衆議院

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昭和四十五年四月二十八日受領
答弁第五号
(質問の 五)

  内閣衆質六三第五号
    昭和四十五年四月二十八日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員谷口善太郎君提出宗教団体の政治活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員谷口善太郎君提出宗教団体の政治活動に関する質問に対する答弁書



一(イ)について

 国が、「神社・仏閣あるいは礼拝堂・祭壇・戒壇などの宗教的施設」を、文字どおり国立として設置することは、国が宗教的活動をすることになるので、憲法第二十条第三項に違反するものと考える。

一(ロ)について

 憲法第二十条第一項後段および第三項ならびに第八十九条は、憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするため、国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨であつて、それをこえて、宗教団体が、政治活動をすることをも排除しているものとは考えられない。
 ご質問の趣旨は、現行憲法の下においては、国が国立の宗教的施設を設置することが許されないのであるから、そのような違憲の事項を実現することを目的とする政治活動を行なうこともまた憲法上許されないのではないかという点にあると思われるが、事理としては、憲法を改正しなければ実現することができない事項であつても、その実現を目的とする政治活動を行なうことが直ちに憲法違反になるわけではない。このことは、現に、政治活動として憲法改正の主張をすることが許されていることからみても、明らかであろう。
 次に、宗教法人法第二条との関係についていえば、ご指摘のような政治活動を行なうことが憲法に違反しないことは右に述べたとおりであるばかりでなく、同条は、もともと、宗教団体が宗教法人となり得るための要件を定めたものであるが、同条が「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」と定めていることからも明らかなように、宗教法人たる宗教団体が政治活動を行なつたからといつて、直ちに同条に定める宗教団体の目的から逸脱したものと断ずることはできない。

一(ハ)について

 前述の一(ロ)について述べたところにより、了承されたい。
 なお、昭和四十五年三月九日、衆議院予算委員会においてご質問のあつた国立戒壇の意義については、宗教法人創価学会の所轄庁である東京都知事から同法人に照会したところ、次のとおり回答があつたので、念のため申し添える。
 「一、本門戒壇とは、本尊をまつり、信仰の中心とする場所のことで、これは民衆の中に仏法が広まり、一つの時代の潮流となつたとき、信者の総意と供養によつて建てられるべきものである。
  二、既に現在、信徒八百万人の参加によつて、富士大石寺境内に、正本堂の建設が行なわれており、昭和四十七年十月十二日には完成の予定である。これが本門戒壇にあたる。
  三、一時、本門戒壇を“国立戒壇”と呼称したことがあつたが、本意は一で述べた通りである。建立の当事者は信徒であり、宗門の事業として行うのであつて、国家権力とは無関係である。」

二(イ)について

 宗教法人の行なう機関紙、布教書の刊行頒布などの出版事業は、布教活動そのものとして行なわれる場合または公益事業として行なわれる場合が多いと考えられるが、かりに、出版事業が、公益事業以外の事業として行なわれる場合であつても、その収益の一部を、当該宗教法人が支持または支援する政党その他の政治団体の政治活動を助成するために支出するというのであれば、政党その他の政治団体の政治活動は、本来、公共の利益に奉仕するという公的性格を有するものであり、一方、宗教法人法第六条第二項後段は、「当該宗教法人が援助する……公益事業のために使用」することができる旨を定めているので、ご指摘のような政治献金をすることが、同項の規定に違反するものとは考えられない。

二(ロ)について

 前述の二(イ)について述べたところにより、了承されたい。

三(イ)について

 宗教団体が、選挙に際して特定の候補者を推薦し、その当選のために活動することは、宗教法人法第二条に規定する「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成する」宗教活動の一部とみることはできないと考える。

三(ロ)について

 宗教団体が、選挙活動をその主要な活動とすることは、宗教法人法第二条の規定に照らし、許されないところであるが、それが主要な活動であるかどうかは、ある特定の時点のみをとらえて判断すべきではなく、その宗教法人の継続的な活動全般との対比において判断すべきものである。したがつて、かりに、宗教法人が、ある選挙に際し、集中的に選挙活動を行なつたからといつて、そのことのみをもつて、直ちに、同条に規定する宗教団体の目的を逸脱したものと断定することはできないと考える。

三(ハ)について

 前述の三(ロ)について述べたところにより、了承されたい。

 右答弁する。


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