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昭和四十年三月十八日提出質問第八号
国際連合の平和維持機能強化に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十年三月十八日
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
国際連合の平和維持機能強化に関する質問主意書
世界の平和と安全を保障する唯一つのよりどころとも言うべき国際連合は、いま創立二十周年を迎えようとして空前の難局に陥り、現に、わが日本を含む三十三箇国を構成員とする平和委員会を設け、これに時局の収拾をゆだね、きたる六月十五日までに、なんらかの解決案を出そうとしているのであるが、かねて国連中心主義を唱え、アジア、アフリカ諸国との緊密な関係に深い顧慮を払いつつある政府は、いかなる方針と具体策をもつて、この国連の危機に対処し、世界の平和と安全の維持に当たろうとするのであるか、つぎの各項につき、総理大臣および外務大臣の、ご所見をうけたまわりたい。
きたる六月二十六日は、国連誕生二十周年の記念日であり、国連発祥にゆかりの地たるサンフランシスコ市において、記念特別総会が開催されようとしているのであるが、これを単なる儀礼的行事として挙行するのみで、よろしいと考えられるやいかん。
二 ベトナムの紛争を、交渉による平和的解決にゆだぬべしとの声は、ようやく高くなつてきているようであるが、アジアの平和に特別の関心を持つわが国として、政府は、このことにつき、いかなる具体策をとろうとしているのか。
三 政府は、かねて世界警察としての国連軍常設には賛成であり、考慮すると言明しておられるのであるが、会議の決定が平和的解決の確かなる保障となるためには、国際的監視、監督、査察の組織が必要である。
この際政府は、ベトナムの事態に対応する国連警察隊を早急に組織し、これをすみやかに現地に出動せしめるよう努力すべきである。このことを三十三箇国委員会に提案するはもちろん、可能なあらゆる方途を講じて、すみやかにこれが実現を期するよう努力する意思ありやいかん。
四 国連のあり方を全面的に検討し、憲章改正を急速に行なうべきであるとは、去る十二月四日、国連総会の一般討議において椎名外務大臣の演説したところであり、また、これまで政府当局の数次にわたつて言明してきたところであるが、それならば、国連のどこを、どのように改変しようというのであるか、憲章改正について、その具体案をお示しねがいたい。
五 政府は、これまで、しばしば国連憲章の改正につき研究する、調査すると言明してきたのであるが、いまこそ、このことを専管する相当規模の部局を設けて、そのことに当たるべきである。政府の意思いかん。
以上五点にわたり質問するが、私は国会議員二百二十四名をもつて構成する世界連邦日本国会委員会の代表者であつて、また、この質問の趣旨については、英国会世界連邦議員団においても、本会と相呼応して、そのすみやかなる実現につき努力しているところであり、去る三月一日、英国下院における外交質問においてもとりあげられ、「ある種の世界安全保障権威を設置する件につき、わが政府(英国政府)は日本政府となんらかの話し合いを行なつたか。」との問に対し、スチュアート外務大臣よりは、「そのような打合せについては、常に定期的に行なつている。」旨の答弁があつたとの通報に接しているなど、今やわが国の動きが、世界の注目をあつめつつある事態にかんがみ、政府のこの際における慎重果断なる行動を要望しつつ、本質問主意書に対する率直明快なご回答を期待するものである。
右質問する。