衆議院

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昭和四十年四月十九日提出
質問第一二号

 山陽特殊製鋼の倒産等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十年四月十九日

提出者  加藤 進

          衆議院議長 (注)田 中 殿




山陽特殊製鋼の倒産等に関する質問主意書


一 山陽特殊製鋼の倒産以来四十日の経過を見れば、労働者、中小企業の受けた打撃は一段と深刻になつている。
  かつて荻野社長の「労資協調」政策により極端な低賃金と労働強化を押しつけられてきた労働者は、倒産に直面してその本質をはつきりとつかみ、いまや独占資本の支配と収奪に対決しようとしている。
  山陽鋼の労働者は、社内預金を凍結されたばかりか、退職金はもちろん、労働者の出張旅費の立替金まで支払われないまま、物価高による生活の破たんにおびやかされている。
  富士製鉄をはじめ、神戸、三菱など大銀行、三井物産など大口債権者は「会社更生法」申請直前まで担保設定に狂奔し、三井物産などは未確定の債権まで担保を押え、自己の権利を確保した上で計画的に倒産させた。そして労働者、中小企業の犠牲で「再建」し、山陽鋼の最新鋭設備を大口債権者の支配下におき、労働者に対する収奪を強めようとしている。この「再建」によつて富士製鉄をはじめ大口債権者が大きな利益を得ることは全く明らかである。
  政府委員は、国会答弁で「社内預金は支払われるものではあるが、現実に金がなければ仕方がない。」として、労働者の苦しみに目をつぶつているが、政府は労働者の債権を、山陽鋼の経営を破たんさせた当の責任者である荻野一氏に対してはもちろん、富士製鉄をはじめ大口債権者に負担させるための特別の措置をとる用意はないか。
二 下請け中小企業も山陽特殊製鋼によつて極端な支払遅延と単価切下げで苦しめられてきた。にもかかわらず、「会社更生法」適用でさらに債権が棚上げされてしまつた。そして大口債権者だけは山陽鋼「再建」にあたつては「不採算部門の切捨て」による下請け整理を行ない、あるいは「現金決済」を口実に単価切下げによつて大きな利益を得ようとしている。
  政府は、これら中小企業の債権に対して、これを政府が保証し、荻野一氏はもちろん、富士製鉄をはじめ大口債権者の負担によつて救済する特別の措置を講じる用意はないか。
三 政府は、しばしば下請け中小企業に対し「救済のための金融措置をとる。」ことを言明している。しかし実際には、関係銀行は割当てられた救済資金を消化するため、被害の軽微な信用と担保のある企業には要求もしないのに押しつけ融資をしようとし、反対にその力のない真に融資を望んでいる弱小企業には融資を拒んでいる。
  このようなことが中小企業救済の方針であるといえるか。
四 山陽特殊製鋼の管財人となつた原田鹿太郎氏は就任のあいさつで、労働者に対し「山陽鋼の経営悪化を許した労働組合にも責任はある。市民に大きな迷惑をかけたのだから会社再建にあたつて労働者は耐え忍んでもらいたい。」といつており、「不採算部門の切捨て」を口実に首切り、「合理化」、労働強化、低賃金が必至の事態にある。
  「会社更生法」はかかるやり方を容認するものであると政府は考えるかどうか。
五 銀行は新しい融資や仕事のあつせんに際し、山陽特殊製鋼の下請けである浜田運送などに対して労働者のかく首を条件にするなど圧力を加えている。
  融資、仕事のあつせんにあたつてこのようなことは許されるものであるか。
  そもそも「会社更生法」は、労働者、中小企業の犠牲において大企業の支配を強めるために作られ、運用されている。
  わが党は、昭和二十六年この法律の審議に当たつて「この法律は下請けをはじめ広範な層を犠牲にし、日本の国民経済を軍需産業的なものに再編させ、内外独占資本に日本の企業支配を容易ならしめるものである。」と警告し、反対したが、まさにこのようなことが今日起こつている。
  以上のべた諸点に対し、政府が真に労働者、中小企業の立場に立つて明確に回答することを要求する。

 右質問する。



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