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昭和四十二年十二月八日提出
質問第一号

 特殊教育に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十二年十二月八日

提出者  鈴木 一

          衆議院議長 石井光次郎 殿




特殊教育に関する質問主意書


 国は、教育基本法に基づき、国民に対し就学の義務を課すると同時に、児童の保護に当たり、児童福祉法を制定して国及び地方公共団体の児童福祉保障に関する責任を定め、さらに児童憲章第十一条に「すべての児童は、身体が不自由な場合、または、精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。」とはつきりその責任の内容と所在を規定している。
 しかるに、特殊教育の現状は、ごく一部を除きほとんどが野放しの状態で、政府の施策は、民間の篤志家の善意の上に、かろうじてその責任の一端を果たしているにすぎない事態は、まことに寒心にたえない。
 よつて次の項に関し、政府の明確なる所見を承りたい。

一 心身の不自由児にとつても法の下には平等で、就学の機会均等は当然の権利というべきである。適切なる教育の結果、社会復帰の道をたどることは、ひとり本人の幸福のみならず、国にとつても貴重なる人的資源の拡充になる。また、不幸にして社会復帰の道を閉ざされた者に対しては、十分なる保護が与えられるべきことは、国の当然の義務であると考えられる。
  かかる事情を勘案するとき、今日の特殊教育行政はまことに不完全きわまるもので、国の怠慢と言つても過言でないと思う。政府はすみやかに制度の充実に一段の努力をはらうべきであると思うが、これに対する政府の基本的所見を承りたい。
二 本問題は、その性質上傷口は小さいが奥行きは深く広い。あたかもそれは氷山が一角を水面に露頭する姿に似て、全貌ははなはだ掌握しがたい。しかるに政府のこれに対する姿勢は、たまたま表面化された問題を断片的にとりあげ、糊塗的対策をとるにすぎず、その施策を欠き、十分効果をあげているとは認めがたい。
  政府は、今もつて全国的な実態調査も行なわず、すべての施策は推定の上にたち、問題点の解明について専門的検討を加える努力を欠いている。施設教職員数は不足し、その待遇も外国例に比して低い。さらに、心障児をもつ家庭の多くは、その経済的負担に苦しんでいる。
  よつて、少なくとも次の諸点に関しては、早急に実現を計る必要があると認められる。
 (イ) 全国的な実態調査の実施
 (ロ) 国立中央研究所の設立
 (ハ) 教職員養成機関の整備充実並びに教職員の待遇改善
 (ニ) 国庫負担による教育治療制度の実施
 右に関する政府の所見を承りたい。
三 文部省初等中等教育局特殊教育課の資料によれば、昭和四十一年五月一日現在、特殊児童生徒推定数は百二万四千四百八名に達する。これには弱視、難聴、言語障害児は含まれていない。さらにアメリカ言語聴覚学会が千九百五十一年大統領に提出した公式調査の結果より推算すれば、言語障害児は実に七十五万八千七百七十名に達する。両者を合算すれば、学齢児童中約二百万近い心障児が存在するにかかわらず、現状では特殊学級の絶対数は余りにも不足し、言語障害児の就学率は五千人に一人にすぎない。
  他方昭和四十一年度の特殊教育課の予算は七十億円に満たない。
  政府は、これで十分な対策が講ぜられているという自信があるのか、その所見を承りたい。
四 「早期発見の早期教育」が特殊教育の鉄則であるが、不幸にして、その教育の効果を享受できぬ、重症心身障害児、精神薄弱児、筋ヂストロフィー等の特殊の病気をわずらう児童には、社会復帰の道は閉ざされている。さらに成年に達した心身障害者を加えるならば、数百万に達する心身障害者が、この世に生存するわけになるが、それらを含めて、心身障害者福祉基本法のごとき発想の上にたつて、これを母法とする一連の立法措置を講ずる意思はないか、所見を承りたい。

 右質問する。





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