質問本文情報
昭和四十年三月十一日提出質問第七号
会社更生法の適用等に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十年三月十一日
提出者 春日一幸
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
会社更生法の適用等に関する質問主意書
今回突如として行なわれた山陽特殊製鋼の更生手続開始の申立ては、関係業界に直接重大な影響を与えたが、特に関連中小企業が受けた打撃はきわめて深刻で、その帰すういかんによつては、これら関連中小企業の連鎖倒産を続出するおそれがある。
ついては、これら関連中小企業の救済は焦眉の急務と認めるので、次の諸点に関し、政府の見解を明らかにせられたい。
二 会社更生法の法意は、更生会社のみについて、その事業の維持再建が図られれば、よつて起こるべき関連中小企業の連鎖倒産のごときはあえて意に介しないというような趣旨のものではないと考えるがどうか。
したがつて更生計画案の作成に当たつては、関連中小企業の連鎖倒産を防止するため、特に十分配慮善処すべきものと考えるがどうか。
三 更生計画作成の基準としては、公正、衡平な差等を設くべきことと平等なことが要求されているが、「更生債権者及び更生担保権者については、その債権の少額なものにつき別段の定をし、その他これらの者の間に差等を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない」とされているので(会社更生法第二百二十九条但し書)、関連中小企業の少額債権については、中小企業保護という社会政策的考慮に基づいて、全額一時払等の優先的取扱いが認められるものと解するのが、社会通念に合致すると考えるがどうか。なお、この場合、債権が少額であるかどうかの程度については、中小企業の保護に欠けないよう、相対的、弾力的に判定すべきものと考えるがどうか。
四 立法論としては、会社更生法中に関連中小企業保護の規定を欠いているのは法律の不備と認められるので、同法を改正して、関連中小企業の一定期間内の債権を共益債権として認めるとともに、共益債権とならない部分の債権については更生計画で優先的取扱いができるようにして、関連中小企業が自己の責任に基づかない不測の事由により破たんをきたすことのないようにすべきものと考えるがどうか。さらに、更生手続開始の申立てがあつた場合には、政府は、関連中小企業に対し、金融機関をして緊急融資をなさしめるよう、金融措置に関する規定を会社更生法中に設くべきものと考えるがどうか。
右質問する。