三十二年度通常総会は、昭和三十二年五月二十二日に開催されており、また組合法第百五条の二に基く前記提出書類については、監事の署名押印を要するものはない。
(2) 前記総会の前後、日油連の会員たる三重県組合の丹(注)氏が連合会の業務運営の不当を口頭にて数回説明されたが、個人の口頭による不平を取り上げることは適切でないので、組合法第百四条による不服申出書を提出されるよう指示したが、不服申出書の提出はなかつた。
    なお、その後本件について丹(注)氏が東京地検に告発し、現在司直の調査が行われている模様である。
(3) 日油連については、中小企業等協同組合法上常例的に検査を行う建前にはなつておらず、かつまた、前記の事情に照らし職権検査の必要もないと考えたので、今までに検査をしたことはない。
(4) なお、日油連及び日本油糧株式会社の課税状況は、次のとおりである。

日油連及び日本油糧株式会社の課税状況

七 人事管理について

 食糧庁業務第二部油脂課員についてのご指摘の点は、従来からも十分注意しているのでそのような事実は絶対にないと信じているが、なお、今後もそのようなことのないよう指導監督と人事管理を一層徹底して疑惑を招くことのないよう注意したい。

八 今後の方針について

 輸入大豆及びなたねの日油連内部配分については、前述の如く、今後は日油連に一任することなく食糧庁の指示に基いて配分させるように改めるなどの措置を講じ、日油連及び日本油糧株式会社については、組合員の意向に反するような運営がなされないことは勿論、中小企業等組合本来の使命が達成されるよう今後とも充分な指導監督を行つて行きたい。

 右答弁する。




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