衆議院

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昭和四十七年七月十二日提出
質問第三号

 当面の緊急な政治課題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年七月十二日

提出者  楯 兼次郎

          衆議院議長 (注)田 中 殿




当面の緊急な政治課題に関する質問主意書


一 日中国交正常化の問題について、田中内閣は、「積極的に対処する」との抽象的な表明だけで、具体的にどう対処するかについては少しも明確にしていない。
  他国と異なり、日本と中国との関係には、日本は中国に対し、帝国主義的侵略を行ない、中国に対し甚大な損害を与えたという消え去ることのない歴史的事実が存在することである。
  政府は、この歴史的事実の上に立つて最小限、(1)中華人民共和国は、中国の唯一の正当政府であり、(2)台湾は中国の領土の一部であり、(3)日華条約は廃棄すべきであるとの日中国交回復三原則を基本に、今後、日中国交正常を進めるべきだと考えるが、具体的な方策を明らかにすべきである。
二 自主独立、民族自決の原則に立つて発表された南北朝鮮統一に関する七月四日の共同声明は、第二次世界大戦以降の分断国家における画期的なできごとであり、今後のアジア情勢に大きな影響を与えるものである。
  日本政府は、この急速に転回している情勢を前にして、また、長い間植民地支配を行なつて朝鮮人民を圧迫してきた国としていかなる基本的な外交姿勢で臨もうとしているのか。
  日本政府としてこの朝鮮民族の自主統一の努力を積極的に支持し、支援すべきであると考えるがどうか。
  とくに、一九六九年における日米共同声明の朝鮮条項を直ちに取り消し、民族統一を阻害してきたアメリカ軍の韓国駐留の撤退、国連における朝鮮民主主義人民共和国に対する非難決議の取消しを要求し、日韓条約を廃棄して民族的統一への条件を積極的につくりあげる必要があると思うがどうか。
  同時に、朝鮮民主主義人民共和国を正式に承認し、その国連加盟を積極的に支持すべきであると考えるが、政府の態度を明らかにされたい。
三 ベトナム爆撃に使用されているアメリカのB52爆撃機が、最近、祖国復帰後間もない沖繩の基地に二十九機も飛来して、現地の不安を極度に増大せしめた。
  米軍当局は、台風を理由としているが、当時の気象状態からみて全く納得できず、今後、再三飛来する既成事実をつくるための行動と考えられる。
  また、これに対する田中首相の「困る困るといつておれば、こなくなるよ」との放言的発言は、きわめて不誠実、無責任きわまる発言であり、外務省のこれに対応する態度も微温的で相変わらずの対米追随の姿勢を示したものである。
  今後、政府は理由のいかんを問わず、沖繩を含む日本の基地にB52をいつさい飛来させないこと、さらにベトナム戦争のために日本の基地をいつさい使用させないことを明確に表明するとともに、このことを米政府に対して厳重に申し入れるべきである。
  なお、前佐藤内閣は事前協議制の再検討を行なうと国会と国民に約束しておきながら、これを放置しているのは、はなはだしく怠慢である。これらの諸点につき明確な回答を求める。
四 最近の異状気象による集中豪雨は、各地に甚大な被害をもたらし、多数の死傷者を続出せしめ、全国規模の異状、激甚災害となつている。
  しかるに自民党と政府は、総裁選に明けくれてこの重大な事態を認識せず、七月五日土佐山田町の山くずれ災害から数日を経た九日、ようやく建設大臣を四国に派遣したにとどまり、緊急かつ応急対策すらとつていないのははなはだ遺憾である。
  とくに田中首相は、日ごろ機敏な対応と実行力を売りものにしながら、拡大しつつある災害をよそにゴルフに興じ、国会の要請にも応じないという態度は、国民無視の態度である。
  一刻も早く災害に対する適切な緊急措置を要求すると同時に、改めて田中首相の国民に対する基本姿勢を明らかにされたい。
五 四十七年産米に対する米価の決定も緊急の課題である。
  農林大臣は、食管制度、米価問題についてきわめて不規則、不明確な発言を行なつているが、米価問題については当然、食管制度堅持の原則に立つて、生産者米価は、農家の生産費と所得補償方式による生産者米価を、また消費者米価は諸物価高騰の折からこれをすえ置くという二重米価方式をとるべきである。
  この観点から、政府は生産者米価をいかなる原則でどれだけ引き上げようと考えているのか、また消費者米価をどのように措置しようとしているのか、また、それらの正式決定の時期はいつ行なうのか、具体的に回答されたい。
六 田中首相は、組閣完了後、直ちに国会を通じて内閣としての所信表明を進んで行なうべきであつた。
  しかるに、野党各党が一致した要求に対して、これを拒否したのみならず、当面の山積する諸問題に対する緊急質問の要求にすら応ぜず、緊急を要する国民的課題に対する対応を逃げながら、他の場においては、国会解散問題にまで発言を行なつているが、はなはだしい国会軽視であり、断じて容認できない。
  田中首相は、日ごろ対話の政治、野党との話合いを主張していながら、国会の場を通じての討議を拒否したことは、きわめて矛盾した態度であり、議会制民主主義、民主政治の基本について正しい認識を持ち合せているかどうか深い疑問をもつものである。
  また、自民党の総裁選挙をめぐつて、国民的批判を浴び、自民党総務会でも問題となつた、いわゆる黒い霧問題は、自民党の腐敗した金権主義の本質を暴露したものである。
  田中首相は、自民党総裁として、これら政治不信の重要な要因となつているこれらの諸問題について国民に対して明確な態度を表明すべきである。
  これらの問題と関連して公正な選挙を行ない政治の浄化をはかるため、政治資金規正法の抜本的な改正を早急にはかるべきである。また、自民党の多数議席は、最近の国民世論でも明らかなように正しく主権者の意思を反映していない虚構の勢力である。同時に佐藤内閣から田中内閣へと政権タライ回しを行なつて自民党内閣の延命策をはかつているが、これは主権者たる国民の意思をはなはだしく蹂躙するものである。
  したがつて、国民の公正の審判を仰ぎ、正しい国会の構成をつくるため早急に国会を解散して、総選挙を行なうべきである。
  以上の基本的な政治姿勢について明確な回答を求める。

 右質問する。



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