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答弁本文情報

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昭和四十七年七月十八日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質六九第三号
    昭和四十七年七月十八日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員楯兼次郎君提出当面の緊急な政治課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員楯兼次郎君提出当面の緊急な政治課題に関する質問に対する答弁書



一について

 戦前戦中の一時期に、わが国が中国人に多大の迷惑をかけたことは、謙虚にこれを反省すべきであると考える。
 政府としては、今や日中関係改善の機が熟しつつあるという判断の下に、今後は、政府の責任において国交正常化のための具体策を進めてゆく考えである。なお、中華人民共和国側が提示したいわゆる国交正常化に関する三原則については、基本的認識としては、政府としても、これを十分理解できるので広く国民各層の意見も十分考慮しつつ、日中双方が合意し得るような具体案を検討してまいりたいと考えている。

二について

(イ) 政府としては、韓国との友好協力関係の維持発展を基本としており、今後とも韓国との協力を推進してゆく所存である。日韓基本関係条約を破棄するというようなことは考えていない。
    北朝鮮については、国際情勢の推移を見守りつつ、南北会談等にみられる朝鮮半島における緊張緩和の進展ぶりに即応して、人道、文化、スポーツ、経済等の分野における交流を今後とも積み上げてゆく方針であるが、現在のところ承認を行なうことは考えていない。

(ロ) 一九六九年の日米共同声明のいわゆる韓国条項は、韓国の安全が地理的近接性のゆえにわが国の安全と密接な関連があるとの考え方を示したにすぎないものである。なお、「共同声明」の性質上、あとになつて特定の条項を取消すとか修正するとかいう問題はそもそも起こりえないものと考える。

(ハ) 統一問題については、極東における緊張緩和の傾向を反映して、最近の南北両鮮間の直接の対話に見られるごとく自主的解決の気運が高まりつつあるものと貝受けられるが、政府としてもかかる自主的努力を歓迎するものであり、これに可能な限り協力することとしたい。

(ニ) 朝鮮における米軍は、一九五〇年六月二十五日及び同月二十七日の安保理決議(第八二号及び第八三号)の勧告(憲章第三九条の措置)に基づき派遣されたものである。
    朝鮮問題に関する国連総会決議において、国連軍派遣国政府は韓国政府の要請があつたとき、又は総会が定めた恒久的解決の条件が満たされたときにはいつでも朝鮮からその残存兵力を撤退させる用意があることが明らかにされている。政府としても朝鮮問題につき総会が定めた恒久的解決の条件が満たされ、在韓国連軍が撤退しうるような事態は望ましいと考える。

(ホ) 朝鮮問題に関する国連諸決議は国連において正当な手続をふんで採択された決議であり、政府としては今後の朝鮮問題の討議に注意を怠たらないつもりである。なお、北朝鮮は国連に加盟したいとの意向を表明していない。

三について

 一般に米軍機の施設・区域への出入は、日米安保条約の目的に合致するものである限り、地位協定上認められているところであり、また、今回のB52の一時的飛来は、事前協議の対象となるものではないが、政府としては、B52に対する国民感情にかんがみ、米側に対して、かかるわが国の国民感情を十分認識の上悪天候の場合の避難など真に必要やむをえない場合以外にはB52をわが国に飛来させないこと、ヴィエトナム爆撃の帰途に飛来することが定型化することのないようにすること、またB52をヴィエトナム爆撃のため沖繩に常駐させることは絶対にないよう申し入れており、これに対して米側は、B52のわが国への飛来は悪天候その他緊急な場合のみに厳に限ること、B52をわが国から戦闘作戦行動のために発進させることは決してしないことを確約している。
 政府としては、事前協議制度の運用について検討するとともに、米側とも適当な機会に話し合う考えであるが、米側との話合いは、双方の都合から本年秋頃となる見込みである。

