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昭和三十五年四月二十七日提出
質問第五号

 中国人強制連行殉難者に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十五年四月二十七日

提出者  (注)野三(注)

          衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿




中国人強制連行殉難者に関する質問主意書


 戦時中、東条内閣閣議決定「華人労務者内地移入に関する件」及び同次官会議決定「華人労務者内地移入の促進に関する件」に基づき当時日本軍の手によつて強制的に日本に連行された中国人は約四万に及んだが、これら中国人は政府の指示によつて全国百三十五箇所の工場、鉱山、土建事業所、港湾等において労役につかせられた。このうち約七千人の死亡者を出したことは、昭和二十一年三月外務省管理局発表の「華人労務者就労事情調査報告書」並びに関係事業所の証言によつて明らかである。これら死亡者の遺骨は戦後長らく山野に放置されていたが、その後参議院議員(自民党)大谷瑩潤君を中心として中国人俘虜殉難者慰霊実行委員会が結成され、最近まで前後八回にわたり、二千八百余柱を収集して中国紅十字会に送付するとともにさる四月二十六日東京において、多数の国会議員をはじめ各界の人士二千人が参集し、盛大なる国民大慰霊祭が執行せられた。
 右に関して政府の見解を質問する。

一 中国人俘虜殉難者実行委員会では、これを「俘虜」としているが、これらは強制的に連行された一般市民であるから、国際法上「俘虜」の概念には該当しないと思われるが、政府の解釈いかん。
二 本来かかる問題については、ポツダム宣言受諾に伴う当然の義務として、抑留者送還とともに、連行並びに死亡の状況、遺骨の収集、行方不明者の調査等につき、政府の責任において相手国政府に通知しなければならないと思われる。現にこのことに関しては、昭和三十年七月十五日付ジユネーブ駐在田付総領事から日本政府の意向として、陳平中国総領事を経て中華人民共和国政府に送達した書簡中で「外交関係の有無にかかわらず人道問題として純粋に処理すべき……うんぬん」と強調されているが、政府の見解いかん。
三 中国人俘虜殉難者実行委員会では、これら死亡者の名簿作成につき、多年にわたり努力を続けてきたが、最近に至つて六千七百三十二名の調査を完了し、その名簿を公表した。前記の大慰霊祭もこの名簿完成を記念として行なわれたものである。
  右の調査については、政府においても昭和三十三年度以降若干の予算を計上し、厚生省がその事務を遂行しているのであつて、さる四月二十五日その結果を「中国人死没者名簿」として作成し、日本赤十字社に手渡すに至つた。右によれば「一応整理を終えたもの、第一次分千八百九十三名を仮に印刷したもの」となつているが、死亡の原因、病名等は記載されておらず、前記民間団体の調査内容とは著しく相異がある。
  ついては、今日まで本件に関して執りきたつた政府の処置並びに調査の方法、判明せる限りの具体的内容、今後の見とおし等を可及的詳細に報告されたい。

 右質問する。





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