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昭和四十五年四月八日提出質問第五号
宗教団体の政治活動に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十五年四月八日
提出者 谷口善太郎
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
宗教団体の政治活動に関する質問主意書
三月九日、私が予算委員会において行なつた創価学会の政治活動についての質問にたいする政府答弁は、ことがらの重要性にもかかわらず政府の調査が不十分なため明確さを欠くものとなつていた。その後かなりの時日を経過したので、あらためて質問する。
(ロ) 宗教団体が国に、神社・仏閣あるいは礼拝堂・祭壇・戒壇などの宗教的施設を国立で設置させることを目的として政治活動を行なうとすれば、その活動は、憲法違反とみなすべきではないか。また、このような違憲の目的をかかげて、政治活動を行なう宗教団体は、宗教法人法第二条に規定する宗教団体の目的から逸脱したものとみなすべきではないか。
(ハ) 昭和三十一年の参議院議員選挙のとき、前創価学会会長戸田氏は、「われわれが政治に関心をもつゆえんは、三大秘法の南無妙法蓮華経の広宣流布にある。すなわち、国立戒壇の建立だけが目的なのである。」とのべ、昭和三十四年の参議院議員選挙の際には、当時、創価学会会長代行の池田氏は、「国立競技場・国立美術館・国立公園等も、すべて国民の要望であり、国民のものである。宗教にあつても最高の宗教が国民の幸福のために、国立戒壇として建立されることは必然でなくてはならぬ。……それには同志をたくさん議会におくらなければならない。」とのべ、さらに、池田氏は、「大聖人様の至上命令である国立戒壇建立のためには関所ともいうべき、どうしても通らねばならないのが創価学会の選挙なのでございます。」とのべていた。
以上のように、創価学会は国が創価学会の宗教的施設を国立として建てることを目的としていたが、この目的は憲法第二十条三項および憲法第八十九条に違反したものと考えるがどうか。
二 宗教法人法第六条二項は、宗教法人の事業に関し、「その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」と規定し、公益事業以外の事業は、あくまで宗教法人の目的に反しないものと限定し、公益事業以外の事業収益については、その使途を限定している。
(イ) 宗教法人が公益事業以外の事業として出版事業を行ないその事業収益を政治献金することは、宗教法人法第六条二項の規定に違反するものではないか。
(ロ) 創価学会出版局が昭和三十八年一月一日から翌年六月三十日までの間に、一億六千六百七十万八千二百八十円の政治献金を公明政治連盟に行なつている。(昭和三十八年十二月十二日官報号外八一号、昭和三十九年八月二十六日官報号外五一号、昭和四十年二月十三日官報号外九号掲載)
このことは、宗教法人法第六条二項の規定に違反するものではないか。
三 宗教法人法第二条によれば、宗教団体は、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」と規定している。
(イ) 宗教団体が、選挙に際して特定の候補者を推せんし、その当選のために活動することは、右の規定にある「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い信者を教化育成する」宗教活動の一部とみることができるかどうか。
(ロ) 宗教団体が選挙に際し、選挙活動という政治活動を主要な活動とするようなことは、宗教法人法第二条の規定にてらして宗教団体の目的からの重大な逸脱とみなすべきではないか。
(ハ) 昭和四十四年十二月の総選挙に際し、創価学会の機関紙「聖教新聞」の社説およびその紙面は、選挙期間中、布教活動の具体的内容として選挙活動に集中していることをしめしていることは、私が三月九日の予算委員会においてしめしたとおり、すでにあきらかなところである。しかも、創価学会は、選挙ごとに、布教活動に集中することを繰返しているが、かかる事実は宗教法人法第二条の規定による宗教団体の目的にかなつたものと認めうるかどうか。
右質問する。