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昭和四十五年五月十二日提出
質問第七号

 高知県須崎市における農婦感電死事故に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十五年五月十二日

提出者  山原健二郎

          衆議院議長 (注)田 中 殿




高知県須崎市における農婦感電死事故に関する質問主意書


 昭和四十四年八月十三日午前十二時ごろ、高知県須崎市池ノ内広坪の水田において草取り作業中の農婦が、架線されている園芸用ビニールハウスの針金を握つたまま感電死した事故が起こつた。同日、須崎市横町、高陵病院北村紀文医師の死体検案によれば、右母指示指及び左手背から左母指にかけての電撃創による感電死と判定された。
 右死亡現場には頭上約十二・六メートルの高さに四国電力株式会社須崎変電所から大阪セメント株式会社高知工場へ送電している十一万ボルトの特別高圧送電線が東西に架線されており、農婦が草取り作業をしていた水田には、園芸ハウス(面積約千二百七十五平方メートル)が設置されており、当時は園芸を中止して水田耕作をしていたものであるが、ハウス内にはハウス用針金が東西約七十五メートル、南北約十八メートルに縦横に張りめぐらされ、加温用パイプが東西に架けられているという状態で、それらが静電容量を形成するきわめて良好な導体となつていた。
 従つて、特別高圧線に電流が流れるとき、静電誘導を生じ、ハウス用針金及び加温用パイプに誘導電流を生ずる危険性が考えられるのであるが、本件事故直後、高知県警察本部及び須崎警察署並びに四国電力の調査によると、特別高圧線からの誘導電流による感電死とは認められず、園芸ハウスの西側、死亡場所から約七十メートル離れた位置に設置してあつた冠水用動力モーターがスパークして漏電し、ハウス用針金に電流が伝わつた、あるいは、漏電した電流が動力モーターのアース線を伝わつて水田に流れ、地中をはつて農婦の足から針金を握つた手に貫流して感電死したなどと説明し、その説明も一貫していない。
 本事件は同地区全農業者に深刻な衝撃を与えている。本事件の起こる以前にも高圧線下で作業中の農民は常にビリビリと感電状態を感じたと訴えており、事件後もアースのないハウス内の針金に触れるとビリビリと感電することが報告されている。事件後、その翌日、四国電力は各ハウスにアース線を取り付けている。
 針金、パイプなどの導体が無数に張り巡ぐらされている大型の園芸ハウスのある地帯における高圧線架設に対しては現行の「電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和四十年六月十五日通商産業省令第六十一号)」はきわめて不完全なものではないかと思料される。
 しかも同地区には、最近日鉄工業、松下電気等の工場の誘致問題とからみ、さらに高圧線の架設が計画されており、人命保全の面からも重大な政治問題となつている。なお、この問題は、ハウス園芸の全国的発展、工場の農村地帯への進出とあいまつて、全国的な問題ともなろうとしている。
 従つて、大型の園芸ハウス農業を営む地域における高圧線架設の基準の内容と、その前提ともいうべきこの感電死事故の原因究明は緊急の課題となつている。
 よつて次の諸点について質問する。

一 静電容量を形成するきわめて良好な導体を保有する大型園芸ハウス地帯における高圧線架設に対しては、前記の「電気設備技術基準」では適当でないと思われるが、政府の見解はどうか。
二 農婦感電死事故について昭和四十四年八月十三、十四、十五日の三日間、高知県警察本部、須崎警察署、四国電力が行なつた調査結果として、動力モーターから漏電し、これがハウス用針金を伝わつて感電したといつているが、その根拠及び理由は何か。
三 三日間の調査に基づき、県警察本部は、後になつて、漏電した電流がアース線から水田に流れ、地中をはつて農婦の足に伝わり、針金を握つた瞬間に感電したと発表したが、その根拠及び理由は何か。
四 前述のように、本件死亡現場の頭上には、十一万ボルトの特別高圧線が架かつており、その下にある園芸ハウスはきわめて良好な静電容量を形成する導体となつているが、このような状態のもとで、人体に被害を及ぼす程の静電誘導による電圧の生起の可能性は全くないかどうか。

 右質問する。





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