四について

 政府が国民の生命の安全の確保、財産権の保持を国政の基本姿勢としていることは申すまでもなく、このため、災害対策に関しては、災害対策基本法に基づき、防災基本計画を策定し、防災体制の確立、防災事業の促進、災害復興の迅速適正化および防災に関する科学技術の研究の推進の諸点に重点をおいて施策を進めているところである。なかでも、異常な自然の猛威にも十分たえ得る国土を建設することが最も重要であり、このため、必要な各般の長期計画を策定し、鋭意防災事業の推進に努めているところであるが、時として、今回のような災害の発生をみていることは、はなはだ遺憾であり、被害者の方々にはまことにお気の毒にたえない次第である。政府としては、今後さらに防災に関する科学技術の成果等を十分にとり入れて、災害の防止のために努力を払い、国土と国民の生命・財産を守るために万全の措置を講ずる所存である。
 昭和四十七年七月豪雨による災害に対しては、政府としては、七月八日、災害対策基本法第二十四条の規定に基づき、総理府に、総理府総務長官を長とする昭和四十七年七月豪雨非常災害対策本部を設置し、関係省庁、地方公共団体および公共機関の実施する災害応急対策の総合調整にあたらせているところである。
 当面の対策について、大要、次のような方針を決定し、関係省庁に指示した。

 (イ) 関係省庁において早急に被災現地を調査し、被害の実情に即した対策を実施すること。

 (ロ) 災害復旧事業の査定を急ぎ、すみやかに事業に着手することができるよう措置すること。

 (ハ) 農業共済に係る共済金の支払い(仮払いを含む。)を早期に行ないうるよう措置すること。

 (ニ) 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の適用の検討を急ぐこと。

 (ホ) 危険地域の総点検を急ぐとともに、住民に対する避難の指示について適切な措置を講ずること。

 (ヘ) 当面の被災者の救出にあたる消防、警察、自衛隊等の活動について、相互の連絡を密にし、被災者の救出に遺憾なきを期すること。

 なお、政府としては、死者、行方不明が多数におよんだ今回の災害の実情にかんがみ、災害弔慰金補助制度を創設し、今回の災害から適用することとした。

五について

 四十七年産米の生産者米価については、食糧管理法の規定に従い、生産費および物価、需給事情などを考慮し、具体的には米価審議会の議を経て決定することとしているが、どのような水準に決めるかは現在慎重に検討中である。
 政府売渡価格については、食糧管理法の規定にのつとり、家計費および物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計の安定を旨として決めることとなつているが、政府買入価格等との関連にも留意しつつ、今後そのあり方について慎重に検討していくこととしている。
 米価審議会の開催の期日は、七月二十四日および二十五日を予定しており、生産者米価については、米価審議会の議を経た後、早急に決定したいと考えている。

六について

 私達の目の前には、解決すべき内外の問題が山積している。政府は、全力を傾けて具体的な解決の方途を見出したい。成果がまとまれば国会を召集し、国会を通じ国民にその方策を明示し十二分に議論をつくしたうえで与野党一致して問題の解決にあたりたい。
 自民党の総裁選挙は、党則に基づき公明正大に行なわれた。総裁選挙のあり方や制度について検討を必要とする点もあり、また一部に批判を加える向きもあるので、問題を指摘される余地のないよう十分に対処してまいりたい。
 政治資金規正法の抜本的改正は、政党政治の消長、わが国の議会制民主主義の将来にかかわる重大な問題である。したがつて、この問題について、外国における立法例、憲法および関係法令との関連等を含め、専門家に多面的かつ徹底した検討を求めたい。そこで得られた結果を基礎にして与野党が広く深く議論を積み重ね、お互いの完全に一致した線で問題の最終解決をはかることが適当だと思う。
 衆議院議員の任期は、来年の十二月まで一年余を残している。解決すべき内外の諸問題が山積している現在、国会は、国政について議論をつくし、法案を審議し、お互いの一致点を見出して国民の要望に応えるべき責任を持つている。政府としては当面こうした課題に応えるよう努力したい。

 右答弁する。




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